A「うちの犬、英語を話すねん」
B「なんでやねん」
A「煎餅を一枚やったら、ワン(1)て言うたがな」
B「おまえはアホか」
大阪漫才でお馴染みの「なんでやねん」「アホか」のツッコミだが、次のような構造になっている。
Aのバカな発言を客は笑うと同時に「有り得ないこと言うな!」と気がまえる。
その客の気持ちを、Bが「なんでやねん?」と疑問形で代弁することで、客は安心して大きな声で笑う。
Aは疑問の答えとしてバカなことを言うと、客が笑うと同時に「こいつはアホだ!」と気がまえる。
その客の気持ちを、Bが「アホか?」と疑問形で代弁することで、客は安心して大きな声で笑う。
つまり、バカな発言に緊張した客の気持ちをツッコミが緩和して、笑いを増幅させているのだ。
A「うちの犬、英語を話すねん」
B「有り得ないこと言うな!」
A「煎餅を一枚やったら、ワン(1)て言うたがな」
B「おまえはアホだ!」
ツッコミが客の気持ちをそのまま言ってしまうと、客は緊張したままで大きな笑いにつながらない。
「なんでやねん」と、客の「有り得ないこと言うな!」という気持ちもこめて疑問形で代弁するからこそ笑いが増幅する。
「なんでやねん?」は、「なんでやねん? あほなこと言うな!」という強調でもある。
この働きを理解せずに、日常生活でむやみやたらに「なんでやねん」をつかうと、相手を傷つける場合がある。
本来の〈どうして?〉の意味でつかうのは、相手への共感・同情を表すので問題ない。
「会社を辞めさせられた」「なんでやねん」
相手がボケたことを言った時につかうのも、相手を安心させるので話が進む。
「俺はレストランを予約するから、お前は金を払って」「なんでやねん」
相手が真面目に話している時につかうと、相手を傷つける。
男「よく澄んだきれいな青空や。吸い込まれそうやなあ」
女「なんでやねん!」
男「僕と結婚してくれへん?」
女「なんでやねん!」
男「なんでやねん?」
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