のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



サルビアの赤

2018年09月25日 | 随想
どんよりとした曇天のもと、我が家の庭には真っ赤なサルビアが咲いています。
サルビアが好き。真っ赤な色が好き。



ソプラノコンサートで「サルビア」という歌曲を聞きました。
堀内幸枝 詩    中田喜直(なかたよしただ)作曲 

初めて聞いて、その詩の強烈さと、たたみかけ断定するような激しい歌い方に圧倒されました。

詩をご紹介します。


「サルビア」    堀内幸枝 詩

サルビアは 赤い花だわ
その花は 血の色だわ
私は その花を見つめていたとき
急に愛の言葉を 口にしたのね

夏の風は あったかいわ
嫉妬する 熱風だわ
かん高い感情の中で とまどった
二人の顔に吹きつけていたのよ

サルビアの 花びらを
いっぱい ふりかけてちょうだい
真っ赤な色に ふちどられて叫んだ
あの時を もいちど 思い出したいの


日本人が作ったとは思えないような、素敵な詩でしょ。
それに旋律とピアノがつくと、さらにかっこいいのです。

オペラチックな発声を駆使して、情熱的に、感情を吐露するような歌い方が今も耳に残っています。
長い人生を送ってきた女性が過去の恋愛を歌ったとしたら、この曲はどんな風に歌われるか?

サルビアは真っ赤で、あの時の恋を想い出すわねぇ。
そうだ、あの夏の暑い日、あんな濃厚な恋をしたんだわ・・・

静かな、淡々とした「サルビア」から溢れる大人の色気。
そんな解釈で聞き、サルビアを眺めるのも一興かと。

20歳には20歳の、70歳には70歳の赤があると思うのです。