「やだー!どうしてここにあるの!」
声の方を見ると
展示会場の入口付近
声の主の目線の先には
『マムシグサ』の絵
茎の模様が気持ち悪いから嫌い
と
7〜8メートル先にある
『マムシグサ』の絵を遠巻きに
反対側の壁の方へ
足早に行ってしまった
そう言えば
知人に蛇が大嫌いと言う人がいる
図鑑にある絵も写真も
見るのがイヤだからと
そのページは破いて捨てたと
絵なんだから
そんなに嫌わなくてもと
思ったが
嫌なものはイヤなのだ
まあ
絵に臨場感を感じてくれた
といいように解釈させていただいた
私はヘビ年のせいか
たいして気にならない
が
そんな扱いをされると
ヘビが気の毒になる
アトリエの窓から
マムシグサの実が
自分の好みの色になるまで
待つ
雨が降ると
粒が落ちてしまわないか
ヒヤヒヤしながら
待つ
宝石を散りばめたような
カラフルなマムシグサの実を
見つけた瞬間
部屋に持ち込んだ
描き終わるころには
すべての粒が
真っ赤に変わっていた
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