CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

17-106「静かなる叫び」(カナダ)

2017年04月14日 00時55分11秒 | カナダ映画
彼には解放、私には呪縛
 1989年12月6日、モントリオール。理工科大学に通い、就職活動中の女子学生ヴァレリーとその友人ジャン=フランソワが、いつも通りの生活を送っていたその日、平穏な日常が突然、恐怖に染まる。
 ライフル銃を手にした男子学生の1人が、女子学生目がけて次々と発砲し始めたのだ。容赦ない銃撃に逃げ惑う学生たち。犯人は14人もの女子学生を殺害した挙句、自殺を図る。
 重傷を負いながらも生き残ったヴァレリーと、負傷した女子学生を救ったジャン=フランソワ。
 心に深い傷を負った2人は、その後も続く非日常の中でもがき苦しみ、戦い続けるが。(「KINENOTE」より)


 「プリズナーズ」「ボーダーライン」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の、2009年製作の作品。

 1989年に起こったカナダ、モントリオール工科大学での銃乱射事件を題材にしている。

 
 一人の青年が大学にやって来て、女学生たちにライフルを乱射する様子と、その標的になってしまった女学生、ヴァレリー、そして重症を負った女学生を救助する男子学生、ジャン=フランソワの姿をメインに物語は展開される。

 そして、銃乱射事件だけではなく、その後の学生たちの姿と心情も描いているのだが、そこにはあまりにも理不尽な出来事、死への恐怖を目の当たりにしてしまった者の苦悩が描かれている。

 余計な演出はこそぎ落としたような感じで、BGMの音楽も無かったようだし、全てモノクロの映像で映し出されている。

 犯人、ヴァレリー、ジャン=フランソワの心情はじっくり描かれているが、その分、事件の様子はドキュメンタリーのように淡々と描かれ、逆に緊迫感と恐怖を表しているようである。

 
 事件が起こっている最中、いきなりジャン=フランソワの生活が描かれたりして、話がとんだりするところもあるが、そこに彼の苦悩、事件が残した傷跡が描かれ、何とも言いようのない運命となっていく。

 そして、標的となった女学生であるヴァレリー。
 彼女にも大きな傷は残り、その心情は最後の独白に表される。

 果たして彼女もジャン=フランソワと同じ運命を選択するのか。


 かなりリアルな銃撃シーンと、掘り下げられた心情、衝撃度の高い作品だった。


 結局、犯人は14人の女子学生を殺害し、自ら命を絶ったという事件。
 最後に犠牲になった女性たちが映され、何とも言えぬ気持ちにさせられたな。

/5

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:カリーヌ・ヴァナッス、セバスチャン・ウベルドー、マキシム・ゴーデット
於:ヒューマントラストシネマ渋谷

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