CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

22-097「ハッチング 孵化」(フィンランド)

2022年05月03日 23時28分54秒 | フィンランド映画
私が育ててしまったの
 北欧フィンランドで家族と暮らす12歳の少女ティンヤ。完璧で幸せな家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすため、すべてを我慢し自分を抑えるようになった彼女は、体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。
 ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。ティンヤが家族には内緒で、自分のベッドで温め続けた卵は、やがて大きくなり、遂には孵化する。
 卵から生まれた「それ」は、幸福に見える家族の仮面を剥ぎ取っていく。(「作品資料」より)


 12歳の少女、ティンヤは父親、母親、弟の4人家族。

 母親が、家族の幸せそうな様子を映像に撮り、素敵な家族として日々配信している。

 一見幸せそうな家族であるが、ティンヤがある夜森で見つけた卵を温め育て、やがてそれが孵化すると、家族の裏に隠された影が露わになっていく。

 母親は自分のことばかり考えているようで、勝手に自分で家族の幸せ像を作り上げている様子。
 ティンヤが体操をしているのも、母親から言われているからのようである。

 しかも、ティンヤに対し、自分が恋していることを話してしまう母親。
 いわゆる浮気であるが、更に相手の家にティンヤも連れていくほど。

 そんな中で、ティンヤが孵化させ、育てたそれは、まるでティンヤが抱えている怒りや不安を感じるようで、それは恐ろしき行動を取るようになる。

 ある意味、それはもう一人(一羽)のティンヤという感じである。

 ティンヤが怒りを感じたり、邪魔だと思った相手に危害を加えるようになるそれ。

 しかも、その姿が徐々に変わっていくのが興味深い。

 ティンヤはそれの存在を消し去ろうと考えるが、果たしてその結末は。

 ラストは何とも悲劇的であるが、皮肉な結末でもある。

 幻想的な雰囲気の中で、おぞましきものの姿、行動を見せ、惹き込まれる。

 これはファンタジックなホラーと言ってもいいのかも。

/5

監督:ハンナ・ベルイホルム
出演:シーリ・ソラリンナ、ソフィア・ヘイッキラ、ヤニ・ヴォラネン、レイノ・ノルディン
於:新宿シネマカリテ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 22-096「男たちの挽歌」(香港) | トップ | 22-098「THE3名様 リモ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

フィンランド映画」カテゴリの最新記事