ロイヤル・リザム・アンド・セントアンズに散った夢!比嘉真美子の初メジャーは遠かった・・・。
イングランド出身のジョージア・ホールが17アンダーで優勝し、2位はずっとトップを走ってきたタイのポルナノン・パトラムが入った。スタート時のスコア差が1で、色々トラブルがあるが、そのまま二人共譲らず並走して16番まで来てしまう。このままプレーオフまで行くか、という中で勝負を分けたのは「二人の間の微妙なバランス」だった。ジョージア・ホールはイギリス人の圧倒的な声援をバックに常に前を向いて突き進んでいたのに比べ、パトラムは守勢に回って声援も少なく、ひたすら耐えるゲームをしていたように思われる。前半はむしろパトラムの方が有利に試合を進めていて、一時18アンダーまでスコアを伸ばし「やっぱり届かないのか・・・」と思っていた。そこでジョージア・ホールが崩れていればパトラムの勝ちだったが、彼女はなんとか「踏みとどまった」のが大きい。
もちろんトラブルに合っても集中力を切らさずに乗り切るだけの「技術」があっての話である。今回ポットバンカーでの処理が明暗をわけたが、パク・ヒョン・ソンはバンカーから2回連続で失敗して脱落。ユ・ソヨンは出だしの3番ホールでトリプルボギーを打ち、続く4番でもボギーで沈没。しかしユ・ソヨンは驚異の巻き返しで最終的には13アンダーまで伸ばすという、ロレックスランキング上位選手の根性を見せた。これも技術があのだっての話である。しかしテレビのアナウンサーが「メンタルが強いですねぇ」というほど簡単なものではない、と私は思う。
海外ではゴルフは4日間競技が普通である。当然、技術は必要不可欠であるが、メジャーに出てくる選手は最低限のものは持っている。体力も十分ある。しかし試合で優勝争いをするには、戦略つまりマネジメントや攻め・守りのメリハリも重要なのである。今回比嘉真美子が初日から徹底的にバンカーを避ける作戦に出たのは正解だった。飛距離が出る比嘉だけに、ドライバーで勝負したいという気持ちも少しはあったと思うが、その気持ちを抑えて「ドライバーは5回」しか握らないという戦略を、最後まで貫いたのが好成績を残せた要因の一つである(って岡本綾子が解説していたような)。
しかしそんな比嘉でも3日目の後半からティーショットが左、左へと曲がりだし、ラフやブッシュの中から打つようになってスコアを伸ばせずに苦労して、「結局それが致命傷」となって、最終日にもトップ追撃の見せ場を作れないまま終わってしまった。ジョージア・ホールは最終日18番まで6アンダー・ノーボギーでプレーして、「自分のすべて」を出し切って優勝した。比嘉が「悔いの残る」試合だったのと比較すると、その差は大きかったのではないだろうか。勿論、優勝を最後の2ホールで「するりと手から落としてしまった」パトラムはもっと残念だったろう。
最後はギャラリーの後押しを受けた地元のジョージア・ホールが気力を振り絞っての勝利だった。素人の私がどうこう言えるものではないが、優勝する人というのは「優勝するだけの精神状態(ピンと張り詰めた糸のような)」でサンデーバックナインを戦える選手、ということになるだろうか。比嘉は3日目から少しずつスイングがおかしくなり、「マネジメントに集中する」以上に、スイングを立て直すことに「いっぱいいっぱい」になってしまった。2日目までの画面では見られなかった「ラフから」のトラブルショットが、3日目・最終日には度々映るようになっていたのがその証拠である。戦略・技術があっても「度重なるトラブルショットに、最後はじわじわと体力を奪われて」、ここぞという時に「スーパープレー」を出せなくなっていたのである。
頭にはもともとキャパがある。スタンスやボールの位置・スイングの軌道・狙いどころとタイミング、思いつくだけで「多くのことを考えなければ」いけないのだ。ラフやブッシュに入れば余計なことに多くの「知力・気力」を使わなければならない。ゲームで言えば「キャラのライフメーターが減る」ようなものである。困難な状況に陥っても「目標が手に届く距離にあれば」力を蓄え耐えることも出来る。マラソンランナーが「追う相手」の背中が見えてくると、俄然「力が湧いてくる」というのと一緒である。比嘉が11番と13番でバーディを取った時は「まだ行ける!これから逆転だ!」と、テレビの前で日本国中が小躍りしたのではないか。
やはり全英オープンは最高である。マスターズでも全米オープンでも、選手が打った球がどうなったかは「大体は空中を飛んでいるうちに」結果の予想がついている。試合が「一つひとつの短いプレー」に切り分けられているのだ。ところが全英では「球が止まるまで」状態がどうなるか分からない。だから「ドキドキの緊張感が長い」のである。それにグリーン周りも、バンカーに入るのか転がって外にでちゃうのか、それとも跳ねてとんでもない所に行くか、「誰にも予測できない」ので目が離せない。結局見ている方も「集中して見る」ことを強いられるのである。パカパカ打って終わり、というゴルフではなくて、手に汗握る緊迫感がゴルフを一層スリリングなものにしてくれるのだ。
比嘉は今回惜しくも4位タイで終わったが、過去に不動裕里や宮里美香や上原彩子といった選手の上位フィニッシュは、「言わばキャリアの頂点」であった。その点彼女はまだ24歳、今バリバリ賞金女王を争っている「ツアーでも絶好調」の伸び盛りなのだ。これから何度でも全英に出てこれるし、もっともっと成長し強くなって、再び「ゴルフの頂点を目指し」てチャレンジする若さがある。今回のロイヤル・リザムは、まずは「小手調べ」である。だいたいのリンクスの攻め方や、メジャーの中の自分の立ち位置はこれでわかったことと思う。今回の試合内容で、実力は世界レベルということが誰の目にもはっきりと見えた。後は実績である。
全英と言わず全米でもドバイでも、比嘉ちゃんは「世界で活躍する」ほうが似合うのだ。これを機にランキングもアップするだろうから今秋のアメリカQTを受けてツアーメンバーになり、世界を相手に「ガンガン暴れまわって欲しい!」というのが私の願いである。
とまあ、全英を見終わった興奮状態で書いているので少し贔屓目に褒めちぎっているが、彼女自身が自分の「良い処と悪い処」をしっかり見極めて、来年に向けて「もう戦いの準備を始めている」かも知れないのだ!。彼女のゴルフ人生は今日始まったばかりである。
比嘉真美子、恐るべし!
イングランド出身のジョージア・ホールが17アンダーで優勝し、2位はずっとトップを走ってきたタイのポルナノン・パトラムが入った。スタート時のスコア差が1で、色々トラブルがあるが、そのまま二人共譲らず並走して16番まで来てしまう。このままプレーオフまで行くか、という中で勝負を分けたのは「二人の間の微妙なバランス」だった。ジョージア・ホールはイギリス人の圧倒的な声援をバックに常に前を向いて突き進んでいたのに比べ、パトラムは守勢に回って声援も少なく、ひたすら耐えるゲームをしていたように思われる。前半はむしろパトラムの方が有利に試合を進めていて、一時18アンダーまでスコアを伸ばし「やっぱり届かないのか・・・」と思っていた。そこでジョージア・ホールが崩れていればパトラムの勝ちだったが、彼女はなんとか「踏みとどまった」のが大きい。
もちろんトラブルに合っても集中力を切らさずに乗り切るだけの「技術」があっての話である。今回ポットバンカーでの処理が明暗をわけたが、パク・ヒョン・ソンはバンカーから2回連続で失敗して脱落。ユ・ソヨンは出だしの3番ホールでトリプルボギーを打ち、続く4番でもボギーで沈没。しかしユ・ソヨンは驚異の巻き返しで最終的には13アンダーまで伸ばすという、ロレックスランキング上位選手の根性を見せた。これも技術があのだっての話である。しかしテレビのアナウンサーが「メンタルが強いですねぇ」というほど簡単なものではない、と私は思う。
海外ではゴルフは4日間競技が普通である。当然、技術は必要不可欠であるが、メジャーに出てくる選手は最低限のものは持っている。体力も十分ある。しかし試合で優勝争いをするには、戦略つまりマネジメントや攻め・守りのメリハリも重要なのである。今回比嘉真美子が初日から徹底的にバンカーを避ける作戦に出たのは正解だった。飛距離が出る比嘉だけに、ドライバーで勝負したいという気持ちも少しはあったと思うが、その気持ちを抑えて「ドライバーは5回」しか握らないという戦略を、最後まで貫いたのが好成績を残せた要因の一つである(って岡本綾子が解説していたような)。
しかしそんな比嘉でも3日目の後半からティーショットが左、左へと曲がりだし、ラフやブッシュの中から打つようになってスコアを伸ばせずに苦労して、「結局それが致命傷」となって、最終日にもトップ追撃の見せ場を作れないまま終わってしまった。ジョージア・ホールは最終日18番まで6アンダー・ノーボギーでプレーして、「自分のすべて」を出し切って優勝した。比嘉が「悔いの残る」試合だったのと比較すると、その差は大きかったのではないだろうか。勿論、優勝を最後の2ホールで「するりと手から落としてしまった」パトラムはもっと残念だったろう。
最後はギャラリーの後押しを受けた地元のジョージア・ホールが気力を振り絞っての勝利だった。素人の私がどうこう言えるものではないが、優勝する人というのは「優勝するだけの精神状態(ピンと張り詰めた糸のような)」でサンデーバックナインを戦える選手、ということになるだろうか。比嘉は3日目から少しずつスイングがおかしくなり、「マネジメントに集中する」以上に、スイングを立て直すことに「いっぱいいっぱい」になってしまった。2日目までの画面では見られなかった「ラフから」のトラブルショットが、3日目・最終日には度々映るようになっていたのがその証拠である。戦略・技術があっても「度重なるトラブルショットに、最後はじわじわと体力を奪われて」、ここぞという時に「スーパープレー」を出せなくなっていたのである。
頭にはもともとキャパがある。スタンスやボールの位置・スイングの軌道・狙いどころとタイミング、思いつくだけで「多くのことを考えなければ」いけないのだ。ラフやブッシュに入れば余計なことに多くの「知力・気力」を使わなければならない。ゲームで言えば「キャラのライフメーターが減る」ようなものである。困難な状況に陥っても「目標が手に届く距離にあれば」力を蓄え耐えることも出来る。マラソンランナーが「追う相手」の背中が見えてくると、俄然「力が湧いてくる」というのと一緒である。比嘉が11番と13番でバーディを取った時は「まだ行ける!これから逆転だ!」と、テレビの前で日本国中が小躍りしたのではないか。
やはり全英オープンは最高である。マスターズでも全米オープンでも、選手が打った球がどうなったかは「大体は空中を飛んでいるうちに」結果の予想がついている。試合が「一つひとつの短いプレー」に切り分けられているのだ。ところが全英では「球が止まるまで」状態がどうなるか分からない。だから「ドキドキの緊張感が長い」のである。それにグリーン周りも、バンカーに入るのか転がって外にでちゃうのか、それとも跳ねてとんでもない所に行くか、「誰にも予測できない」ので目が離せない。結局見ている方も「集中して見る」ことを強いられるのである。パカパカ打って終わり、というゴルフではなくて、手に汗握る緊迫感がゴルフを一層スリリングなものにしてくれるのだ。
比嘉は今回惜しくも4位タイで終わったが、過去に不動裕里や宮里美香や上原彩子といった選手の上位フィニッシュは、「言わばキャリアの頂点」であった。その点彼女はまだ24歳、今バリバリ賞金女王を争っている「ツアーでも絶好調」の伸び盛りなのだ。これから何度でも全英に出てこれるし、もっともっと成長し強くなって、再び「ゴルフの頂点を目指し」てチャレンジする若さがある。今回のロイヤル・リザムは、まずは「小手調べ」である。だいたいのリンクスの攻め方や、メジャーの中の自分の立ち位置はこれでわかったことと思う。今回の試合内容で、実力は世界レベルということが誰の目にもはっきりと見えた。後は実績である。
全英と言わず全米でもドバイでも、比嘉ちゃんは「世界で活躍する」ほうが似合うのだ。これを機にランキングもアップするだろうから今秋のアメリカQTを受けてツアーメンバーになり、世界を相手に「ガンガン暴れまわって欲しい!」というのが私の願いである。
とまあ、全英を見終わった興奮状態で書いているので少し贔屓目に褒めちぎっているが、彼女自身が自分の「良い処と悪い処」をしっかり見極めて、来年に向けて「もう戦いの準備を始めている」かも知れないのだ!。彼女のゴルフ人生は今日始まったばかりである。
比嘉真美子、恐るべし!
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