うえぽんの「たぬき鍋」

日々のつれづれ、野球ネタ、バカ話など、何でもありの闇鍋的世界?

小説家 見てきたような 嘘を書き(?)

2005-06-14 23:04:17 | 雑記
ずーっと読もう読もうと思いつつ後回しになっていた、貫井徳郎の「慟哭」を図書館で借りてきて読んでいる。
小説を読むというのは、文章を読みつつ登場人物の外見や心情、舞台となる場所の情景などを脳内で膨らませる作業なわけで、結構体力を使う(あくまで私の場合です)。私が長編小説にあまり手を出さないのは、体力がないため途中で疲れて飽きてしまい、どうでも良くなってしまうからだ。読んでも短編か、疲れにくいエッセイに走りがちなのだが、今回は久々に長編に挑戦である。
それはまあいいとして、小説を読んでいて思うのは、文章表現というのは便利だなぁということである。極端な話、作者が「すごい」と書けば、有無を言わさず「すごい」のだ。どうすごいかは読者の想像力にかかっているのである。例えば、今ちょうど読んでいる「慟哭」から、ある宗教の教祖「胡泉翔叡」に関する文章を一部抜粋してみよう。

「俳優にしたいほど整った容貌に、自信が漲っている。カリスマ性を十分に備えた人物だった。」

「胡泉翔叡の口調は熱を孕み、聴衆の期待をさらに盛り上げる天性のカリスマ性を備えていた。」

「胡泉翔叡は数万の聴衆の心を、その大胆な話術の腕力でぐいと掴み、決して逸らさなかった。」

一体どんなすごいヤツなんだ胡泉翔叡。いちいち掘り下げていたらキリがないので「そういうことなんだ」と一応納得して読み進んでいるが、想像力の貧困な私には、どれほどのものなのかわからないのである。わからないから実在の人物と置き換えることもできない。作者がこれを書いている時は脳内で「俳優にしたいほど整った容貌に自信が漲ったカリスマ性十分の男が、聴衆の心を逸らさない大胆な話術で弁舌を振るっていた」はずだ。作者の思う翔叡は一体どういう顔なのか、聴衆の心を逸らさない大胆な話術とはいかなるものか、ぜひ知りたいものである。もっとも、こういう想像を各々で張り巡らせることこそが、テレビドラマとは違う小説の醍醐味であるのだが。

ああ、己の貧困な想像力がもどかしい。でも、これしきで困っていたら時代小説なんかとても読めないけどね。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お! (ゆき)
2005-06-15 20:00:00
手をつけましたね。ぬっくん♪



想像力。。ですか。小説はだから楽しいんですけどねぇ。確かに突き詰めてしまうと、彼の容姿が気になって本文に入り込めないですね。(こうして抜書きしていただくと、ほんとだ。一体おぬしはどういう男じゃ!)

時代小説?少なくとも「鬼平犯科帳」は長谷川平蔵=中村吉右衛門さんでばっちり♪後年は池波先生自身が中村吉右衛門さんをイメージしてたってお話ですけど。。(実は先日のうえぽんさんの記事よんで「散歩のとき~」を購入。で、鬼平を読み返している私です。。
返信する
Unknown (うえぽん)
2005-06-15 20:51:08
ゆき様

いよいよ手を出しましたよぬっくんに(笑)。あっという間に引き込まれ、皆様と同じように、予想もしないラストに呆然といたしました。

テレビ版鬼平は4人(松本白鸚〔先代の幸四郎〕→丹波哲郎→萬屋錦之介→中村吉右衛門)が演じられたそうですが、ゆきさんのおっしゃるとおり、池波さんは「吉右衛門さんがベスト」と喜んでらしたそうですね。

ちなみに、「剣客商売」の秋山小兵衛は、歌舞伎俳優の中村又五郎さんがモデルなんだそうです。

http://www.actors.or.jp/meikan/members/actors/a0152_matagoro.html



そんな(どんな?)ゆきさんにぜひこれをご一読いただきたい!

http://www.ne.jp/asahi/ymgs/hon/yomimono_folder/yomimono20_doraemonhanka.htm
返信する
こんな (ゆき)
2005-06-16 22:17:28
ゆきです(笑)

もう読み終わったんですかー。早い!でもびっくりでしょう。こういう驚きはなかなかないですねー。



へえ。鬼平って4人も演じてらっしゃるんですねぇ。萬屋錦之介さんの頃は実は記憶にありまして、まだ子どもだった私は、母が見ているこの「時代劇」をとても「怖いお話」と思っていました。炎をバックにまさしく鬼の顔の萬屋錦之介さんがいる!って印象のみがいまだ頭の中に残像のように残ってます。。(苦笑)



一読してきましたよー。ちょっと。。うえぽんさんったら私に何を読ませるのーと思ったら、違ったわー(爆笑)ドラちゃん+池波さんは、、苦笑して、、ってーことで、、あはははは~~

毎回思うけれど、ほんとによく見つけてこられますねぇ。おもしろい話題。検索上手なんだなあと、感心してしまいます。私、ヘタなんですよね。ググってもすぐあきらめるし。。
返信する
Unknown (うえぽん)
2005-06-16 22:59:26
ゆき様

あのラストには呆然と致しました。さっそく母にも読ませておりますので、読後の反応が楽しみです。



「ドラえもん犯科帳」お楽しみいただけました?(笑)

適当にググってたら偶然見つけたんですよ~。普段から何の目的もなしにググって遊んでるので、変なところで「何かある…」というカンが働くようになっちゃったのかも知れません(笑)。
返信する

コメントを投稿