人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

遠き宿

2015年06月20日 | 読書
その昔

若かりし日

奈良は

博物館のそばに

あの宿があった。

19歳のある年には

友人と二人

台所に

寝かせてもらったな。

あるときは

ぎしぎしきしむ

二階の部屋で

男たち三人と

泊まったり

したけれど

清潔なままで

夜を明かしたのは

当然のことのようだった。

あるときは

雨で

おかみが傘を

貸してくれて

奈良の街を

心ゆくまで歩いたな。

あの宿も

ずっと後になって

若い子たちが

冷房がないだの

トイレがどうのと

文句を言い出して

おかみは

宿を貸す気にも

なれなくなった

のだろうな。

会津八一やその他

無数の熱き思いの

浸み込んだ

あの古い

畳の部屋の

宿ーー

二度と戻らぬ

青春と同じ

哀切の

あの宿ーー

朽ち果てて

しまうのだろうか。



80歳を越えた

老婆のように・・・

唇にそっと

のぼせてみる

「ひよしかん」と。


遠き仏像

2015年06月19日 | 読書
若かりし

あの日見た

奈良は

法隆寺で

ずらりと並んだ

すぐ目の前に

国宝級の

仏像たちのなかに

あのお姿が

ありました。

ほっそりとして

直立不動の硬さは

なくて

どこか

やわらかに

地上ではなく

この世ならぬ

空間を

歩んでいらっしゃる

ような

軽々と

この世の

憂さを吹き払って

一メートルばかり

離れただけの

そんな身近に

いらっしゃった

あのときの

深々とした

感動は

今も消えるものでは

ありませぬ。

そのお姿が

今は

とてつもなく

立派なお堂の

正面に一人

立っていらっしゃって

まことに

遠き

お姿とはなりました。

あの

法隆寺

飛鳥観音像は・・・・


見たくない人

2015年06月18日 | 読書
わたくしのような

よぼよぼ

老婆が

こんなことを

いうのは

なんですが

とてもとても

いやな人を

テレビで

見かけます。

その番組は

好きなのに

その女性が

いるために

いやなものを

見るはめになるのです。

あれほど

自己を見つめる

こと少なく

客観的視野に

乏しいのに

自分の意見だけを

正当として

他人の意見など

まったく聞かず

謙虚なところもなく

ただふんばって

いるばかり

だから

余裕もなく

自分が解放された

女性の代表

であるかの

ように自己陶酔して

いるようで

見るに耐えず

聞くに耐えない

感情的な

それはもはや

ただの「女の子」の

勝手な感情に

任せているだけで

国家の危機についても

「論じる」のではなく

「いやだ」という

感情論で

すまし顔してる

のは

視聴者として

同じ

女性として

恥ずかしいし

腹ただしい

のでした。

インテリ女性

であるならば

もう少し

自分の無知や

ありようの

恥ずかしさに

気がついても

いいのではないでしょうか



老婆は

たまに見る

テレビに

向かって

文句を言ったりして

います。

見たくない

人なのだから

見なけりゃいい

のですが

番組は好きなので

困ったものです。




人生の底で

2015年06月17日 | 読書
もうそろそろ

底が見えてくる

気配。

さあ

棺のなかに

三冊だけ

愛読した本を

入れてもよいと

したら

何を入れようか

とか

最後にひとこと

言い遺してもいいと

言われたら

なんと言おうか

あの世にいって

真っ先に

だれに会いたいかと

言わられたら

だれにしようか・・・・

だれもいなかったら

こわいな

いや

その前に

最後のベッドに

横たわって

まだ意識があって

最後の本を

読んでいいと

言われたら

何にしようか

そんなことを

考えていたら

なんとも

軽薄な

自分というものが

見えて

きたのでした。

そっくり

2015年06月16日 | 日記
ママが

ヒステリックに

叱りつけました。

宿題に

集中しない

二年生の娘に

ついに堪忍袋の

緒が切れた

そして娘は

ママそのまま

そっくりに

妹に向かって

ヒステリックに

叫んでいます

ママそのままです

すると妹はまた

下の妹に

姉そっくりの

癇癪

爆発させて

いるのです。

ママの姿は

そのまま

娘たちに

そっくり

あまりにもそっくり

伝わっていて

笑っちゃいます。

そして

少し

怖いです。

もしもママが

しとやかな叱り方だったら

娘たちも

しとやかに

けんかする

のでしょうか。