百人一首の「ちはやぶる神代も聞かず」の歌を調べて、
「ちはやぶる」は川の神様(龍神様、蛇神様)に付く枕詞であることと、
「ちはやぶる」が付く「春日」大社には元々川の神様である瀬織津姫が祀られていたのに藤原氏の神様に押しのけられてしまったことが分かりました。
(この話はいつかこのブログでも紹介します。)
道速振る 神代も聞かず 龍田川
唐紅(からくれない)に 水くくるとは
(「道(ち)」は、風の道であり、同時に水の道でもある川を意味しています。「速」い川の流れを意味するので、急流で有名な「宇治」川にも付くことができます。龍=川の神様ですから、龍田川は重層的な縁語になっています。)
この歌は、瀬織津姫で始まり、「くくるとは」で終っています。日本神話の神様に菊理媛(くくりひめ)という方がいらっしゃいます。
何か関係あるのかと思い、菊理媛が主祭神の文京区白山神社に行ってみました。
関係は分かりませんでしたが、東京十社巡りというものを知り、巡ることにしました。
十社も巡るので、
お賽銭を沢山用意しなければ、
と思い、
かき集めて透明な袋に入れて
持っていきました。
一つの神社で5個所くらいお賽銭箱がありますし、道中で道端の祠にもご挨拶したいです。
写真は、近所の神社周りの時のものです。十社巡りでは写真の倍以上を持っていきましたが足りませんでした。
白山神社の次に北区王子にある王子神社に行きました。
豊島氏が紀州熊野大社から勧請。
伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、速玉之男命(はやたまのおのみこと)、事解之男命(ことさかのおのみこと)が御祭神です。
王子神社の次は京浜急行新馬場駅前の品川神社です。
鳥居に龍が彫り込まれています。
御祭神は海の神様、忌部氏の祖、布刀玉(ふとだま)命の奥様、天比理刀咩(あまのひりとめ)命。
千葉県館山(安房の国)の洲崎神社から源頼朝が勧請した神社です。龍神様は川の神様でもあり、海の神様でもあるので龍が前面に出ています。
品川神社の宝物殿にある宝物が素晴らしいです。
徳川家康が奉納した国常立尊のお面の表情をぜひじっくり見てみてください。
(画像は下のリンク先の品川神社HPより)
全く古くない今を感じさせるデザインです。
しかも大地に初めて足跡を残した国常立尊のお面というのも興味深いです。(一番偉い神様がこんなお顔だったら世の中が明るくなる気がします。)
本宮洲崎神社のある千葉県の安房と徳島県の阿波は黒潮の蛇行時の還流を使って行き来できます。
徳島の忌部氏が千葉を開拓したという伝承があります。
画像は一昨年の黒潮大蛇行時の海流の動きです。伊豆経由で安房の国(千葉県)と、紀伊の国(和歌山県)や阿波の国(徳島県)が行き来できる海流が見てとれます。
千葉県と和歌山県や徳島県には同じような地形に同じ地名を付けた場所がいくつかあります。
安房と阿波、勝浦市と那智勝浦、白浜町と南紀白浜、布良(めら)と目良。
同じ地形に同じ名前をつけたのは同じ文化を持った集団が行き来していたからだと思います。
千葉県出身者としては、那智勝浦、南紀白浜などと形容詞が付いている方ではなく、付いていない千葉の方が本家だと言いたいところです。
7300年前の鬼界カルデラの噴火以降、縄文時代は東日本の方が先進地域ですから。
「めら(布良、目良など)」という地名を全国で調べると、直角に交わる海岸線を持った地形のようです。
「め」の字に漢字の「布」を当てている場所があるので、縦糸と横糸が直角に交わるイメージ、
つまり縦糸と横糸の間にできる隙間、垂直の角がある「織り目」のイメージではないでしょうか。
「昆布」という漢字に「布」の字が使われています。乾燥後、流通する昆布は細長い四角い、反物のような形です。
「めら」という地名は、昆布の古語「ひろめ」の「め」をとっているのかもしれません。
「め」だけでも、海藻一般を指す言葉です。「わかめ(古語は和布_にきめ)」「あらめ」「めかぶ」などに残っています。
接尾語の「ら」は複数のものを表す言葉ですが、
ここでは合わないので、「浦_うら」の母音が脱落した形と考えるのが妥当だと思います。
「めら」は
「ひろ“め”う“ら”」
が縮まった形ではないでしょうか。
世界的には珍しい、海藻を食べる文化の人々が行き来していたことになります。
ネットで調べると、中国浙江省、福建省では海苔を食べます。
わかめや昆布のようなものを食べるのは、日本、朝鮮、ハワイ、中南米のインカ文化、ヨーロッパではアイルランドに残るケルト文化だそうです。
古代海洋民族のロマンを感じますね。
日本人は海藻を分解する腸内細菌を持っています。
「東京十社巡り」はこれから何回かに分けて綴っていきます。
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