テルミンとJAZZ
テルミンやマトリョミンの話。私、こちろうこと相田康一郎のプロフィールは左メニューバーのCATEGORYを。
 



(直前・・・といっても昨年10月15日UP・・・の第7回はこちら。)
(第1回から読みたい方はこちらへどうぞ。)

こちろう、タイス、キューティー3人の暮らしは続いていた。
こちろうの浮気じゃないかと思っていたタイスの疑いも晴れ、最初は水と油だったタイスとキューティーの仲も、いっしょに気持ちを合わせて唄っているうちに心が通い合うようになっていた。彼女たちの様子をみていると、仲の良い姉妹のようにしか見えないくらいである。二人の会話にこちろうが入っていこうとするとじゃまにされることもしばしばである。

そんな、楽しい日々が続いた数ヵ月後のある日のことである。
「どうしたのキューティーちゃん、静かに窓の外見つめちゃったりなんかして、いつものあなたらしくないわねー。あら、もしかして恋?。」と、にこにこやさしい笑顔で語りかけるタイス。
「・・・・・。」
「ん?、・・・キューティーちゃん、どうしたの?。なにか話したいこと、あるのね。話しにくいことなのかしら。」

「・・・。実は・・・、ターちゃん、こちろうさん、あたし、中酒井村のおじさんのところに戻らなくちゃいけなくなったの。」
「えっ、どうして?。」「あたしはずっとキューティーといっしょにいられると思ってたのに、そんなのイヤ。」
「タイス、そんなこといったって、もともとキューティーは中酒井村の竹家おじさんから預かっていただけなんだから、戻してくれと言われたら仕方ないさ。」

「もう、あなたったら、なんて薄情な人なの!。キューティーがいなくなって寂しくないの!。」
「いや、そりゃ、俺だって寂しいさ。でも、竹家おじさんはタイス、お前のことだって育ててくれた恩人じゃないか。お前たち2人ともロシアのセミョーノフがフルサトといっても、唄えるように育ててくれたのは竹家おじさんだろ。それに晶子おばさんだって大事にしてくれたんじゃないのか。」
「それはそうだけど、、、。でも。」

結局、中酒井村に住む、育ての親であるおじさんにどんな事情がおきたのか、判然としないまま、彼らのもとへ戻ることになったキューティーだったが、やはり、タイスとの別れが一番つらいようだ。こちろうにとってもつらいのは同じこと。ただ、あまり表に出さないようにしているだけのようだ。こちろうは心の中で(わがままなやんちゃ娘でも根は素直なイイ子だった。タイスと2人で話しててもかけ合い漫才みたいで、傍で聞いていて、微笑ましかったな。)と思い返していた。

そして、別れの日がやってきてしまった。

「こちろうさん、タイスさん、お世話になりました。ここですごした楽しい思い出は一生忘れません。また遊びに来てもいいですか。」
「なんだ、なんだ、キューティーったら、大人びた挨拶なんかして・・・。」
最後のほうは嗚咽になって声にならないこちろうだった。
「そうよ、そうよ、タイスさん、だなんて、、、いつもの生意気な言い方の『ターちゃん』でいいのよ。(くすん)」
「必ずまた来なさいよ。またいっしょにたくさん唄いましょう。」

「こちろうさん、今日は照田大学の佐鳥教授が連れて行ってくれるって言ってたけど、まだいらっしゃらないわね。大丈夫かしら。」
「うん、大丈夫だろう。いつものことで、またプチ迷子になってるだけだろう。」
「そうそう、キューティー、今日は佐鳥教授のところで非常勤講師もやってた紀子さんもいっしょらしいよ。道中、きっと楽しいだろうな。」

そうこうしているとドアチャイムが鳴り、ドカドカと佐鳥教授がやってきた。
「あ、教授、お久しぶりです。今日はどうかこのキューティーをよろしくお願いしま・・。」
「あー、わかっとるわかっとる。中酒井村へは何度も行ってるから大丈夫じゃ。よし、行こう。」

ドタバタ、ドタバタ。
「あれ、もう行っちゃった。」「ねぇ、大丈夫?、あの教授。ホントにちゃんと連れて行けるの。」
「あー、大丈夫さ。多少間違えたところに行ってしまうこともあるけど、最終的にはいつもなんとかたどり着いてるし、心配要らないよ。」
「でも、寂しくなるね。毎日大騒ぎしてたあの娘がいなくなっちゃうと・・。」
「そうね、でも、またすぐに会えるわ、きっと。」

こちろうとタイスはまた2人になってキューティーがいなくなった寂しさを埋めるために唄の練習に励むのであった。
(つづく  かも、、、つづくとしたら、キューティーの代わりにやってきた信子ちゃんの話か。)


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