旅－2

中学1年から何年家族旅行が続いたのか記憶にない。
それから6年後にはワシは家出しとるんで、6年も続いてない事は確かである。

ワシの友人がカナダの親戚宅を拠点にアメリカやヨ－ロッパを旅行しているのを聞いて、
まだ日本では一般人に海外旅行が解禁されてからそれほど年数は経ってなかった時代じゃ、
ワシは羨ましくその友人の土産話を聞き、また『一日３ドル旅行』に魅せられ
自分も海外旅行に行ってみたい、その頃あこがれじゃったアメリカに行ってみたい、そう思うようになった。

まだ海外旅行のツア－も少なかったと思うが、とにかく高額で若いワシにはそんな大金はなかった。
高い入学金、授業料を出して貰うた専門学校を勝手にやめて家出するような息子に
もちろん親も出してはくれん。自分で稼ぐしかなかった。

父親はワシが21歳の時に胃がんで亡くなった。
弱冠21歳、成人とはいえ、まだまだ子供じゃ。
弟が大学に入学した年じゃった。
『兄ちゃんは弟を大学に通わせるため、自分を犠牲にして働いた』
世間にはそう見えるかと善人ぶって、というより働く方が好きじゃった。
ちなみに弟の学費は母親が全部出したんで前述した世間の目は当たらない（笑）。

せっせと貯金してまず100万貯めた。
その内50万円を1年前から勉強しながらシュミレ－ションして経験した株式投資につぎ込んだ。
2年後には100万が250万に増えていた。

同時進行で海外旅行の計画も着々と進んでいた。

回転寿司

今日は夕方、突然　『くら寿司にでも行こうか？』の発言で外食に決まった。
『予約をして行けば並ばずに食べれるよ』と聞いたんでネット検索。
じゃが、パソコンで出来ず、スマホでもやってみたが、よう分からん。

どうもうまくいかんので、店に電話したが『予約はネットからしか出来ません』の返事。
ほ-か、ほ-か、年寄りには来ていらんっちゅう事か？　ほいなら行ってやるか！

他の外食にしようと帰宅して女房殿に言うと
『もう寿司のお腹になっとる』の返事。
ほいなら他の回転寿司に行くか？　回転せん寿司屋に行くか？
迷った末、最近できた近くの回転寿司に話のタネに行ってみようとゆ-事になった。

席に案内されたけど、寿司は回ってない。
すべて端末入力での注文みたいじゃ。
注文を受けてから握るスタイルじゃと分かり、腹は減っとるんで、次々注文を入れた。

そしたら『ただいま作っております』の表示が出て、それ以上の注文ができんのよ。
やっと注文したものがレ-ルに乗って出てきたが、シャリも小さいしネタも薄い。
おまけにワサビは入ってなく、テ-ブルに置いてあるパック入りのワサビを自分でつける式よ。

たぶん機械で作られたシャリにネタを置いただけで皿に乗って出てくる。
握ってないんじゃと思う、すぐネタが落ちるのよ。
ワサビを付けるのに付けやすくなっとるんかもしれんが、ワシは嫌いじゃ。

その内飲食店も人でなく殆どロボットが相手をして料理を出されるようになるんかも？
こんな店、若い人には問題ないんじゃろうか？　ワシは二度と行かん。

日を追うごとに苦戦

横綱稀勢の里が毎日ひやひやながら、かろうじて白星を手にしとる。
初日から段々と苦戦度が上がっとるよね？
相撲が遅い！　相撲勘が戻ってないんかもしれんが、もちっとシャンとせぇ！

今場所に進退をかけとるんじゃろ？
慎重に、白星を得るために、慎重に・・・気持ちは分かるけどのぉ・・・
昨日も今日も白星を得るんじゃのうて、拾うとるように思える。

がむしゃらに下から下からぶつかって行け！
嘉風関はその点、年長者じゃのに、ひたむきに頑張っとるじゃんか！
攻めて、攻めて、それで星を落としてもファンは来場所も暖かい声援をくれるで。
守り勝ちより、攻め勝ちの方が心象はええ。
神経質に横綱の地位を守るより、おもいきりぶつかって散れ！

言うは易し、するは難し　
分かって言うとんじゃ。

旅-1

初めて旅行らしい旅行に家族で行ったのはワシが中学1年の時に父親が
「今年から毎年、正月に家族旅行する」と言い出して、道後温泉に行った時じゃ。

正直、もうその年になると親と一緒に家族旅行に行くよりか
友達同士でどこに行かずとも遊んでおる方がエカッタ。
じゃが、家長である父親の号令じゃ、行くしかなかった。

でもこの時、初めて飛行機に乗せて貰うた。
父親としては家族に大奮発したつもりじゃったんじゃろうが
松山空港から広島空港までＹＳ-11に乗っても、上がったと思うたらすぐ降りる。
ただ飛行機の座席に座ったというだけじゃ。

父親が早く亡くなって、ワシの時代になった時、
ワシはこの時の経験で、自分に子供が出来たら子供が小学生の内に
近くでもええ、いろいろと思い出を作っとってやりたい、そう思うようになった。

同級生の中では割と早く結婚した方じゃと思う、24歳の時じゃ。
実はこの前年に、ワシの友人が海外旅行に何回も行く奴がおって
「何でお前はそんなに海外旅行に行けるのか？」と訊いたことがある。
彼の家はわが町では一番の仕出し屋で、その次男坊の彼は大学生の時から
カナダ、アメリカ、ヨ－ロッパと旅をし、その話を聞いておった。

彼が言うには、カナダに親戚があって、その頃カナダの日本人会みたいなんが
毎年、親戚をカナダに呼んでやろうという企画があって
渡航費用の半分をその団体が負担してくれるらしい。

「ええのぉ！」　羨ましく思うたがワシにはそんな親戚なんぞ無いし、
半額でもその渡航費用もなければ、滞在中の経費も出せない。

その頃ワシは『1日3ドル旅行』という本を買い、著者の貧乏な海外旅行に魅かれておった。
少しずつ積み立てをして、いつかワシも海外旅行に行きたい、そう思うた。
本を読むと、いとも簡単に海外旅行に行けそうな感じがした。

静寂⇒大騒動

朝からよう降る雨に何もできず、ただ身体を休めるだけ。
テレビはついておるが、その前でソファ-に横になり寝とるんか？　起きとるんか？
少しは寝たようじゃが、半袖、半ズボンじゃ寒うて寝ておれんのよ。
ついこの間までの猛暑がウソのような一日じゃった。

午前中は静かにそうやって身体を休める事が出来、それはそれでエカッタんじゃが、
昼飯を食ってゆっくりしとったら急に玄関が開いて「こんにちは！｣　の声、
と同時にズカズカとリビングに入ってくる者が・・・。
娘一家が突然、予告もなくやって来たのじゃ。

急にわが家の空気は一変、静寂から爆音状態に・・・
娘んとこの二人の子供は女の子と男の子じゃが、とにかく荒っぽい。
声も大きく荒っぽければ、行動も荒っぽいんで、こっちも構えとかんとひどい目に遭う。

ソファ-の上で飛び跳ねるだけじゃなく、本気でワシにぶつかって戦いを挑んでくる。
女房殿にはさすがに行かんが、ワシは格好の戦い相手になるらしい。

ソファ-の背もたれの上から、床から走って来ての飛び蹴り、容赦ない。
ソファ-から落ちて頭を打たんか、テ-ブルの角に頭を打たんか、気が気でないのよ。
今までにも何度もそんなケガをして大泣きしとるんじゃけぇ。

２時間ほどわが家で大暴れして「買い物に行く｣　と娘一家は帰って行ったが、
ホンマ、嵐が去ったようじゃ。
娘は帰り際に　「なんなら一人、土産に置いて行こうか？｣　と言うが
丁寧にお断りした。　娘も婿も、ようこんなんと毎日一緒におるよ。


娘一家が去ると同時にワシらも雨が上がったんで、遅くから数十キロ離れたところまで
水汲みに出かけた。いつもは高速を通らんのんじゃが、今日は遅くなったんで
行きも帰りも高速を利用した。雨が上がってエカッタ！　娘一家が帰ってエカッタ！