はじめに
ブロックを交わしてスパイクを打ちたい、レシーブできないようなスパイクを打ちたいと考える攻撃側と、ブロックに上達したい、ブロックと連携したレシーブに上達したいという守備側のせめぎあいが行われる中、守備側としてはオーバーカットを使って守備範囲を広げたいという思いがあります。
しかし、この技術は使いようによっては味方同士で邪魔をしあう羽目となり、結局相手チームに貢献するというようなことにもなりかねません。
実は、10月21日の記事
中衛センター養成プロジェクト(その12・・・・スプリットステップを習得しよう)
において、スプリットステップのタイミングの取り方のお話をしたところ、貴重な御質問が寄せられました。そして、それに対する回答といいますか、意見も出されたのです。
で、今回この問題について話をして、それから次の記事に進んで行きたいと考えます。
本日はまず、御質問とそれに対する意見をご覧ください。
どちらも、重要なポイントとなりますので・・・・。
私の独断で、質問と回答とを対応させるべく同じ色のマーカー表示をさせていただきました。また適宜私の意見も(赤文字)で入れましたので御了承願います。
ゆうこさん(中衛センター歴6ヶ月)の疑問
先日、練習試合がありました。相変わらずレシーブの見極めができずに、後衛の3人には迷惑かけた試合でした。「発展途上」と開き直って精進したいと改めて思いました。
スプリットステップは難しそうですね・・・。(いえいえ、大丈夫。カラオケを歌える人や縄跳びができる人なら大丈夫ですよ。コツを掴めばすぐできます。)
今回の記事を読んで私なりに解釈してみたのですが、「レシーブの瞬間に黄色シャツの重心が上に向かった状態はありえない」ということでいいのでしょうか?(そのとおりです。下げます。実際の試合では油断していてクイックなど極めて速い攻撃を受け、タイミング合わせそこなうってことはありますけど・・・)
私自身に当てはめて考えたときに、オーバーでカットして弾いてしまうときって、必ず伸びあがって手を出してるときなのです。とれそうな気がして手を出してしまうのですが、そんな時にはじいてます。(手首、指のパワーを持ち、しっかりした手の形を瞬時に作る練習が必要です。)
つまり黄色シャツの重心が上に向かってしまうとそういうことになるのかなと・・・。
そんなふうに考えてみたのですが、どうなのでしょうか?
重心が上に向かわないと無理なボールは、後衛に任せてしまったほうがいいのでしょうか(そうなのです。前方向は限りなく限界まで突っ込む、後ろ方向はスルーすべきタイプの弾道を知っておくべきです。スルーしたボールは後衛が限りなく前方向に突っ込んで拾うし、後衛もまた、オーバーで手に届かないボールはスルーしてアウトにするようなポジションを取っていくのです。)
mint(現役後衛のレシーバー)さんの意見
ゆうこさんは確か165㌢でしたよね。
そんなゆうこさんが伸び上って取るボールはおそらくバックに任せていいボールだと思います。
(ほんとに、そのとおり。私もそう思います)
・・・が、私なりに思った事を記させてください。
ゆうこさんの「伸び上ってはじいてしまうと」コメント見て思ったのですが、磯野さんの記事の「スパイクの弾道やボールの落ちる位置の見極め」という事と、「位置取り」が大切な事なのじゃないかなぁと感じました。
この図示でいうと、
黒から黄色位置に来た時に重心が上になるってことは、早く前に上がりすぎている(移動している)という事なのかも・・・と・・・
黄色位置で重心上で伸び上っているってことは、黒位置にボールがきているってことなので前に動かなくてもいいという事になるように感じました。
≪スプリットステップ≫をよく知らないのですが、絵図がスプリットステップと解釈したところ、
黒から水色位置に取りに行く。球が低かったらアンダー(ピンク)で高かったらオーバーカット(水色)と言う感じでオーバーカットもアンダーもボールを「待つ」でなく「取りに行くカット」がスプリットステップと言う事なんじゃないかなぁって・・・
となると、「スパイクの弾道やボールの落ちる位置の見極め」「位置取り」って所に繋がりました。(大正解。位置取りの見極め方法について、またお話します。)
ひょっとしたら、伸びてとる=読みすぎて勘で早く動いているのかなぁって思いました。
上手なアタッカーは動いたと思ったら逆をついてきます・・・そんなアタッカーはフェントやブロックアウト狙うアタックも打てるのです。あーやだやだ(笑)味方なら頼りになるエースです。(^^)
って事で、オーバーカットやレシーブは、「アタッカーが打ってから動く」なのではないかと思います。読みと勘も大切なのですが、アタッカーの特徴や味方のブロックで位置取りきまってきますから味方の事もしってなきゃ!!です。
「ボールの軌道の見極め」かぁ~これは練習あるのみですね。しかも9人練習で相手がアタック打ってくれて、味方ブロックついた状態がBEST練習。(ちなみにうちのチームはこんな贅沢な練習はなかなかできないかもしれません・・・・)ゆうこさんっガンバです!!
管理人(磯野)の意見
mintさんはおそらく、経験則に基づくお話もされているか、監督やコーチがこのような指導をされているのかによると思うのですが、私の言わんとすることは、ほんとにmintさんが言われているようなことなのです。
その理由や練習方法等については、後日述べることとし、取り急ぎゆうこさんが抱く疑問について、同様の疑問を抱く選手にはたくさん遭遇して来たので、ここで少し説明させていただきたいと思います。
黄色シャツのタイミングでは、重心が斜め前下に行く状況が望ましいのです。
黄色シャツのタイミングというのは、ちょうどアタッカーがボールをヒットした瞬間です。アタッカーも黄色シャツの状態、ボールは●の位置にあります。
この後0.3秒~0.4秒でボールはレシーバーの所に到達します。
で、この状態は黒シャツ状態から白シャツを経て、前方向にポンと飛び込んだ瞬間の状態です。
この飛び込んで黄色シャツ状態が、アタッカーのスパイクのヒットの瞬間に合わせるように持って行くというのが、このレシーブでのコツなのです。
で、ここで黄色シャツの状態から下図(上の図の黄色シャツ状態と下図の黄色シャツ状態は同じタイミングです。)のとおり、スパイクボールの弾道を見ながら、ボールが●に来たらピンクシャツ状態にアンダーレシーブするし、●に来たら青シャツのとおり、オーバーカットに行くということになります。
だいたい弾道を見極めて体(ほとんど腕ですが・・・)が動き始めるのは、重心を下斜め前に移動させつつ黄色シャツ状態で飛び込んだ0.2秒後くらいなんです。
ゆうこさんの問題解決の方向性について
黄色シャツの状態を作るタイミングをまず掴まないといけません。この習得方法も御紹介します。
次に、一度黄色シャツ状態となり、次の瞬間●のボールを見て青シャツ状態でオーバーカットする場合のミスを少なくする方法についても、後日詳しくお話しますが、要は、どこまで取れるかはゆうこさんが把握した上で、取れるとこまで取る。
手首や指の弱さがあり、背伸びして取ってもミスにつながるというのであれば、ボールをオーバーカットで取る場所を額の正面までとし、mintさんが言われるように、その上に跳んで来るボールについてはスルーしてバックに任せるという方法にすればいいのです。
また、レシーブについて「外から内、後ろから前を基本とする」って聞いたことないですか?
この「後ろから前に向けてレシーブする」という基本に則ったレシーブをしようとするなら、実はオーバーカットについても、体の動きは上から下を基本とし、下から上への動きは逆方向と考えるのがいいのです。
もちろん、実際のプレーでは明らかに届く、処理できるというボールについては反応して処理しますけど、基本は瞬時のレシーブについてはできるだけ一方向に動く中で処理できるようにポジション取りしていくということが効率よいのですね。
不可解な疑問が残る
しかし、そうは言ってもポジション取りしたところにボールが来るのですか?
スパイクボールが来る前に、その近くにレシーブポジションを張ることは、予想しないとできないのではないのですか?
という疑問があると思いますので、その辺について次の記事でお話します。
って、これ、指導する時選手にも聞かれるものですから・・・。
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付録・・・・当ブログの特徴について
宮崎県出身の転勤族です。鹿児島県、熊本県、福岡県、大分県、沖縄県、高知県等を転々としながら、今年宮崎県に戻ってまいりましたが、各地で見聞きしたバレーボールの戦術や練習方法等をご紹介しています。
カラーシャツ(白シャツ、青シャツ、赤シャツ等色違いのシャツ)の棒人間の図面や動画で分かりやすく説明することを心がけています。
いいスパイクを打ちたい、変化球サーブを打ちたい、ブロック上達したい、レシーブ上達したい、とにかくバレーボールで上達したいという方のために、色々な情報交換の場にしたいのです。
柔道選手が柔道着をバレーボールのユニフォームに着替えて活躍したり、バスケットボール、陸上の選手などがバレーボールをした事例を元に初心者向けの練習方法も記事アップしていますので、是非参考にしていただき、少しでも上達したいという皆さんの期待に応えられると嬉しいです。
ポン監督やせれママさんといった、現役ママさん監督や選手のアドバイスもありますから、ご質問等ございましたらお気軽にどうぞ。
では、今後ともよろしくお願いします。
とても分かり易い説明です。
オーバーカットのお話の渦中なので実際練習している実況中継をさせていただきたいと思います。
実は私、オーバーカットは殆んどしないプレーヤー・・・だと自分で思います。でもバックレフトになってから少しするようになったかもしれません。・・・バックセンでは出番があまりなく、やった記憶もないかも・・・しれません。・・・今、バックレフトになり、バック両サイドはオーバーカット必要かなぁって思っています。
私がオーバー系が少ない理由は、ホールディングの恐怖とオーバーカットを知らなかったからです。(ちなみに今はホールとられなくなりました。でもオーバーできる球アンダーですることはまだありますが(苦笑))
中学はツーセッターのセッターで高校はレシーバー。(中高とも6人制です)学生時代にオーバーカット練習の記憶はなく、「オーバーカット」の言葉も知らなかったくらいです。
なので、オーバーカットは経験浅いです。
チームの監督は私が苦手なの知ってます。
オーバーカットの指導を受けて、始めは球の威力に手(指かな?)負けていました。ヒットするタイミングが合ってなかったのです。今はまえよりましになったと思います。・・・でタイミングずれたりとっさはとにかく真上に上げることを心掛けています。(そうすれば誰かがツートスに持って行ってくれるので。)
監督はメンバーの誰とパス練習するときでも対人に入ったらオーバーカットを混ぜ込んで打ってくれます。3マンの時もオーバーカットする球を混ぜながらやってくれます。この練習があるので、サーブカットでは中衛陣が、9人のシート練習で必要な場面でオーバーカットの手が出ているようにも感じます。
この「球の出し手」の力量がレシーブ練習では肝です。(当たり前の事なのですが)メンバーの年齢や技術とそのメンバーに合わせて球出しとなるので。プレーヤーでもミートがいい選手で洞察力のある方(人に合わせて打つので)は3マンの球出しが上手です。
・・・でオーバーカットはセッターとバックセン以外は必要かなぁって。そして、9人入ったプレーは、合わせるのは後ろのプレーヤーではないかと思います。前は好きなように動いて貰い後ろのプレーが合わせる。何年経ってもこの気持ちのまま盛り上げていきたいなぁって思っています。
スプリットステップで思い当たる身近なプレーヤーの方がいます。一般のプレーヤーの方で40歳だったかなぁ。縁があり一緒のチームでプレーしたことがあります。いつも足が動いている。跳躍していると言ってもいいくらい。このときはレフトセミでしたが、トスが上がっても上がらなくても必ずアタックに入っているしブロックついていました。聞いたらランニングしてるし筋トレもしてめちゃくちゃ努力してました。子供と海行ったら砂浜で走ったとか(笑)私はそこまでできない・・・出来る人は努力してますね。必ず足動かしてるあの跳躍のようなステップは体力筋力必須ですから。
では長々とすみませんでした。
この分のRESはなしでokです。
監督が一生懸命期待して練習させてくれているわけですね。
mintさんの話しを聞いておりますと、指導者や取り巻きの選手の皆さんが、よくバレーを知っておられて理にかなったしどうされているんだな~と思います。
がんばって、下さい。
そそ、指導者が教えてくれたストレッチをゴムバンド使用で筋トレに変更し、筋肉痛になったmintさんの記事、思わずニンマリ笑ってしまいました。
あの絵も素晴らしかったですね。
最高です。
所属チームは、バレー知ってるメンバーだからこそ起こる出来事もあります。(年齢・経験等で各々の考えがあり、またそこに発言力あるメンバーが数人・・・)
磯野さんもコメントされてましたゆんゆんさんのブログの記事。
私が「受動的」「能動的」の記事に興味津々なのはプレー面だけでなく他でもあてはまる事のように感じたからです。(バルドのバレー日記)
コメントのなかの「受動的であるというのは、受けて側の心理です。人のいうことを、否定しようとか、ほかのことを考えている状態(能動的)だと、入ってこないということです。」
・・・うーん。深いお言葉。
(追伸)
いつも褒めていただきありがとうございます。大人になってなかなか褒められる事ないので、これもまた嬉しいです。ありがとうございます。