金魚cafe

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萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ

2014-11-04 22:53:00 | 読んだ本
吉永南史(よしながなお)著 文春文庫 

紅雲町という北関東の町でもともと日用雑貨屋だった(小蔵屋)を和食器とコーヒー豆の販売のお店として商売替えして営んでいる数え年76歳の杉浦草(すぎうらそう)。

彼女のお店は無料でコーヒーを一杯飲ませるということで店内はちょっとした社交場になっています。

そんな小蔵屋の周りでおこる日常の謎をお草さんが解くというストーリーです。

画像をアップできていないのですが、文庫本の表紙は可愛らしくておばあさん探偵なのでほのぼのしたものかと思っておりましたが、なかなかシビアな内容でした。

おばあさん探偵といえばアガサ・クリスティのミス・マープル、清水義範さんのやっとかめ探偵団の波川まつ尾おばあちゃんなど有名です。

これらは彼女たちの推理力を高く評価する刑事さん、仲間たちが助けてくれる、あるいは彼女たちに謎を解いてくれと協力を求めてくるなどそれは現実ではありえな~い小説の中だけのことです。

お草さんにはそんな協力してくれる刑事さんもいないし、怪しいと現場を見張っていると反対に夜にうろうろして徘徊してるんじゃないかと誤解されたりして現実は厳しいものです。

彼女の親友であり理解者である由紀乃さんは脳梗塞をおこして左半身が不自由で自分のことも自分でできない状態です。

もっと厳しいのは彼女のこれまでの生きてきた道です。

恋愛結婚したのに3年も経たずに離婚され、残してきた一人息子は亡くなってしまい、両親を見送って一人残されてしまいました。

そんな彼女がPCの家庭教師をしてくれている大学生に語り掛けるところがあります。
じ~~んとする言葉なので文章からちょっとお借りいたしまして、「弱いと認めちゃった方が楽なの。力を抜いて、少しは人に頼ったり、頼られたり。そうしていると、行き止まりじゃなくなる。自然といろんな道が見えてくるものなのよ。」

いろんなことがあったお草さんがおっしゃるから説得力があるのかもしれません。

お店をオープンさせたのが65歳ぐらいの時で普通ならもうご苦労様でした~と言われるお年でやりたいことを見つけて実現した。

その凛とした生き方に憧れます。











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