日銀 ETF買い入れ大幅増で “大株主”に
7月29日 5時54分
日銀が大規模な金融緩和策として企業の株式を組み込んだETF=上場投資信託の買い入れ額を大幅に増やしてから29日で1年になります。この間、多くの企業で日銀が実質的に大株主となる異例の事態が進んでいて今後、日銀がETFの買い入れの減額や売却に転じた場合の影響が懸念されています。
日銀は去年7月、2%の物価目標の実現に向けた追加の金融緩和策として、ETF=上場投資信託を市場から買い入れる額を、それまでのほぼ2倍にあたる年間6兆円に拡大することを決めました。
その結果、日銀が保有するETFは今月20日時点で14兆5500億円まで増え、株式市場では株価を支える効果もあらわれています。
その一方で、上場企業の間では日銀が実質的に大株主となる異例の事態が進んでいます。ニッセイ基礎研究所の試算によりますと、ことし3月末時点で日銀が10%以上の株式を実質的に保有している企業は14社に上り、このうち、半導体検査装置メーカーの「アドバンテスト」では16.8%、ユニクロを展開する「ファーストリテイリング」では15.3%に上るとしています。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「日銀が企業の株式を実質的に大量に保有し、当面は売却しないことで、株価が高止まりしやすくなる。その結果、株主や経営者が『株価が下がらないから大丈夫だ』として経営課題を見逃すなど、経営が緩むおそれがある」と指摘しています。
日銀が保有するETFが増え続ければ今後、金融緩和の縮小などに伴う買い入れの減額や売却に転じた場合の影響も懸念され、日銀が物価目標の実現をにらみながらETFの買い入れをどこまで増やしていくのかが焦点となっています。