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弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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有期契約労働者の試用期間

2012-12-21 | 日記
Q248 有期契約労働者についても試用期間を設けることができますか?


 民法628条は,「やむを得ない事由」があるときに契約期間中の解除を認めていますが,労契法17条1項は,使用者は,有期労働契約について,やむを得ない事由がある場合でなければ,使用者は契約期間満了までの間に労働者を解雇できない旨規定されています。
 労契法17条1項は強行法規ですから,有期労働契約の当事者が民法628条の「やむを得ない事由」がない場合であっても契約期間満了までの間に労働者を解雇できる旨合意したり,就業規則に規定して周知させたとしても,同条項に違反するため無効となり,使用者は民法628条の「やむを得ない事由」がなければ契約期間中に解雇することができません。
 このため,例えば,契約期間1年の有期労働契約者について3か月の試用期間を設けた場合,試用期間中であっても「やむを得ない事由」がなければ本採用拒否(普通解雇)できないものと考えられます。
 3か月の試用期間を設けることにより,「やむを得ない事由」の解釈がやや緩やかになる可能性はないわけではありませんが,大幅に緩やかに解釈してもらうことは期待できないものと思われます。
 したがって,有期契約労働者についても試用期間を設けることはできるものの,その法的効果は極めて限定されると考えるべきことになります。

 では,どうすればいいのかという話になりますが,有期労働契約者には試用期間を設けず,例えば,最初の契約期間を3か月に設定するなどして対処すれば足ります。
 このようなシンプルな対応ができるにもかかわらず,有期契約労働者にまで試用期間を設けるのは,あまりセンスのいいやり方とは言えないのではないでしょうか。
 正社員とは明確に区別された雇用管理を行うという観点からも,有期契約労働者にまで試用期間を設けることはお勧めしません。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨が違法とならないための心がけ

2012-12-21 | 日記
Q247 退職勧奨が違法とならないために,退職勧奨の各担当者はどのようなことを心がければよろしいでしょうか?


 退職勧奨のやり取りは無断録音されていることが多いということは既にお話ししました。
 退職勧奨の各担当者が,自分の行っている退職勧奨のやり取りは全て無断録音されていて,訴訟になった場合は全てのやり取りが裁判官にも上司にも世間一般にも明らかにされることを覚悟した上で,退職勧奨を行って下さい。
 それだけの自覚があれば,よほど退職勧奨に向いていない方でない限り,違法となるような退職勧奨を行うことはないのではないかと思います。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨が違法なることはありますか?

2012-12-21 | 日記
Q246 退職勧奨が違法なることはありますか?


 退職勧奨を行うことは,不当労働行為に該当する場合や,不当な差別に該当する場合などを除き,労働者の任意の意思を尊重し,社会通念上相当と認められる範囲内で行われる限りにおいて違法性を有するものではありません。
 しかし,その説得のための手段,方法がその範囲を逸脱するような場合には違法性を有し,使用者は当該労働者に対し,不法行為等に基づく損害賠償義務を負うことがあります。

弁護士 藤田 進太郎

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