冷たい風がごぉごぉ吹くなか
Yさん御一家が七回忌のご法縁にお参りくださいました
いろいろとお話させていただくなかに
「Yさんがご往生された日もこんなに寒かったですか?」
とお伺いすると
「亡くなった時は雨降りで、お葬式は晴れたんですが、火葬場についたとたんにどしゃ降りの雨になって…」
というお話をしてくださいました
冷たい雨だったのでしょうね…
涙雨と受け取られたのかもしれません…
季節がめぐる度に、あの日のことを
思いだし、思いだししてゆきますね
頬にあたる風の冷たさ…
愛しい人の頬の冷たさ…
降りしきる冷たい雨…
止まらない涙…
広がる青空…
ぽっかりと空いた空間…
思い出す度に涙が出ますが
今日…いま…
こんなに寒い日だから尚更
手を合わす温もりに…
吐く息の白さに…
つたう涙の温かさに…
ほとけさまのおはたらきを
知らさせていただきますね
(『手ぶくろを買いに』新美南吉 作・黒井健 絵 偕成社)