雑にゃん日記<俺ってズレてる?>

いろいろな趣味や語りを書きたいと思いまーす。
私の頭の中、一般的と言うものとはズレているみたいです。

杉村三郎は、貧乏くじを引き続ける

2023-01-09 13:21:33 | 読書

昨年2022年。

ひたすら読んだ小説があります。

これ。

宮部みゆきさん著書の「杉村三郎シリーズ」(というシリーズ名なのかな)。

ちなみに、1作目の「誰か Sombody」は出張中です(笑

4作目の「希望荘」は、今読み始めました。

 

宮部さんの作品は、好きな作家さんです。

女性の作家ですが、思い込みというかバイアスが少ない作家さんだと思っています。

「男だからこうあるべき」「女だからこうだ」という、いわゆる”性善説”に基づいた「きれいごと」を描かない作家だと思います。

自分は、すごい上の方にいて、キャラクターや世界観を客観的に平等な目線で見ている感じがします。

正しくキャラクター性を描き出し、”性悪説”を基に物語を複雑に持っていく手法。

面白い、本当に面白いです。

 

そして、このシリーズの主人公「杉村三郎」さん。

各シリーズで色々なトラブルに巻き込まれます。ですが、あくまでも客観的にふるまいます。

面白いですね。

客観的にふるまっていても、周りがトラブルを起こしていくので、物語の中心に連れていかれてしまう・・・悲しい性分。

そして、信用できると思っていた人物にさえ裏切られる。

そのすべてが人災であり、それぞれの人物にある「心の毒々しい」ところに毒される。

それを、怒ったり暴れたりという解決策では無く・・・”あきらめ”というか、次のステージに進む事で乗り越えていくという姿。

宮部さんならではの話と思えます。

 

ある本に書いてあったのですが、人間は”性善説”にとらわれているようです。

それは、信じることで村社会の平穏を作り出しているとの事。逆に蹴落とす戦略も考えるという複雑なこともやっていると。

「イケメンは悪い事は無しない」

「不細工は犯罪者だ」

と、思っていると。「イケメンについていれば利益がある」という事が、DNA的に「悪い事はしない」と刷り込まれているからだそうだ。

これは、本能的な事なので、個人的にはどうしようもない事らしい。

ただ、宮部さんと言う方は、この本能を超えているようで、女の”どす黒い”ところも平然と描き出してしまう。

いや、これこそ人間の悲しい性(さが)なのですが、見事に、客観的に見て取れる作家さんなのでしょう。

そしてキャラクターには「私の好きにして何が悪いの?」と言わせてしまうリアル感。

男女では無く「人間」としての、悲しい性(さが)を描き出す作家さんだと思います。

 

他に思う事として、宮部さんの作品に多くあるのが、複数の話が並列すること。

そして、片方の話をしていると、もう片方の話を完全に忘れさせてくれること。

しかし、いつの間にか綺麗に合流し、全ての謎・・・アニメ的に言えば伏線(笑・・・が綺麗に、かつ全て語られること。

忘れ物が一切ない。

書き始める前に、どれだけシナリオを作りこんでいるんだ?とか、よく伏線を忘れないな~とか思ってしまいます。

まあ、このシリーズは、人の汚いところが残るので”モヤモヤ感”は残りますが。

それでも杉村さんは、乗り越える・・・というか、次のステージに移っていく。

強いわけでは無く、あきらめで。

それゆえに、次の本が楽しみになってしょうがない。

面白いお話です。

 

私は、性善説が嫌いです。

母親が子供に「赤信号を渡っちゃいけません」と言いつつ、子供の目の前で赤信号を渡り「誰もいないから大丈夫なの」と言う姿を見ると、愕然としてしまいます。

多分「自分は正しい」と言うのが、この人の性善説。

つまり、「言っていることと行動が一致しない」という姿を子供に見せていることに気が付いていない・・・どす黒い姿。

これを”善”と言うには、あまりにも空しい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 初詣、というか月初恒例のお参り | トップ | 今日は、ガスレンジ大掃除 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書」カテゴリの最新記事