『長野県中・南部の石造物』刊行にあたって③で触れたように、最近長野県民俗の会にかつてかかわりのあった方々に、現住所確認のために手紙を出している。その数30通近い数なのであるが、回答はまだ半数に満たないものの、配達先が解らずに戻ってきたものがすでに4通に達している。学術団体の場合、その会員層に特徴的な傾向がある。ひとつは長く会員であってすでに高年齢層に達している方、もうひとつは若くまだ定職が定まらない身分の方たち。住所表記を見ていて、10年以上も前のアパートらしきものは予想通り行き先不明となる。今はどうかは解らないが、かつては郵便局へ住所変更の手続きを出しておくと、規定では1年程度の新住所への配達をしてくれるのだが、5年も経っても転送してくれることもあった。あくまでも次の住所からさらに異動していなければのことになるのだろうが。定期刊行物を継続的に発送しているような方ならまだしも、当時一時的にかかわっただけの方たちは、その後の消息は不明というわけなのだ。寄付をいただいたという手前、行き先を探す責任はあるのだろうが、先にも述べたように、近ごろは個人情報流出を恐れ、会員名簿なるものもほとんどのこうした会が発行しなくなった。繰り返すが、誰が会員なのかも想像する程度なのだ。
そして最も連絡先が解らないだろうと想像されるのが高年齢の方である。御子息が家を継いでいればまだしも、今は独り暮らしの方も多い。繰り返すが定期刊行物が送付されてくると親族の方々にも認識されるが、ある時一時的にかかわっただけの方は、もはや検討もつかないというわけである。年度が変わり、新年度の会費納入通知を送付した。予想通りなのかもしれないが、「○○は2年前に亡くなって、○年に退会を申し出ているのですが」という電話も届く。返送されて来ないものの、何年も滞納されている方の中には、亡くなられている方がいるのではないかと想像したりする。そう考えるとこの定期刊行物が高年齢者との数少ない糸口だったのかもしれないと考えたりもする。そんななか、会費を滞納されていたため定期刊行物の送付を停止していた方から「まだ会は続いていたのですね」、と言われ愕然としてしまった。言われた方もよくも言ったものだ、と思うがそう思われていたこちらの影の薄さが露わになったというところだ。
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