”瀬尾まいこ”さんの小説「夏の体温」(双葉社)を読了しました。このところボクが好んで読む小説は、瀬尾まいこ、辻堂ゆめ、柚月裕子の3人の女流作家の作品が圧倒的に多いように思います。3人の作品は「はずれがない」っていうか、「間違いなく夢中になれる小説」って印象ですね。
”瀬尾まいこ”さんの小説も、3月に読んだ「あと少し、もう少し」、8月に読んだ「春、戻る」、9月に読んだ「私たちの世代は」に続いて、今年4冊目になります。ボクの感性と波長が合うんでしょうかね?子どもが主人公の小説が多く、精神年齢が低いボクは感情移入がしやすいのかもしれません。
この単行本には、表題となっている「夏の体温」を含め3編の短編小説が収録されています。出版元の双葉社のウェブサイトからのコピペですが、まずはあらすじ等を紹介しますね。
■「夏の体温」
<あらすじ> 夏休み、小学3年生の瑛介は血小板数値の経過観察で1ヶ月以上入院している。退屈な毎日に、どうしたっていらいらはつのる。そんなある日、「俺、田波壮太。3年。チビだけど、9歳」と陽気にあいさつする同学年の男子が病院にやって来た。低身長のための検査入院らしい。遊びの天才でもある壮太と一緒に過ごすのは、とても楽しい。でも2人でいられるのは、あと少しだ──。
■ 「魅惑の極悪人ファイル」
<あらすじ> 容姿にコンプレックスを抱く、内向的な大学生の早智。だが大学1年生の時に発表した小説が文学賞を受賞し、にわかに注目を集める。そして3作目。執筆に苦戦し、それまでの作風とは異なった「悪人」を主人公にした小説に挑む。そのモデルに選んだのが、腹黒いと周りから言われている男子学生、倉橋だった。早智が取材を進めてゆくと……。
■ 「花曇りの向こう」
中学1年生の国語教科書に掲載された掌編(ショートショート)で、単行本初収録作品。 装画を手がけた人気漫画家・イラストレーター、カシワイさんの描き下ろし挿絵付き。まるで教科書のように、文章と挿絵をあわせて堪能できる短編。
1つ目の「夏の体温」は、小児病棟が舞台の小説です。主人公の瑛太も良い子なんだけど、3日間検査入院してくる壮太が本当に良い子で、どうやったらこんな心の綺麗な子が育つんだろうって思うくらいです。この3日間で2人は一生の友達だちになったんだろうなぁと思いながら読了しました。”瀬尾まいこ”の小説は、基本的に「悪いヤツ」が出てこないので、清らかな気持ちで読めますね。
2つ目の「魅惑の極悪人ファイル」は、タイトルだけ見ると悪い人が出てきそうです。主人公も悪い人を探してる設定ですが、「ストブラ(ストマック・ブラック=腹黒)」と紹介されて会いに来たのに、全然そんなことはなく、ほのぼのとした読後感を得られました。こちらも最後は「友だちになる」っていういいお話です。
3つ目の「花曇りの向こう」は中学校の教科書に掲載されたホントに短い小説です。ホッコリ気分で読了しました。心が洗われた感じです。
瀬尾まいこさんの単行本「夏の体温」。若い頃の純粋な気持ちに戻ったような気分で読むことができました。汚れた心を綺麗に浄化してくれるような小説です。年寄りには嬉しいね。あぁ!心が洗われた!