中央図書館で開催された映画会で、ドキュメンタリー映画「つつんで、ひらいて」を見てきました。
この映画で取り上げているのは、装幀家の菊地信義さん。空前のベストセラーとなった俵万智「サラダ記念日」をはじめ大江健三郎、古井由吉、浅田次郎、平野啓一郎、金原ひとみら1万5千冊以上もの本を手掛け、40年以上にわたり日本のブックデザイン界をリードしてきた稀代の装幀家です。
この映画は、美しく刺激的な本づくりで多くの読者を魅了し、作家たちに愛されてきた菊地さんの仕事を通して、“本をつくること”を見つめたおそらく世界初のブックデザイン・ドキュメンタリーです。
こういうマニアックなドキュメンタリー映画は、大劇場ではなく小さなホールで見るのがいいですね。今回の映画会の参加者もわずか10数人。互いの息づかいが聞こえるような雰囲気の中で映画を鑑賞しました。しかも入場無料の図書館主催の映画会。お得感も満載でした。
本を取り巻く環境が急速な変化を遂げ、価値観が塗り替えられていく現代で、「読者が欲しくなる本」をこしらえ続ける菊地さんの創作の秘密を紐解き、本を創る人々の情熱と知恵を追いかけたこの映画は、本という表現の可能性をあらたに発見するための冒険と言えます。
なんかこれから書店に行ったら、きっとこれまでは気にならなかったディテールに目が行くことになりそうです。装幀を手がけたのは誰なのだろう?どんなこだわりが隠されているんだろう?どんな人が編集しどんな工場で印刷され製本されたんだろう?そんなことに想像をめぐらすことになりそうです。電子書籍では絶対に体験することができない世界ですね。この文化は絶やすことなく継承していかなくてなりませんね。