Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

デーモンジ(令和7年)

2025-01-14 22:56:51 | 民俗学

 小正月14日である。かつて成人の日が15日だった時代には、その前夜である14日は行事の集中日でもあったが、今は小正月だという認識すら薄れている。平日であってもこの日に小正月らしい行事を残している所も稀にあるが、ほぼ14日から行事はほかの日に移っている。松本平から安曇野のオンバシラが、建っていたり建っていなかったり、とずれるのは、土日に行事を行うようになったせいだ。オンバシラは一定期間建てておく。したがって土日に行動をとるとなると、1週間単位で建てて早くするか遅くするか、と言った具合に日取りがずれる。考えてみれば、この週末はまだ小正月に入っていなかった。しかし、松本平や安曇野では、多くの場所で12日にサンクローが実施された。オンバシラがまだ建っていなかったところでは、これから建てるのか、それとももう建てないのか、といったところがよくわからなかったのも事実である。

 オンバシラの上伊那バージョンである「デーモンジ」。このデーモンジを今でも必ず小正月14日に建てているのが辰野町北大出鞍掛である。そう思って足を運んだが、午後になっても建てる雰囲気が見えなかった。そこで以前庚申講の話をお聞きした方の家に立ち寄ってみると、今年は中止だと言う。昨年のデーモンジで柱を倒す際に事故があったという。どなたか怪我をされたようで、今年は自粛と言うわけだ。今回は必ず聞いてみたいことがあった。「扇子」である。北大出や羽場といった辰野町南部のデーモンジには、扇子が付く。扇子には「厄落し」の文字が見え、厄年の方が扇子に厄落としが主旨の文字を書き、「〇歳男」とか「〇歳女」といった具合に対象者の年齢が添えられる。この地域の神社に行くと、拝殿の格子にお宮参りの奉納物が結わえ付けられていて、扇子と真綿と麻がセットで奉納される。このことは本日記でも触れてきたことだが、加えてそのお宮参りの扇子が、北大出の神社では秋の祭典で天狗の持ち物になる。ようは「扇子」が通過儀礼に何度となく登場するのである。そのあたりの捉えどころを参加される方たちに聞いて見たかった。

 さて、併せてデーモンジの今年の様子をうかがってみたので、ここで触れておくこととする。

 

辰野町羽場中村

 

辰野町羽場上

 

辰野町北大出多屋小路

 

辰野町北大出上垣外、御幣を挟んでいる木に「大文字用」と記されている

 

辰野町北大出小路中

 

辰野町北大出三ツ谷

 

箕輪町漆戸(今年は12日に建て、19日午前8時に倒される)

 

どんど焼きの日程が貼られていた

 

上戸の道祖神のうち、双体像は道路拡幅の記念に平成8年に建てられたもので、

それ以外の道祖神は自然石である

 


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