日々徒然です

カフェにようこそ!

意外な帰省

2016-11-24 11:22:49 | 小説
「ただいま~」
「おかえりなさい。元気だった?ゆっくりしていけそうなの?」
姉さんが迎えに来てくれて。車に乗り込み早々に話しをする
「はぁ~」
姉さんは転校しても、ここの地元の連中と連絡を取っていた
連絡を取り合いつつ仲の良かった地元の人と結婚した
定年した両親は姉さんの住む近くに引越し、温泉宿を細々と経営している
「義兄さんは元気?母さん達は?」
「元気よ!あんたはどおしたの?いきなり」
「一週間の休暇をもらってね。顔を見に来た」
表立っては聞こえが良いが、アイツの事も気になる
両親の温泉宿に泊まる。はぁ~くつろげる

父さん、母さんは思いのほか元気で安心した
口コミでリピーターが少しずつ増えていっている様子で安心した
やっぱり義兄さんが手助けしてくれるのがありがたい・・・

温泉に浸かりつつ色々な事を思い出す
夕食を食べつつ宿泊客が多い事に驚く!!
母さんに近況を報告し宿泊の手伝いをする
「はぁ~、みんなどうしてっかな」
「ありがとね。父さん喜んどったよ。ゆっくりしていきなね」
久々に体力使った~、家の手伝いなんて何年ぶりかな・・・
布団に入り、明日は地元巡りをしてみようと思い眠りについた

「おはよう!ケンジくん、ゆっくり眠れたかい?」
義兄さんは優しく声をかける
地元の市役所勤務の義兄さんは観光マップを渡してくれて仕事に出かけて行った
宿泊の手伝いを終え、観光マップを見ながら散歩する
意外にも地元の奴らは元気で、俺が帰ってきた事を知っていて声を掛けてくれる
「ケンジ、仲の良かったリュウね。今、酒屋の息子だよ。会いに行ってこいよビックリするぜ!」
地元の友達が話してくれた
会える喜びで、足取りも軽かった
「いらっしゃい」
酒屋ののれんをくぐる
心地よく懐かしく記憶の蘇りが走馬灯の様に出て来た

「あっケンジか?元気だったか?」
「あぁ、休暇で里帰りさっても手伝わされてるけど」
懐かしい、懐かしい
リュウは変わってなかった
酒の話しをしながら、昔の話しになった
お互いの空白だった月日は直ぐに埋まった




幼い頃は

2016-11-15 17:43:26 | 小説
「リュウくん、危ないよ気をつけて」
「大丈夫!ほら」
「本当だ」
「なっ言っただろう」
僕達は、夕焼けを高台から見ていた・・・
「綺麗だ」
ふと、思いついた言葉が出た
山並みが夕日に照らされて茜色に染まる

いつも小学校の帰りはリュウくんと遊ぶ。他に友達が居ない訳ではないが、いつもだ
僕の、お母さんは仕事をしていて帰りが遅い
リュウくんは、そんな僕と遅くまで遊んでくれる
気を使ってくれるリュウくんが大好きだ!

仕事帰り
珍しく早く上がれた日に、たまたま夕日を見た
昔の子供の頃の思い出が蘇る

小学校を卒業して直ぐ、僕は転校した
リュウくんとは、それ以降疎遠になった
今は何をしているかも知らない。ただ、当時はいつも一緒だった事しか記憶にない
「何しているのかなぁ」
夕日を見ながら記憶をたどる

出版社に就職し念願だった営業に配属された
朝から店舗周り
まだまだ開拓の余地が有る所を担当され、引き継ぎも終わった
定年で退職した前担当者から若造?な僕に変わり抵抗も有っただろうが
上手く前担当者が引き継いでくれたお陰で少しずつだが伸びている
でも、心にポッカリ穴が空いている
仕事が順調な事は良い事だ
だが違う何かを求めている
何かを忘れて、置き去りにしようとしている

年間の成績が発表され社長賞を頂いた。名誉な事だ
「今年もご苦労さん。来年も頑張ろう!」と部署内で飲み会が有り
ほろ酔い気分で家路に着いた
部長より「ご苦労さん、社長賞の君に1週間の休暇が降りたそうだ。ご褒美だから
有意義に使えって上からの、お達しだ」
「急に休暇なんて・・・」
正直戸惑ったが、この際だからと実家に帰省した