専業農家が多かった昔、おっさん連中が田んぼの畦道に集まって情報共有をしていた。
野菜の栽培のことはもちろん、「〇〇の娘はん結婚するらしいで」とか、「今度の組合の旅行はどこがええやろ」とか、はては町内の重要問題も畦道で決定していた。
しかし、徐々に耕作する家庭が減り、「畦道話」もなくなりチリジリバラバラになってしまった。
そこで町内で耕作している者同士の情報共有の場として、ライングループをつくっている。
「緊急時のSOS!」にも使えるし、「ヌートリアにやられた!」とか、「今年は玉ネギおかしいな」とか、「これ(写真)なんの足跡やろ?」などの身の周りのことや、お互いの利益や親睦が目的だ。
「畦道話」ならぬ「畦道トーク」である。
一人でする農業は、めんどくさい人間関係がないから気楽だ。
その反面、農業は孤独な作業である。
今日一日、家族としか話してなかったなんというのはよくあることだ。
新規就農が増えているが、孤独に耐えることができるかが鍵だと思う。
そのためには、少しばかりの人間関係をつくっておく必要がある。
そんなとき、スルーしようが勝手なライングループは気楽だし、情報の共有が出来、仲間意識も生まれてくる。
ピンポーン「例年通り、10日に白菜の苗を植えたらぢゅるけてきよった!」
会話ではわからない「ぢゅるける」という言葉で、暑さで枯れたのではなく、日差しの強さに煮えてしまったのがわかる。
ピンポーン「彼岸が過ぎて、日差しが落ち着くのをみてから植えんとしゃーないなあ!」
九月にも関わらず夏日が続き、苗の植え付けが出来ない。
ピンポーン「ホウレンソウあったら植えられるやろか?」
ピンポーン「あかんやろ! 自分とこで食べるぐらいあったらセルトレイに植えといたらええで!」
ピンポーン「ほんまやなあ、管理も楽やし、間引きせんでもええがな!」
ピンポーン「わいは、細ネギもセル植えや!」
という調子の「畦道トーク」で、ホウレンソウも細ネギもセル植えにした。