私は島根から愛媛に嫁ぎました。
嫁ぐ前、父は「遠いのぅ‥‥」とぽつりと呟きました。
当時はしまなみ海道も無く、フェリーでの行き来。確かに遠かったです。
やがて、しまなみ海道が開通し、自動車道も整備され、携帯電話を持ち、「いつでも話せるし、行こうと思えばいつでも行けるよ」と故郷との距離も随分縮まった感じがしました。
それでも、やっぱり、その距離を切なく思うこともありました。
水平線の見えない宇和海を眺めながら、溜息をつくこともありました。
今、コロナ禍で京都にいる娘と息子のことを思う時、「遠いなぁ」と感じるようになりました。
あの時の父の気持ちがわかるような気がしています。
距離とは、なんとせつなく、もどかしいものなのでしょう。
今日は父の祥月命日です。
ただいまは、仏さまとなってくださって
距離は0
海水が一味のように、月明かりが心に届いているように‥。
母と一緒に私を抱きしめて、優しい声で呼んでくださっています。
なんまんだぶつ‥なんまんだぶつ‥と