河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
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畑89 / 一粒万倍日

2023年09月07日 | 菜園日誌

雑節の「二百二十日」ころから秋植えの種を蒔くつもりだったが、9月3日に種を蒔いた。
宝くじ売り場の「本日は一粒万倍日!」という看板を見たからだ。
一粒の種から万倍の収穫がありますようにという験をかついでのことだ。
しかし、一粒万倍日だからといって、宝くじが当たらないのと同様に、野菜がよく育つとは限るまい。
なのだが、〈いちりゅうまんばい〉という響きに、ついつられてしまう。
新暦の9月を十二支にあてはめると、8日までは申(さる)の月になる。
3日は子(ね)の日で申と相性がいい。
だから、一粒万倍日で吉なのだとか。



古来から信じられている東洋自然哲学に「五行説」なるものがある。
「万物は木・火・土・金・水(五行)によって有為転変する」という説だ。
図の右回りに相性がいい(相生)。
木は燃えて火を生み、火は燃えて灰になって土を生み、土は金鉱を生み、金鉱(鉱脈)は水を生み、水は木を育てる。
星型の対角線は相性が悪い(相克)。
水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、土は水に勝つ。
9月3日は申(金)と子(水)で相生になり相性がいい。
この五行にあらゆるものをあてはめて、相性や吉事を占うのが「五行説」である。
生まれた十二支で人との相性、方角で方位の吉相というふうに。
東洋の占いはすべて「五行説」が基本になっている。

木・火・土・金・水の「五行」に月・太陽の「陰陽(おんみょう)」を加えたのが「七曜」。
かようのごとく「五行説」は日本人になじみ深い。
なのだが、元々は日々に位置を変える水・金・火・木・土の星で吉凶を占おうとしたのが「五行説」の始りだ。
過去に水星がこの位置にあるときはこんなことがあったから、今度も同じことが起こるだろうという占いだった。
しかし、天王星が発見されて「六行」にしなければならないのを、「万物をつかさどる五行」に替えて存続をしたのだから、根拠の薄い説である。

さて、一粒万倍日に蒔いた種の一粒一粒が元気に芽を出し始めた。
だからといって、万倍に育つとは限らない。
しっかりと陽にあてないと、もやしのようにヒョロヒョロになってしまう[徒長]。
ところが、この強烈な日差し!
お日様のご機嫌をうかがいながら、日向にやったり、日陰にやったり忙しい。
やはり必要なのは天地人の力だ。
一粒万倍日など、さほどあてにはならない!
にもかかわらず、もし失敗した時は、11日の、次の一粒万倍日に植え直そうとたくらんでいる。


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