今日は3ヶ月に一度の脳神経外科での経過観察通院でした。経過観察と言っても、何も変わったことはなく、毎日服用し続けるお薬を処方してもらうだけです。病院で待ち合わせしていると色々と考えることがあります。
常々、生きるってモビールのようなものだと思っていましたが、膝痛になって改めて感じました。
今、痛むのは右膝ですが、それを無意識のうちにかばおうと左ひだりも痛くなります。そして今回のギックリ腰です。
以前の投稿で触れたように、生命活動はエントロピーに抗う動的平衡に成り立つ、平衡はバランスの取れたシーソーのように止まって見えるが実は左右に動いているということです。体内ではヒトの場合、10万種類というタンパク質が様々な機能を持ち、その一つ一つが動的平衡という中で働いています。何十万ものヤジロベエが繋がったモビールみたいと思えてくるでしょう?!でもどこかの一つがバランスを崩すと全体が崩れてしまいます。
これって東洋医学の考え方に似てると言うか、考え方そのものだと思うのです。
西洋医学ではどこかの部位で異常が起きると、そこだけを治そうとします。それによって別の部位が異常を起こすと、またその部分だけを治そうとします。
対して東洋医学では身体全体を診て(顔が赤いとか舌苔があるとか)、また、生活習慣(食事、すいみん、運動など)、環境なども考慮して「証」を決め全体のバランスが取れる漢方薬を処方します。
福岡伸一先生が坂本龍一氏との対談(NHK eテレ)の中で、動的平衡を考えると漢方薬で全体を考えた治療が良いのかも知れないと語ってました。
私は、東洋医学の方が良いとは言いません。だって現実、これまで散々西洋医学に助けて貰ってますから。今日も、いつも通りラモトリギンという抗てんかん薬を処方されました。今更このブログで説明する必要はないと思いますが、脳を手術すると、てんかん発作が起きる”可能性”があるので、その”予防”のためで、車の運転も服用によって発作が起きてないと診断書を提出しないと許可されません(これまで1回も発作はありませんが)。
薬というのは基本的に異物なので身体は体外へ出そうとします。ラモトリギンの場合、グルクロン酸という化合物に酵素の作用でくっけて尿とともに排泄されます。この時、膝痛で使っている痛み止めのロコアテープの成分(エスフルルボプロフェン、ロキソニンの仲間)が体内にあると、酵素の働きが抑えられてラモトリギンが排泄出来なくなりラモトリギンの作用が強く出てしまい、その分、副作用(痒みなどの皮膚障害)も出やすくなります。バランスの崩れ、ですね。私は幸い今のところ副作用は出ていません。西洋医学に頼らないと運転ができないので、副作用(バランスの崩れ)のリスクがあっても仕方ないです。(痛み止めが一生続くのなら考えものですが)
東洋医学の考え方には、生命が持つ自然治癒力を引き出すことが根底にあります。自然治癒力はエントロピーに抗って生命を維持することであり、これこそ、東洋医学だと私は思っています。40億年前に誕生したといわれている生命が長い年月を経て獲得してきたのが免疫、これはバランスを整える自然治癒力とも言えると考えていますが、また別の機会にもう少しお話できれば、と思います。
ところで、今日の診察で「診療酸化型臨床実習を行うことへの同意書」なるものを提出しました。同意書の趣旨は、「医学部4~6年生が患者の診療にあたる診療チームの一員として医療の実際を学ぶ」というもので、私は医学には医術も必要との思いから同意しました。医学を学んでる皆さん、医術も学んで患者に寄り添う立派な医師になって下さい。
こちらは、病院からの帰り道、駅まで25分程度のウォーキング中に、散り始めた桜と路面電車をパチリした写真。平和な広島を象徴する風景です。