大理石
学生時代、茨城県で大理石がとれると聞きつけて仲間と買いに行ったことがあります。
全くいいかげんな情報だけで、ともかく行ってみました。
学生時代はそんな買い方で、どこそこで石がとれるらしいと聞くと、
ともかく現地付近に行って、石のとれる所が近くに有るか聞いてまわるのです。
それでも、何とか見つけることが出来 手ぶらで帰ったことはありませんでした。
その時も 何とか大理石を採掘販売している会社を見つけて、
安く譲ってもらえないか交渉しました。
そこはちゃんとした作家の方達が買いに来るところだというのです。
「お前達みたいな貧乏人のくるところじゃない。ここの石は高いんだ。」と会社の方。
手ぶらで帰るわけにも行かないので
何とか粘ってお願いして、1個だけ端石を譲っていただき帰ってきました。
安価に譲って頂いただけに あまり良い石とはいえず、
外側近くは結晶がもろく、彫ると角砂糖のようにザラザラと崩れてきました。
とはいえ、憧れていた大理石で制作できる喜びでいっぱいでした。
何とかその大理石で1メートル立方くらいの作品を1つ作ることが出来ました。
「石頭(山羊)」 大理石 個人蔵
以前にも写真を掲載しましたが、これがその作品です。
この作品作りで使った石ノミは全て自分で手作りしたものです。
鋼材を買ってきて、焼いて叩いて焼きを入れて作ったのです。
焼きがなかなかうまく入らず、硬くなりすぎてすぐに折れたり、
逆に柔らかすぎてすぐにつぶれたりしてしまいました。
何せ20本作っても1本うまく焼きがはいるか入らないかだったのですから、
石を彫るよりノミ作りに時間を取られたほどです。
現在は超硬チップがうめ込まれているノミを買ってきて使っています。
本当は自分で作ったノミの方が気分が良いんですけど、
技術、材料集め、お金、時間などハードルがかなり高くて
今からノミ作りを自分でするのはかなり難しいのです。
未だに大理石には憧れのような気持ちを感じます。
私の、大理石在庫は心細い状況で、もったいなくて簡単に手をつけられません。
よく 夢で、巨大な大理石等の石が林立しているところに行き、
手当たり次第に買ってくる夢を見ます。
思い出すだけでワクワク、ドキドキします。
現実にそんなことが出来たらどんなに素敵でしょう。
残念ながら 最近は新しい石を買いに行けず、
もっぱら 10年以上も前に買った石を大事に割りながら制作しています。