今日のひと日のなんと艶(あで)やかなことよ。
路を歩けば春の風が頬をなでる。
秋草学園高等学校の卒業式は、春の桜の艶(あで)やかさを纏(まと)って厳かに挙行された。
私も数年ぶりに参加したが、やはり、いいものだった。
担任の先生が一人一人の名を呼ぶが、「はい」と返事して立ち上がるそれぞれの姿に、
この3年間が現れている。
生徒の発声は今日、この一言に尽きるのである。
すっくと立ちあがる彼女らの姿を、僕は一人一人 残らずに見つめた、
頑張って行け、と思いを込めて。
中学期に比べたら、高校生は大人に近いのだろう、中学のそれに比べて返事の声がずっと大きい。( 声を出すという葛藤を とうに乗り超えているようだ )
厳かな式に合わせて、吹奏楽部の演奏がそこにさらなる情を引き出す。
そして、僕は この学園歌が好きだ。
その一番を紹介する。
春の宵の絵巻よ
新たなる粧こらし
あこがれに胸おどらす
美し御国の乙女らに
我が学園はおくる
香ぐわしの技能
卒業生諸君に幸あれ。 学園に光あれ。