この間柏の庄やでゴルフ仲間4人の忘年会があった。宴たけなわで友人のSN氏が「あれは誰だっけ?、あの極何とかに出てたあいつ・・・あー思い出せない!」と、喉から出かかっている名前を言葉に出せなくて頭を掻きむしらんばかりに悶え苦しみ始めた。周りの3人はすわ!来たな、と身構える。
年配者同士の会話で日常的に見られる風景が、この「名前を思い出せなくて会話がストップする」状態だ。全員が必死に探っているのだが名前が出てこないのである。まあこれが普通のクイズと違う点は、正解を誰も知らない、ということだろうか。不毛だねぇ。
それが「誰のこと」を言っているのかは本人だけが知っているから、周りの者は「与えられた情報」を頼りに暗闇で五里霧中を行くことになって、しばらく全員が「見た目には思考停止状態」に陥る。今回のSN氏の場合は結論としては高島礼子だった。それが分かったのは忘年会が終わって各自家に帰ってしばらくしてからである(オーマイガっ!。ちなみに私の場合、出てこない名前は「米倉涼子」である。これは人それぞれ異なるのが面白い。それが個性の現れというものだろうか)。
この物忘れと一般に言われている現象については認知症かと心配する向きもあろうかと思われるが、医学的には全く関係が無いと分かっているそうだ。要は、人の名前というのがその人物の他の情報と全く関係が無く、ほぼ「独立した記号」として、脳の別の部分に格納されているという事実がわかったからである。知っていることは覚えていて、ただ「出てこないだけ」というのがこの物忘れの特徴だ(認知症の場合は、忘れていること自体に気が付かない)。例えばSN氏の例で言うと、問題は極某に出ている女優という情報と高島礼子という名前を「どうやって脳の中で結び付けるか?」になる。実はこれが、全く「非論理的」な瞬間芸なのだ。何故かは分からないが「突然出てくる」、それが名前である。
そもそも脳科学的には、その女優の名前が「高島礼子だろうが名取裕子だろうが、はたまた〇〇であろうが」まったく同価値だ、というのである(私の考え)。脳は、2つが連結された時に快楽物質(アドレナリンとか)を放出するだけだ。つまり記憶している記号の「総当たり方式」である(だから突然出て来るわけである)。ただ、試す順番は人によって色々ある、というのが私の今の「脳の記憶方式理論」と言うわけだ。脳は思ったよりは数段単純で、頭の良し悪しは「神経同士の結合速度」で決まる、と私は思う。
で、SN氏は高島礼子が出て来なかった。何故か?。私が思うに高島礼子の「高=タカという音韻」が、SN氏にはどうしても馴染みが無いのじゃないか?。これは私が米倉涼子の「米=ヨネという音韻」がどうにも浮かんで来ないのと同じである。私が知っている日本人の名前で、考えつく限り「米」の付く名前は米倉涼子の他にいないのである(米田とか米山とか、知らんもんねぇ)。だから思い出せないのだ。私の知り合いに「米」の字のつく名前の人が出来たならば、この問題は解消されるかも。
そこで私は、高島礼子を確実に記憶の中から呼び出す方法を考えてみた。
それは
① 高島礼子の顔とか演技をしているイメージを、先ず「伊勢丹」に関連付ける(何の意味も無いが兎に角「極○よりは伊勢丹」の方が記憶しやすいと私は思うだけだ)。つまり「あの女優・・・と思った時はとにかく「伊勢丹!」を思い浮かべるのである。
② そして伊勢丹から高島屋を連想する(これは世田谷生まれの世田谷育ちであるSN氏にはごく自然な連想だろう)
③ 最後は高島屋から高島礼子を呼び出す。これは簡単だ。
以上。
これは私がサラ・ボーンを思い出す為に3日間考えた末に編み出した「記憶術」である。
それまでこの名前については何度となく苦労を味わっていて、他の歌手例えばエラ・フィッツジェラルドとかカーメン・マクレエとかクリス・コナーとかジュリー・ロンドンとかはすんなり出てくるのに、2枚組CDを買ってスマホにも入れている筈の彼女の名前が「いつも」何故か出て来ないのである。どうしたら出るようになるか?
必死で考えた末に思い付いたのがこの「音韻連想法」である。サラ・ボーンで言うと先ず思い出そうとする人物のイメージと「お皿」を関連付ける。何の意味がある?と疑問に思うかも知れないが、関係は全く無い。ただサラ・ボーンを思う時に「お皿」を思い出せれば良いのだ。
で、もうお解りだと思うが「お皿からサラ」を引き出すのである。これで完璧に思い出す。理屈は一切無い。ただ、理屈は無いが思い出せるのである。それがこの「ど忘れ解消法」の真骨頂だ。これが他の人にとっては「別の単語」の場合もあるだろう。大事なことは、人と名前を直接結び付けるのでは無くて、間に他の日常的にありふれた単語で「連想できるもの」を噛ますことである。非日常的な人物のイメージを、これまた非日常的な名前といきなり結び付けるのは「ハッキリ言ってとても難しい」作業である。よほど何か特殊な刺激が無ければ、脳は自動的には関連付けてはくれないのだ。だから、2つ事象間に「音韻で似たもの」を噛ますのが正解というわけだ。これが私の必勝法である(これ、案外とノーベル賞級の発見かもね)。
これを米倉涼子で考えたのが次の方法です。
① 米倉涼子のイメージを先ず「隣の晩ごはん」というフレーズと結び付ける・・・これは情報と情報の結び付けだから簡単だ(脳の同じ分野に関連ありとして記憶される)
② 隣の晩ごはんは「ヨネスケ」の看板芸である(これは名前だが、特徴がハッキリしていて割と覚えやすい)
③ 米(よね)から米倉を「連想する」・・・つまり音韻から呼び出す
これで完了。
以前この話を友人のSY氏にした時は、別のルートを考えていた。それは
① 米倉涼子のイメージと「琵琶湖」を関連付ける(これも意味は無い)
② 琵琶湖 → 疏水 → 高瀬川 → 角倉了以と連想し、角倉から「スミノクラ、クラ→倉」と連想して米倉に辿り着こうと言うわけである。しかし良く考えたら思い出せない単語は「米」であって「倉」ではない。私が米倉涼子をどうしても思い出せないのは「ヨネと言う音韻」に原因があるのだ。それでこの方法は却下された。今はヨネスケで良かったと思っている。ヨネさえ出てくれば全ては解決するのだ。
しかしこの角倉了以を使った方法はSY氏には分かりにくかったようである(そりゃそうだろう、説明が不足していたと反省している)。思うに連想に使う単語は人それぞれ思い出しやすい単語を使うのが良い。皆さんもご自分の「鬼門の名前」について、「間に噛ます」単語を見つけてみるのは如何だろうか?
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なお、SNとSY氏は当ブログを読んでみて上手く思い出すことが出来たら報告下さい。さらなる成功事例としてデータベースに加えたいと思います。
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