想像力を鍛えるには、読書が一番です(笑
それも紙が一番。
という事で、初めて読む作者さんですが「ホワイトバグ 生存不能」を読みました。
安生 正さん著です。
この本を手に取った時は、当然内容も知らず
「雪山で発生した壮絶なトラブルに対処しつつ、何とかチームを下山に持っていく冒険活劇」
かと思っていました。
ところが、読んでいくうちに・・・いや1ページ目から、船の遭難が描かれます。
「あれ?」
と出鼻をくじかれました。
総じて、面白かったと思います。
「そうくるか」という、驚きの状況下で進められるシナリオ。
なかなかですね。
多分、映像化を想定した章の構成になっていると思われます。
映像化したいんだろうな~と。
それほど、世界を股にかけた壮大なフィールドで発生する問題に対する話です。
壮大です。
いかに、この大きな話を、大きな話のまま、大きな解決策を生み出すのか。
見ものです。
ただ、この手の話は、読み手の方が難しい。
1人称でしか読めない人・・・つまりキャラクターに対して感情移入をしないとシナリオが理解できない人には、理解が難しい。
3人称、つまり全体を俯瞰的に読めないと、全体の状況がわからない内容になるかと思います。
それだけ壮大です。
と言いつつ、う~んと思ったところ。
途中までは問題提起や人間模様が描かれます。
その中で出てくる政治家は、いわゆる「傲慢」なキャラクターで描かれます。
とはいえ、現代の政治家とは違う「思い」があるキャラクターというのは興味が惹かれるところですが、この政治家の主な仕事は?
それは、シナリオを進める人、つまりキャラクターをコントロールする人たちです。
ここを読み間違える、1人称で読んでしまうと、とんでもない読み方をしてしまいます。
その中で、この政治家からの指示で中盤から大きな流れが動き始めます。
つまり、起承転結の「転」が始まります。
「おっ!はじまるぞ!」
とう期待感とともに、盛り上がりを期待させます。
あくまでも、私の感想です。。。
期待させるほど、盛り上がりません。
いや、シナリオ的には盛り上がっているのですが、いまいち狭い範囲だけで「わちゃわちゃ」やっているような感じです。
なんというか・・・
仮面ライダーや戦隊ものが、「世界征服」を企む悪の結社と戦うために、幕張や川崎の某企業の入り口前広場で戦っているような感じ。
そんなところで戦っていても、世界ではもっと大変なことになっているだろに。。。。
そのあたりのフォローが少なく、ただただ、作者が好きだろう「銃器、武装の説明」が常時行われるという異常な状況。
そして、解決策が「ある坑道」に対象を誘い込み・・・というオチ。
あまりにも小さい感じがしました。
というのも、このホワイトバグと称される「対象」・・・まあ、虫なんですけど・・・この虫の扱いが難しいのだと思います。
ネタばれですが、この虫が暴れるという内容ですが、虫が大量発生すると人間には対処方法がありません。
それなのに対処しようという話ですので、オチが作りにくいというところではないでしょうか。
それも、虫は小さい(笑
話の前半~中盤までは、数ミリ程度の虫と描かれます。
それがですね、後半には・・・私のイメージの中ですが・・・10ミリから50ミリぐらいのイメージに感じられます。
明確に文章で記載されませんが、人類を襲う雰囲気が「虫をどんどん大きく」見せてしまいます。
これを映像化すると、前半と終盤で虫の大きさを変える必要があり、変な矛盾が生じてしまう。
つまり「嘘くさく」感じます。
あと、日本人大好きな「お涙頂戴」ネタが最後に待っています。
私的には「あ~あ、やっちゃった。嘘くさいお涙頂戴ものだ」と思ったわけです。
なんで、こんな内容を取ってつけたようにつけちゃうんでしょうかね?
原作は読んでいないのですが、映画「ローレライ」の終盤、ある役者さんが入っていはいけない部屋に、修理をするため一人乗り込むという内容を見て、同じことを感じたものです
明らかに「お涙頂戴」のために、取ってつけた内容のように感じます。
もっとしっかりと解決策を練ってねって練って、困難を解決するという話にしてほしい。
所々に、「死亡フラグ」的をまいて、キャラクターを消していくというのも幼い感じがします。
日本の物語は、なんでこんな決まりきった、くだらないシナリオにしちゃうんだろう?
「頑張って、みんなが生き残る」
なんで、こんな話にできないんだろう?
冒険野郎マクガイバーを見習ってほしいものです(笑
とはいえ、全体的な流れと壮大さは一見の価値があります。
ただ、問題の対象が「虫」というのが難しいところかなと思いますが。