あるといえば あるのだろう
ナルシスは溺れる
自分に恋をする
時の間を光が通る
歩かされた人は行きつく
そうなるとわかってる所へ
こんな水辺に
その時 何かを言ったのかもしれない
「こんにちは さよなら」と
声は小さく響いたのかもしれない
深い眠りに入ろうと
「こんにちは さよなら」と
「さよなら さよなら」と・・・・
昼を忘れた この街を
迷路のなかの聖街という
憑かれた人はここに来る
そして出ようとはしない
媚態は乱舞する
孕み女と孕み猫
笑いだけの空騒ぎ
売女の顔は なおも照る
人はぬくもりを求める
一人の女に百の顔
天使の片鱗もあるという
ここは聖街
夜のなかの溜まり場
思い出の女もいるという
生まれたばかりの光は
微かに微かに明滅する・・・・
そんなあるような ないような
消え入る光の尾をつかもうとするのです
何億光年の彼方からでも
そこあるヴェールを潜り抜けやって来た・・・・
それを いたいけな稚児の手で
命の元をつかもうとするのです
めぐりめくのが さだめなら
それを輪廻というのなら
光とは 永遠の真理なのでは
光をつかもうした手は
いつしか追われる身となるのです
逃げないがいいのです
ソーニャという女がいました、痘痕の女です
いつも言うことには、すべての虚妄は必然と言います
だから破局は昇華なのだと
・・・・生まれるのが遅すぎたようです
ピョートルの頃なら良かったのに
ミーシャの胸に抱かれたのに
そうであれば、なのに、そうなのに・・・・
やはり儚い夢でした
ソーニャの世界は闇でした
ミハイルは消えたのです
恋慕の情は折れました
センナヤ広場にたたずむのは、ソーニャでした