同窓会以降
ポツリポツリとメールのやり取りがあった
私は時々、彼女の エッセイやツィツターを見ていた
フリーランスで働く彼女は忙しい
毎朝リーディンカードを読み、ツイッターにあげ
移動し、時には製作のため、長期間家にこもっていた
「会いたい」というメールは、彼女の社交辞令で
会うことはできないだろうと思っていた
同窓会での様子
彼女のエッセイを拾い読みして、私は彼女に対して
二つだけ、気になることがあった
そんな時に、14日空いてますか? というメールがきた
土日のランチなら何とかなるよ伝えていたので
彼女が私に合わせてくれた
小学校・中学校を通して、私は彼女が苦手だった
でも、なぜか一緒にいることが多かった
家が近いので、20代のころ、偶然彼女と会うことがあった
いつもいつも、甲高い声で まくしたてるようにしゃべり続け
言いたいことを言うと、立ち去ってしまう
30歳以降の彼女の事はまったくしらない
それぞれ、自分の場所で格闘していたのだと思う
彼女の「会いたい」は かなり私にとって気が重いことだった
小石どころではなく、とどめを刺されてしまうような気分だった
彼女が来た
決めておいたお店に向かって歩き出した
私は気になって仕方がなかったことを、単刀直入に聞いた
「旦那さんとうまくいってないでしょう?」
彼女は驚いて、少し考えて、言った
「実は先週離婚届をだしたの。決心するまで6年、離婚するのに1年かかったのよ。この業界狭いからね。誰にも言えないの」
だから、業界とは関係のない私に会いたがっていたのだ
彼女のエッセイに、旦那さんの気配がなく、同窓会で「今度引っ越す」と言っていたのが気になっていた
店に入って
彼女はゆっくりと話し始めた
「バブルの時にいい思いをした男は駄目よね。プライド高くて、頭下げられないの。もう何年も養ってたの」
この言葉で、一瞬で、20年が縮まった
ー ねぇ旦那さん、○○○みたいなことしてない?ー
「するするする。ずっとしてる。もう、ずっとしてる」
ー△△△すること絶対できないでしょう?ー
「そうそうそう。もう信じられない。段ボールの隙間で生活してるよ」
ー 旦那さん 俺がこうなったのは、全部お前のせいだ、みたいなこと言わない?ー
「言う言う言う。ずっと言われてる。今でもすんごく怒ってる」
はい、うちの旦那と同じ行動、同じ言動です
私もこの10年、旦那に随分苦労したことを話した
もう、どれもこれも、「わかるわかるわる」です
うちの旦那は、非常に幸運な出会いがあり、業種の異なる会社にすんなり入ることができ、前に進むことができました
彼女の旦那さんは、止まったまんまらしい
「デジカメとスマホのせいで、仕事すごく減ったの。でもねあるのよ、結婚式とか、学校とか。そういうのは嫌なんだって。
私、写真の学校に行ってないし、理論とか勉強してないのに、私の仕事が増えてしまってね。悔しかったんだと思う。」
彼女は、言葉を選び、ゆっくりとしゃべっていた
彼女はもう、エキセントリックにしゃべり続ける女ではなかった
私はもう一つ気がかりについて、尋ねた
ー 躁鬱病じゃない?ー
「えっ、やっぱりそう思うの?私、母にも言われてたんだよね。20代の頃。でも違うよ。違うの。自分でもわかってるの」
20代の頃はOLだったけど、10年で10数回転職した。
どこでも、すぐに浮いてしまった。お局様にいじめられた。どこにもなじめなかった。
でも、写真と出会い、自分の居場所をみつけた
ワタシねぇ、なんか、体の内側から何かが湧き出てくるのよ。
その湧き出るものを入れる箱がなかったの。だから、ひたすらしゃべってたんだよね
でも、今は、写真とか、製作とか、執筆とか、湧き出るものを入れる箱があって
あなたが言うような、エキセントリックな印象を与えてしまうような言動はなくなったのよ
会社員のころは、辛かったわ
ー で。なんで魔法使いって名乗ってるのー
「あれはねぇ 出版社の人に、7時間もかけて説得されたの(笑 あたしだって嫌なんだよ。でも
売れるためにはしょうがないよね」
等々、50女の会話は 止めどもなく続いたのでした
彼女は、スピリチュアルな世界とつながりをもち、それが彼女の表現世界であり、彼女のまんまな世界でもある
長くなるので、彼女の不思議な力は また今度ね
テーブルの向こうに イチゴ様