静岡県にある「日本百名城」を探訪する旅の最後は掛川城。
現在、各地の天守を木造で復元しようという動きがあるようだが、この「掛川城」は、日本で初めて「木造」で復元された天守閣だという。
JR掛川駅から真っすぐ北に向かって7~8分歩くと、掛川城跡の見事な天守が目に入ってくる。
左手角に見えるのは、時を知らせた太鼓があった「太鼓楼」。
きつい石段をのぼり、四層から成る天守内部に入る。
建物に入り上層階へは、よほど注意しないと転げ落ちそうな急な階段を昇る。
ようやく最上階にたどり着くと、眼下には「城郭御殿」の全体を見ることができる。
現存する御殿としては、全国でも少ない貴重な建物である。
お殿様になったつもりで、その向こうに広がる掛川の街並みを見渡す。
天守の見学のあと、「城郭御殿」のある二の丸へと向かう。
本丸を囲む位置にあった「三日月堀」は、パンフレットの古い絵図でもその名の通り三日月の形に見える。
ここが城郭御殿の玄関。
この建物は江戸時代後期に建てられた建物で、現存する御殿として貴重なもの。
玄関脇から今下りてきた天守を見上げる。
決して大きくはないが、美しい姿をした天守である。
玄関から書院造りの建物に入り、順路に従って進む。
入ったすぐの「三の間」には、お姫様が着たのであろうきれいな打掛が何枚も下がっていた。
虫干しをしているとのことだった。
思わぬものを見ることができラッキーだった。
いったいどのくらいの数の部屋があるのだろうか、畳敷きで、襖で仕切られた部屋が次々現れる。
二の間、次の間に接する「御書院上の間」は、藩主が謁見に使ったり儀式が行われた部屋で、なかでも格式の高さを感じる。
全国の城跡を見て歩くと鉄筋コンクリート造りの天守が少なくなく、それらは外観は天守閣であっても内部に入ると通常のビルと変わりはない。
今回訪れた掛川城は、「木造」で復元された天守である。
木造ならではの内部の梁や柱、床、階段などが、現存天守を見学したのに近い価値あるものに感じた。