日々徒然です

カフェにようこそ!

幼い頃は

2016-11-15 17:43:26 | 小説
「リュウくん、危ないよ気をつけて」
「大丈夫!ほら」
「本当だ」
「なっ言っただろう」
僕達は、夕焼けを高台から見ていた・・・
「綺麗だ」
ふと、思いついた言葉が出た
山並みが夕日に照らされて茜色に染まる

いつも小学校の帰りはリュウくんと遊ぶ。他に友達が居ない訳ではないが、いつもだ
僕の、お母さんは仕事をしていて帰りが遅い
リュウくんは、そんな僕と遅くまで遊んでくれる
気を使ってくれるリュウくんが大好きだ!

仕事帰り
珍しく早く上がれた日に、たまたま夕日を見た
昔の子供の頃の思い出が蘇る

小学校を卒業して直ぐ、僕は転校した
リュウくんとは、それ以降疎遠になった
今は何をしているかも知らない。ただ、当時はいつも一緒だった事しか記憶にない
「何しているのかなぁ」
夕日を見ながら記憶をたどる

出版社に就職し念願だった営業に配属された
朝から店舗周り
まだまだ開拓の余地が有る所を担当され、引き継ぎも終わった
定年で退職した前担当者から若造?な僕に変わり抵抗も有っただろうが
上手く前担当者が引き継いでくれたお陰で少しずつだが伸びている
でも、心にポッカリ穴が空いている
仕事が順調な事は良い事だ
だが違う何かを求めている
何かを忘れて、置き去りにしようとしている

年間の成績が発表され社長賞を頂いた。名誉な事だ
「今年もご苦労さん。来年も頑張ろう!」と部署内で飲み会が有り
ほろ酔い気分で家路に着いた
部長より「ご苦労さん、社長賞の君に1週間の休暇が降りたそうだ。ご褒美だから
有意義に使えって上からの、お達しだ」
「急に休暇なんて・・・」
正直戸惑ったが、この際だからと実家に帰省した