浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

「昭和の大戦とあの東京裁判」(平川祐弘)を読んで

2022-08-07 09:00:33 | 国際・政治
 本の内容については異論があるわけではないが、まず初めに次の読後感で考えさせられる。
「プロパガンダ」とは、岩波国語辞典によると、「特定の主義・思想についての宣伝」とある。
つまり、政治は絶えずプロパガンダを内包しているのであろうか、必要悪なのか、民主主義の根幹を揺さぶるものなのか、改めて考えさせられた。


加藤典洋「9条の戦後史」から

2022-04-28 10:08:28 | 国際・政治
 憲法9条の考え方について、戦後の石橋湛山の考え方を紹介していて、共感するところがあったので紹介したいと思います。
「憲法9条は、『世界に完全なる安全保障制度が確立されるまで』との期限をつけて、しばらく効力を停止する。第9条を憲法から削除する必要はない。」として、「まず第3次世界大戦の危険を大きく受け止め、それに対応すべく会見と再整備を考えている点が、ほかの改憲論者たちと違っています。・・」と説明されています。70年も前の議論ですが、世界の覇権的な動きは全く変わっておらず、国連の役割も全く機能していないという実態の中で、いよいよ会見に向けてしっかり議論をしていく時であることには間違いないでしょう。

民主主義の弱点

2022-03-25 05:53:49 | 国際・政治
先般のウクライナ・ゼレンスキー大統領の日本演説を聞き改めて、民主主義と自由の弱点と国民の覚悟といいうものを考えさせられました。
内に秘めた怒りと悲しみの演説に、改めて日本人が依拠すべき覚悟、思想と信条というものがどこにあるのか考えさせられました。
それは歴史と文化を語るという点において、平時にはあまり語られない有事だからこその訴えがあったからです。
例えば、台湾への信仰があった場合、日本はどのような覚悟をもってあたるのか、アジアの平和と民主主義を死守する覚悟とはなんでしょう。
あまりにも平和に浸かった私たちにとって、有事の民主主義が持つ弱さを認識し、覚悟をもって、今回のこのロシア侵攻を見なければならないのでしょう。
たまたま、今、「頭山満伝」を読んでいるだけに、明治、大正、昭和の日本を振り返り、思うところです。 以上

文藝春秋創刊100周年「民意亡国論」佐伯啓思

2022-01-20 17:54:23 | 国際・政治
 副題は、「国民の意思の絶対化が招くこの国の危機」とする寄稿文です。ぜひ多くの人に読んでいただきたいと思います。
 政治家が危機感をあおっていては票につながらず、目先のバラマキやここでいう半径数メートルの議論しかできないのが選挙であり現実です。
ワイドショーでは無責任な議論がなされ、それによって世論(輿論ではない)が形成され、政治家はそれに動かされる、といったパターンでしょうか。
将来を語りつつ嫌なことも言わなければならない政治であってほしいと思っていますし、そうありたいと思うのです。
政治は説明責任と同時に結果責任があるということです。以上

「国家の尊厳」先崎彰容著 新潮社新書から

2021-06-07 17:09:01 | 国際・政治
 イギリスの政治学者マイケル・オークショットの保守的な態度による政治について語っているところを引用します。
 『合理的な人間が行う政治こそ、警戒すべきものです。合理性を政治的価値の中心にすえる限り、現在のわれわれの生き方のある多様性や個性の衝突、つまり非合理な部分は無駄なものに思えてくる。よって統治者は、こうした余計な部分を排除し、社会を効率よく運営し、無駄と思えるものをどんどん切り詰めるようになる。その際、人々を自らの改革に従わせるためにも、理想世界を未来に設定し、先導することになります。動員した人々に対し、将来は約束されており、防湿の心配など一切まいと騙る。しかし「夢を見ることと統治することを連結すると、それは圧政を生むのである」。』
 個人主義や自由主義への潮流の中で、一度立ち止まってこの社会がどうあるべきかを考えないといけないのが、ポストコロナではないかということです。特になんでも理想に向かって変えていくことが良いという信念でで進んでいくと、民主主義の崩壊、それは民主主義が持っちるマイナス面へ突き進むことになります。保守的態度とは、伝統や慣習を踏まえて、社会のきずながどのように生まれてきたのか考えるのもその一つでしょう。また、単なる多数決が民主主義ではないでしょう。