はじめに
ブロックする際、3人ブロッカーがきっちりと高さが揃っているとすれば、レシーバーとすればこれまでお話して来た縦位置や横位置の調整方法を原則どおり当てはめて、レシーブポジションを絞り込んで行くことが可能となります。
しかし、現実にはそういうブロックを期待することは無理なんですね。上記図のとおり、一人は高いブロック、一人は低いブロック・・・というようなことが多々生じるわけです。
ブロックの横を抜けるスパイクボールについては、なんとか対応できるわけですが、ブロックの上を越されるスパイクボールについて、ブロッカーとしてはどうしようもないのです。
そういう場合、レシーバーがブロックのデコボコに合わせたポジション取りを考えないといけません。
今日はそのお話をします。
中衛ラインからスパイクボールがどのように見えるかを考える
仮にですね、相手チームのレシーバーがセッターにパスを送る時、当方のレシーバーとしては、相手セッターのツーアタックやクイックを警戒し、下図のように後衛両サイドが中衛ライン付近まで上がって来るポジション取りをしたとします。
オレンジ色の●が中衛センター及び後衛の選手のポジション取りですね。
さてこの位置でレフトオープンにトスが上げられ、ブロッカーは原則どおり、青シャツの選手が基準となり、そこに緑シャツが詰める形でブロックに行った場合、中衛ラインにいる3選手(中衛センター及び後衛両サイド)からボールがどのように見えるのかを考えて下さい。
● ● ●のようにボールが見えるのはどのポジションにいる選手かということを考えてほしいのです。
まあ、ボールが● ● ●と3つ並べてありますから、イメージから
●のように見える位置にいるのは後衛レフト
●のように見える位置にいるのは中衛センター
●のように見える位置にいるのは後衛ライト
と想像できると思いますが、実際にそういうことになるわけですね。
ブロックを抜けた強打がどこに来るか考える
で、その状況をコートの上から見てこのスパイクの強打がどの辺に来るかを考えてみます。
● ● ●のボールが、それぞれブロッカーの上や横を抜けてきた場合、そのスパイクボールがコートのどの辺に落ちて来るのかということなんですが、どうでしょうか?
で、スパイクする寸前のボールが、レシーバーから見て上記のように見える場所をコート上に示したのが下記の図です。
選手の位置は無視して、ブロックの上や横を抜けたスパイクボールがどこに来るのかだけを見て下さい。
● ● ●のボールの色に対応させてスパイクボールが来るスペースを表示しています。
●はピンクのゾーンに、●は緑のゾーンに、●は青のゾーンに強打が抜けて来るわけです。
このことを理解した上で、じゃあ、誰がどのボールを担当して拾いに行くかということをチームで考えるわけなんです。
ここでは、センター攻撃に備えてそれぞれの選手が最初にポジション取りしていた位置を●で表示し、ここからブロックの上や横を抜けて来るスパイクのコースと、ブロックの後ろでフェイントやワンタッチボールの処理をすべきゾーンを分担して守備するべく、選手のポジションの切り替え状況を図示したのですが、お分かりいただけるでしょうか。
赤シャツの中衛センターは緑のゾーンに来るスパイクがレシーブできる位置にポジションを調整して張ります。
ここで注視していただきたいのは、中衛センターの後方には他の選手に比べてひろめのグリーンのゾーンが広がっています。
ですから中衛センターはこの場所でレシーブする際、オーバーカットも使わないといけません。
オレンジシャツの後衛3人ですが、
後衛ライトはフェイントやワンタッチに備えて少し突っ込んでいます。
後衛センターは、バックラインに一人残って、青いゾーンに来る強打のレシーブに入ります。後衛センターの張るポジションでは強打の来る範囲(ブルーのゾーン)が横広く広がっていますから、横方向への位置取りにはかなり集中してすばやく対応しないといけません。
しかし、縦方向についてはブルーゾーンの少し前にポジション取りし、アンダーでレシーブすることとした上、アンダーでレシーブしにくい高さのボールが来たら、見送ってアウトにするというポジション取りができます。
もちろん、ブロックが美しく完成した場合の話なんですが、ブロックと連携してレシーブするというのはこういうことなのです。
後衛レフトはピンクゾーンの強打に備えてもいいのですが、ここでは青シャツの中衛レフトが下がって、ピンクゾーンの強打に備えていますので、赤シャツの中衛センターと青シャツの中衛レフトの間で緑ゾーンないしピンクゾーンに来る強打に備えているというポジションチェンジをしているわけです。
で、この位置ですと、後衛レフトの選手の右側はオーバーカットの必要が生じる可能性があるのですが、正面ないし左側のボールについては、アンダーで処理できない高い弾道のスパイクボールについては見送ればアウトになってくれます。
ここでも、ポジション取りをしっかり行うことで、自らの体を物差しのように使いつつ、原則として一方向に動くという意識でレシーブに入ることができます。
中衛レフトは、ブロックの準備から下がって、ピンクのゾーンに来る可能性があるスパイクボールに対応しようとしています。この選手も自分の正面ないし、左側に来るボールでアンダーでレシーブできない弾道のものは見送ればアウトにできます。
右側については、オーバーカットも使うつもりでレシーブに入ります。
原則を越えたレシーブにも対応できるフォーメーション
以上のとおりブロックをきちっと付けた上で、スパイクボールが来るコースを見極め、これを分担してレシーブするということでかなりのスパイクに対応できるのです。
しかし、これができるのはブロックがきちっと完成したとか、それぞれのレシーバーがきちっとポジション調整したというのが前提です。実際の試合では、誰かが完璧にポジション取りできない場合も出てきます。ブロックが未完成というときも出て来るのです。
どこかが原則どおりの対応ができない場合は、レシーバーも原則を越えたレシーブに対応せざるを得ません。
後衛センターが、中衛センターの後ろに入ることもありますし、中衛センターと後衛レフトの間に飛んで来たボールに、その両選手が反応する場合も生じます。
そんな場合でもですね、このポジション取りは隣同士の選手が相手アタッカーから同じ距離にいませんからぶつからないようになっています。
両方から飛び込んでも、交差しながらどちらかがレシーブできる可能性があるのですね。お見合いがが少なくなるのです。
このようなプレーをスムーズに行うには、隣のレシーバとは、アタッカーから等距離に並ばないというのがコツですので普段の練習の時から、そういうことも意識して取り組むといいと思います。
おわりに
以上です。ブロックがデコボコであっても、例えばこのようにしてチームで対応していくわけなんです。
ブロックがきちっとでき上がり、そのことでレシーブ範囲が限定されて行けば、こうして相手のスパイクに対して、レシーブの成功率を上げて行くことができます。
いくら、この原理が分かっていても、ポジション取りがしっかりできても、個々の選手のプレーが確実になされないと話にならない訳ですから、ポジション取りを覚えるのと同時にブロックやレシーブの個人の技術をより高めて、信頼できるものにしていく努力も怠ってはなりません。
明日は、ブロックがきちっと揃えられない場合の対応についてお話します。
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宮崎県出身の転勤族です。鹿児島県、熊本県、沖縄県、高知県等を転々としながら、今年宮崎県に戻ってまいりましたが、宮崎県をはじめ各地で見聞きしたバレーボールの戦術や練習方法等を紹介しています。
カラーシャツ(白シャツ、青シャツ、赤シャツ等色違いのシャツ)の棒人間の図面や動画で分かりやすく説明することを心がけています。
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