「自由・平等・博愛」…言わずと知れたフランス革命のスローガンですが、これはまさに、18世紀ヨーロッパの知識人に流行した思想です。アメリカ独立の原動力にもなりました。ヨーロッパが王政から市民社会に至る、大きな変革期をもたらした啓蒙思想が行き着いたところです。
と、教科書的にまとめれば、こういうことになりますね。
要するにその頃は、自由じゃないし、平等じゃないし、だから他人を無差別に愛することなんか難しい世の中だった…ということは確かでしょう。
…現代もそうじゃん。
とも思いますが、当時は、現代の比ではなかった。だからこそ「自由・平等・博愛」を熱く、大真面目に言いたかった。でもそれは、ある意味「危険思想」です。実際、革命につながりましたし、ギロチンにもつながった。
危険な思想は、その辺の居酒屋で語り合うわけにはいかない。だから密かに集まる。それで「秘密結社」と言われるようになる。…「フリーメイソン」とは、そのようなものじゃないかと思います。
モーツァルトのような「天才バカ」が夢中になるのもわかります。自由、平等…貴族のご機嫌をとって曲芸のような演奏をするのにウンザリしていたせいもあるでしょう。
モーツァルトがフリーメイソンの会員だった事は知っていましたが、そこにのめり込んで、父のレオポルドや大先輩のハイドンまで、無理に勧誘して入会させたという説は、この間読んだ本で初めて知りました。本当だとすれば、モーツァルトの一途に熱くなりやすく無邪気な性格が伝わってくる。そして、ハイドンも父のようにモーツァルトを可愛がっていたこともうかがえます。…ハイドンはやっぱり「良い人」だった。それ以降の集会には参加しなかったようです。ハイドンは自由や平等より、ただモーツァルトが好きだったということでしょう。
さて、今日の山形Qのリハーサルは、フルートの小松崎さんが参加しての「魔笛」初合わせ。
やはり、そもそもが「The Magic Flute」なのでフルートが入ってこそです。編曲もよくできているのがわかります。
今日は最低限の打ち合わせのみ。バランスや音楽はこびなどは、次回以降にさらに詰めます。
全体として、荒唐無稽なファンタジーのオペラですが、そこには、フリーメイソンの思想に純粋に夢中になってそれをひたすら熱く語っているモーツァルトの姿が映し出されています。
その「純粋な熱量」みたいなものが、演奏する上でも必要な気がします。自分が良いと思っているものを「どうしても人にも伝えたい」というような。そこにハイドンも「ほろっと」きたのでしょう。そんなものが出せたら良いなと。
リハーサルはあと3回。楽しみたいと思います。
チラシを貼らせていただいたり、置かせてもらう活動をしています。
ただいま17箇所及び山形市内公民館