2022年6月3日 05時39分 (共同通信)より
みんなで緑を守っていこう! となりのトトロの構想を練ったといわれる「かみのやま」のみどりを。
そう願って、計画を始めたのはもう数年も前になるだろうか?
だけど、さいごは、「購入型クラウドファウンディング」(絵を買っていただくという形)しかとれませんでした。
それはいろんな意味で申し訳なく思っています。
最初、区画整理が進むにあたって、そんなに緑が削られてしまうのか!? と驚きました。
宮崎駿監督とも歩きながら、お話を聞いて、できる限り保全していこう、と決意しました。
そして、職員みんなで相談し、
「市が寄付を募って、みんなでみどり保全に参加する形をとれればいいね。」
と構想しました。
でも、もしできれば、宮崎駿監督にもご協力いただけないかな?
そこでスタジオジブリにもお願いして、なんとご協力いただけることにもなりました!!
(長い間準備してきました)
背景画を贈っていただけることになったのです。
私たちは心から喜びました。
すごいね! 市内外の人が協力してくれるかもね、と。
しかし、
・市(自治体)が寄付を受けると、それはすべて「ふるさと納税」として扱われる、
・トトロの背景画は価値のあるものだから、それはお礼ではなく返礼品に当たる、
という見解にぶつかったのです。
「ふるさと納税」は、よその住民には返礼品を出してもよいが、自分の市の市民には出せない制度に今はなっています。
でも、市の緑です。市民にこそ募り、お礼をしたかったので、返礼品ではなくて「単なるお礼」だと主張しました。
が、認められませんでした。
そうこうしているうちに、さらに課題が出てきました。
となりのトトロの背景画はジブリにとっても大切な芸術作品です。
ですから、色彩をちゃんと表現できる、ジブリ指定の印刷所で印刷しました。
すると今度は、
「地元の印刷所での印刷ではないから地場産品とは言えない」
つまり、返礼品としても認定できない、という見解を言われてしまったのです。
結局、ふるさと納税の形では、(市民にも、市民以外にも)贈られた貴重な絵をお渡しすることできないので、
ふるさと納税の制度を活用するのはあきらめよう。
新たな手法、クラウドファウンディングでやってみよう。
クラウドファウンディングには寄付型と購入型があるので、
トトロの背景画はあくまで「気持ち」なんだから、もちろん寄付型でやろう、
と職員に指示しました。
が、自治体が行う場合、寄付型は「ふるさと納税」扱いされてしまうとのこと。
いずれにしても市民にはお渡しできない、ということが判明したのです。
(というより、返礼品にも認定されないので市民はもちろん、市民以外にもお渡しできない)
最後に残されたのは「購入型クラウドファウンディング」のみ。
絵を買っていただくことで、その代価として寄付をいただくという形式です。
協力してくださった宮崎監督もジブリも、購入してもらおうなんて思っていなかったと思います。
みどりを守るのに協力してくれる人々へのお礼のしるし として、
作品の提供に協力してくださったのです。
しかし、その純粋な思いが、「既存の制度に阻まれて」 こういう形でしか募れない、
事になってしまいました。
最初のころは、「ふるさと納税」は、自分のふるさとに対する気持ちとして始まりました。
それが、返礼品競争が激化したことで、
1.返礼品は市民に出さないこと、
2.(金券などで誘ってはいけない)つまり、返礼品は地場産品であること、
3.経費含めて5割以上返礼品に充てないこと、
など制度が厳格化して変化したのでありました。
だが、それに阻まれ、本市の純粋な「寄付募集とお礼」のかたちは不成立になってしまったのです。
理念があって制度ができたのに、それが本来の理念達成を阻んでしまう、何とも皮肉です。
ですので、「ふるさと納税」としても寄付を受け付けています。
が、背景画はお贈りすることができません。
絵はもらえなくても、寄付をするよ、 という方はぜひふるさと納税に寄付いただければ、幸いです。
※ 結局「クラウドファウンディング」を利用するしかなくなってしまいました。
ところが、クラウドファウンディングに参加するにもサイトに474万円も取られてしまう・・・。
(返礼品だとしても「ふるなび」とか「さとふる」とか、いずれにしてもそれ以上にサイトにとられてしまいますが・・・)寄付を応援するサイト、クラウドファウンディングも今やその運営で生活している人がいる、ということなのです。
寄付行為の市場化と私はそれを呼びたいと思います。