河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑――ちしゃのぬた

2022年09月01日 | 菜園日誌

 こんな上方落語がある。

 病気になった父親のために息子が医者を呼びに行く。
 医者を連れ家に帰る途中、医者が疲れたというので道端に腰をおろし一休みしていると、急に辺りが暗くなった。
医者「このあたりでウワバミ(大蛇)が出ると言う噂を聞いたことがある」
息子「ではここはその腹の中ですか? このままでは腹の中で溶けてしまいますがな」
医者「うろたえるでない、下剤を調合しよう」
 腹の中で下剤をバラまく。ウワバミは苦しみ、やがて二人を尻の穴から外へドバ~。
 臭いを気にしつつ家に着き、苦しむ父親を医者が診察すると、父親は萵苣(チシャ)を生で食べたと言う。
医者「これは食中毒じゃ。チシャに当たったようやなあ。夏のチシャは身体に悪い」
 薬を調合しようと思ったところで、薬箱をうわばみの腹の中に忘れてきたことに気がついた。
 返してもらうよりしょうがないと、医者は再びウワバミのところへ道を戻ると、ウワバミは下剤がこたえたと見えてぐったりしている。
 医者「 おい、薬箱を取りにきた。もう一度飲みこんでくれへんか?」
 うわばみ「もうあかん。夏の医者は身体に悪い」

 レタスのサラダである。
 明治時代の料理本には「ちしゃのぬた」とある。
 「ぬた」は酢味噌であえた料理。
 「ちしゃ」はレタスである。
 落語の中に出てくるちしゃは焼肉を蒔いて食べるチマサンチュで、平安時代に中国から伝わったレタスである。
 葉を一枚ずつちぎって収穫するので「掻きちしゃ」と言っていた。
 ちなみに、丸いレタスは「玉ちしゃ」、サニーレタスは「縮緬(ちりめん)ちしゃ」と言っていた。

 というわけで、ちしゃを植えた。
 掻き、玉、縮緬の三種類。
 発芽適温が20度前後なので夏場は発芽に苦労する。
 タッパーに土を入れ、種を蒔いて冷蔵庫に二日入れて種の休眠を打破する。
 三日目に外に出し、冷房が効いた部屋の窓際に置くと、四日目には芽出たくも発芽している。
 根がまだ浅いうちにビニールポットに植替え、ニ、三日、日陰で根を張らせる。
 夏のちしゃは芽の出が悪い。


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