Counting Blessings

シンガーソングライター Yumiko Beckの
活動やあれこれ。

旅日記その13(ナザレ5)

2016年04月08日 | イスラエルツアー2016
ナザレ村の中で一番強く印象に残ったのは、「オリーブ絞り」だった。
一世紀のオリーブ絞りの様子は、十字架に向かう苦難のしもべイエスの姿とあまりにも見事にリンクする。

石臼の中にオリーブの実を入れて、ロバが木の棒に繋がれてグルグル回ると、実が砕かれてペースト状に。

茶色い汚れのように見えるが、これは実際に挽いた後のオリーブの実だ。

このペースト状のものを、真ん中に穴の空いた輪状の籠に詰める。
その籠を幾つも幾つも積み上げると、それ自体の重量が重りとなり、オリーブオイルが絞れる。そのオイルは籠から滲み出て下に溜まる。

これが一番絞り、エキストラバージンオイルだ。

純度の高い高価なオイルで、エルサレムの神殿の燭台(メノラー)や、祭司や王を任命する際に頭に注ぎかけるための油として使われた。

次にエキストラバージンオイルを絞り終わった後の籠を、このような石の重りで再びプレスする。

まずは一つの石でプレス。

すると二番絞りのオイルが取れる。
この二番絞りには不純物が混じるがまだ充分に質が良い。人間のために、料理や香油、薬用に使う。

三回目には全ての石で重さをかけて絞る。
このオイルには、砕けた種が入って汚れてしまい質が悪い。そこでランプ用のオイルや石鹸となる。

絞り終わったオリーブのカスは冬に暖を取るために使われる。オリーブの実には無駄になる部分が全くない。


・・・さて、ヘブル語で「オリーブを絞る」事を「ガッシュマニム」と言うそうだ。
そして、クリスチャンには耳馴染んだ「ゲッセマネ」をヘブル語で読むと「ガッシュマニム」。
つまりゲッセマネとは「オリーブ絞りの場所」という意味なのだそうだ。

ゲッセマネの園は、イエスが十字架にかかる前の晩、その時がまさに来ようとしている事を知り、苦しみ抜いて祈った場所である。

聖書にはイエスが三度祈られた事、そして、
「イエスは苦しみもだえ、いよいよ切に祈られた。汗が血の滴るように地面に落ちた。(ルカによる福音書22章44節 新共同訳)」と書いてある。

オリーブが三度絞られること、三度目にはすべての種が砕けること・・・

あまりの符号ではないだろうか。
イエスは全身全霊をかけて我ら人間の罪の代価を支払うために十字架へ向かわれたのだ・・・

それにしても当時の人々のごく当たり前の営みが、人が神をより深く理解するための標べとなるとは、神のお計らいの緻密さに驚嘆するばかりである。
イスラエルにはこのような標べが、ゴロゴロしている。
(つづく)


※古代のオリーブ絞りの方法は言葉ではイメージしにくいかと思う。"Olive Press"でYouTubeを検索するといくつもビデオが出て来るのでご興味のある方はご覧になって頂きたい。

このビデオは前半が前回投稿した若枝(ナツァール)の話、後半がオリーブ絞りの話だ。
Olive Press-Teaching at the Nazareth Jesus Knew Series


こちらはナザレ村の公式ビデオのようだ。
The Olive Press


モロッコでも同じような手法らしい。オイルが籠から染み出す所など、リアルで分かりやすい。
Olive press traditional berber method - Morocco - part 2

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