健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

「おじいちゃん、お口臭い」は健康寿命の黄色信号?

2024-08-05 18:12:28 | 日記

 一昨日、歯科医院でお口の半年点検。歯垢・歯石落としやフッ素コーティングで、約1時間、車の半年点検とほぼ同じです。特に問題もなく、次回は来年2月です。

 待合室にいると、コロナ、インフルの感染、重症化予防に歯科メンテナンスを、とのポスターが目に入りました。歯科医院に来る人は歯の健康を気にしている人と思いますので、少しは気に留めてくれるかも知れませんが、はて?プロにメンテナンスをお任せするとして、普段、自分でケアはどうすれば良いのか、タイミング良く、昨日、モンダミンセミナー2024 「健康は健口から! プロから伝えるオーラルケア」に参加してきました(300人限定に応募して当たりました)。

 3つの講演はそれぞれ、歯科矯正学(大学の研究)、現場(歯科医院)、企業の観点から、毎日の自己ケアについて解説されました。そして、今回の目玉、ゲストの女優、戸田菜穂さん(歯科医の子で広島市出身)のトークショー。「モンダミンセミナー」であるだけに、お決まりのモンダミンに誘うべく、洗口の重要性(歯磨きやフロスだけでは不十分)を認識してもらおう、というものでした。

 モンダミンと言っても、CMで「お口、クチュクチュ♪」と言っているお店で買えるものではなく、歯科医院でしか買えないという「モンダミンハビットプロ」の認知度アップです。殺菌剤の塩化セチルピリジニウム、抗炎症剤のグリチルリチン酸ジカリウム、出血抑制剤のトラネキサム酸が配合されていて、効能効果が謳える医薬部外品の洗口液です(効能効果:歯肉炎の予防。出血を防ぐ。歯垢の付着を防ぐ。口臭を浄化する。口中を爽快にする。口臭の防止)。3つの成分がそれぞれ配合された薬用歯磨き粉はありますが、3つ揃って、というのは今のところ見つかりませんでした。辛くない味とサッパリする使用感にこだわったそうで、会場内のお手洗いで試用して、なるほど、という感じでした。お土産にも入っていたので、宣伝する、という訳では当たりませんが、実はネットでも購入できますが、折角なので歯科医院でメンテナンスをしてもらって買った方が良いでしょう。





 個人的には、殺菌剤が配合されているということは口腔内の細菌相を乱してしまうのではないかと抵抗感がありますが、折角いただいたのでしばらく試してみようと思います。講演の中で、口の中にはこんなにもたくさんの、いろんな種類の細菌がいる、とビデオを見せていただき、その中で、ジンジバリス(歯周病菌)とミュータンス(虫歯菌)が悪玉だとの説明がありました。CPCが配合された薬用歯磨き粉も口の中の悪玉菌をやっつける、というイメージCMがあり、清潔志向の日本人には訴求効果は大きいのだと思います。

 歯ブラシ、フロスに加えて洗口液を使って殺菌するのが効果的にも関わらず、洗口液の使用率がアメリカに比べて著しく低いことから(モンダミンセミナーでも言及されていました)、薬剤師が積極的に口腔ケアとして薬局で洗口液を置くことを推進すべき、との見解もあります。でも、私には、短期間の治療なら兎も角、予防的に長期間で使うのは歯周病菌や虫歯菌と闘う善玉菌もいるのに本当にそれで良いの?との思いがつきまといます。私は口腔衛生の専門家ではないので、よく分からないのですが、エビデンスがあるなら推進するのが良いのかなあ?(若い頃、抗菌剤の創薬研究をしていた私が言うのも何ですが)

 それはさておき、最近、お口の健康に関する2つの論文がありましたので紹介します。一つは、口臭が認知症のリスクになること、もう一つは、口の機能低下(オーラルフレイル)が死亡リスクを高めるというものです。

お口臭いは認知症になる?

 日本で2005年からの11年間、平均年齢65.6歳(女性の割合53.6%)について口臭と認知症の関係を調査した東京医科歯科大学からの報告によると、調査終了時の認知症の発症率は全体の6.4%で、重度の口臭の人達の20.7%が認知症を発症していた、というものです。

Association Between Oral Malodor and Dementia: An 11-Year Follow-Up Study in Japan.(Journal of Alzheimer's disease reports. 2024;8(1);805-816. doi: 10.3233/ADR-240015.

 

加齢に伴う口腔機能の低下(オーラルフレイル)と死亡リスク

 京都の亀岡市で、1万人以上の日本人高齢者を対象に、オーラルフレイルと死亡リスクの関連を調べる研究を早稲田大学が行い、オーラルフレイルのある人はない人よりも死亡リスクが高かった、ということが分かったという論文です。なお、オーラルフレイルは所謂フレイル(身体的、精神的)とは切り離したオーラルフレイルだけとの関係を検証したものです。

Oral frailty is associated with mortality independently of physical and psychological frailty among older adults.(Experimental gerontology. 2024 Jun 15;191;112446. doi: 10.1016/j.exger.2024.112446.

 なぜ死亡リスクが高くなるのかについては不明のようですが、オーラルフレイルによって、食べ物を噛む力や飲み込む力が弱くなり、口腔内の衛生状態が悪化して炎症が起きることが考えられます。また、口臭も発生しやすくなるのではないかと思います。具体的には、唾液の分泌が減少して、口腔内の自浄作用が低下し、歯周病菌や虫歯菌などの細菌が増殖しやすくなること、歯磨きが不十分で歯垢が増加すること、食べ物や飲み物が誤って気管に入る誤嚥のリスクが高くなること、などが考えられます。

 オーラルフレイルは、認知症だけではなく、歯周病によって心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病といった全身疾患を引き起こすことが知られています。「お口臭い」と言われたら、要注意。口腔機能を改善しましょう。

 

ということで、薬(洗口液)に頼らない、口腔機能改善の一つとして、唾液分泌を促進する歌唱について。

Let’s sing a song!

口臭の発生を抑えるには、唾液の分泌を促進させることが有効と考えられますが、歌を歌うことで唾液の分泌量が増えることが知られています60歳以上の高齢者(男性10人、女性34人)が椅子に座った状態で咀嚼をしないで自然に分泌される唾液の量を15分間歌った前後の比較したところ、3.3mLから4.0mLに増えたというデータがあります。これは歌の好き嫌いに関係はないそうです。

Possible benefits of singing to the mental and physical condition of the elderly(BioPsychoSocial Medicine 2014, 8:11

 薬は飽くまでも、人間の本来持っている機能(バランスを取る)を引き出す補助をするもの、薬に頼らなくても、歌を歌しましょう。音程が合わなくても良いのです。声を出して歌う、聞いてる人は音程についてとやかく言わない、これで、口腔機能が改善するなら、その方が良いと思います。



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