月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

距離のはなし

2020年05月08日 19時04分00秒 | ふうわりふわり(坊守日記)



私は島根から愛媛に嫁ぎました。

嫁ぐ前、父は「遠いのぅ‥‥」とぽつりと呟きました。

当時はしまなみ海道も無く、フェリーでの行き来。確かに遠かったです。

やがて、しまなみ海道が開通し、自動車道も整備され、携帯電話を持ち、「いつでも話せるし、行こうと思えばいつでも行けるよ」と故郷との距離も随分縮まった感じがしました。

それでも、やっぱり、その距離を切なく思うこともありました。

水平線の見えない宇和海を眺めながら、溜息をつくこともありました。

今、コロナ禍で京都にいる娘と息子のことを思う時、「遠いなぁ」と感じるようになりました。

あの時の父の気持ちがわかるような気がしています。

距離とは、なんとせつなく、もどかしいものなのでしょう。

今日は父の祥月命日です。

ただいまは、仏さまとなってくださって

距離は0

海水が一味のように、月明かりが心に届いているように‥。

母と一緒に私を抱きしめて、優しい声で呼んでくださっています。

なんまんだぶつ‥なんまんだぶつ‥と