かつて「消えた村をもう一度」で合併して消えた村々のパンフレットを扱った。今回は「描かれた図から見えるもの」と題して再びパンフレットを参考にしているわけだが、過去のパンフレットを紐解いていて、現在のパンフレットには見られない傾向がかつてはあった。「消えたえた村をもう一度②」にかつての新潟県松之山町のものを掲載したが、このパンフレットの表紙とここに並べたパンフレットの表紙を見て気がつくことがあるだろう。
かつてのパンフレットにはモデルであろう女性が表紙を飾ることが多かった。もちろんモデルとしてお願いした以上、表紙を飾るにとどまらず、パンフレットの中で何度となく登場する例も少なくない。「描かれた図から見えるもの」で参考にしようとした近在のパンフレットだけでも上記に示したように女性を表紙に登用したものが多い。わたしが盛んにパンフレットを収集した昭和54年ころのものはもちろん、その後平成時代初頭にかけてのパンフレットには、こうしたパンフレットが多かった。ところが現在のパンフレットを一覧してみてほしい。「長野県観光パンフレットライブラリー」にある県内各市町村や広域版パンフレットにおいて、女性モデルを採用したものはひとつもないといってよい。かつてのパンフレットになぜ女性がモデルとして採用されたのか、その時代性をうかがうことができるわけであるが、いわゆるミスコンが盛んに行われていた時代に整合するのだろう。
あくまでもここにあげたパンフレットは比較的近在の一例に過ぎない。この傾向は全国にあったと言える。そして現在ではおそらく採用されないだろう写真が、かつてのパンフレットにはときおり登場する。その一例が阿智村の「信州昼神温泉郷」というもの。さすがに表紙ではないが、中を開くと次のような一面が登場する。よく湯船に浸かっている女性の写真は見ることはあるが、全身をあらわにする例は希だ。「消えた村をもう一度⑳」で扱った「辰口町総合福祉会館」のパンフレットは、表向きは色気のないものであるが、中を開くとそこには浴場の縁に立ち膝で座る全裸の女性が登場する。二十歳そこそこの女性がタオルも持たずに全身あらわにする光景は阿智村のパンフレットの比ではない。そもそも裸身どころか女性モデルすら登場しない現在のパフレットとは、まったく違った世界が見える。
無駄ごとではあるが、ここに登場したモデル、今はもうおばさん世代も卒業されているのでは・・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます