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猛烈な台風2号、4月としては観測史上最強>接近中!

2021年04月18日 23時41分26秒 | 天候のこと
猛烈な台風2号、4月としては観測史上最強 なぜ発達?


台風2号が、4月としては過去に類を見ない勢力に達しています。18日(日)の中心気圧は、気象庁の解析では895hPa、アメリカ軍による解析では888hPaとなりました。4月の時点で800hPa台の台風が発生したことは、これまで一度もありません。


台風2号の強さ


先週熱帯低気圧が日本の遥か南の海上で発生、その後パラオ周辺でゆっくりと発達し、16日(金)に「台風2号(国際名:スリゲ)」となりました。その後急激に勢力を増し、17日(土)には「非常に強い勢力」に、同日夜には「猛烈な」勢力となりました。

気象局と米軍による、18日時点の解析値は下記の通りです。その数値は目を見張るものがあります。

<気象庁>
・中心気圧 895hPa
・最大風速(10分平均) 60m/s
・カテゴリー「猛烈」(最強ランク)

<米軍合同台風警報センター>
・中心気圧 888hPa
・最大風速(1分平均) 85m/s
・カテゴリー「スーパータイフーン」(最強ランク)

※一般に中心気圧が低ければ低いほど、風は強くなります。

この時期としては初の800hPa台

一般に台風の活動がもっとも活発になる時期は、海水温が十分に温まる夏から秋の頃です。4月30日までに発達した台風の中で、これまで最強とされてきた台風は、910hPaまで中心気圧が下がった2015年の4号台風(メイサック)でした。

つまり今回の2号は、1月から4月に発達した台風としては観測史上最強、かつ初めて800hPa台に突入した台風となります。

なお1971年の5号(Amy)は、5月2日に中心気圧が890hPaまで下がりました。

フィリピンに上陸回避

18日15時発表の予想進路図 (出典: 気象庁)

800hPa台の規模の台風は、一年を通してみても、そう発生するものではありません。その発生数は1951年以降で40個未満です。

それほど珍しい強さの台風が、物理的にも精神的にも台風への準備ができていない時期に襲ってきてはひとたまりもありません。

幸い2号はフィリピンへ上陸する恐れはなく、東の海上を北進する見込みです。ただ問題なのはその動きで、非常にゆっくりとしたペースで21日(水)頃までフィリピン近海にとどまります。同国では強風や大雨に加え、最大12メートルの高波も予想されています。


サイクロン「セロジャ」も記録的


2号が猛威を振るう北太平洋ですが、赤道を隔てた南太平洋では今月はじめに記録的なサイクロンが発生していました。サイクロン「セロジャ」です。インドネシアや東ティモールでは、月間降水量の6倍もの雨が降り、洪水や土砂災害などで200人以上が亡くなりました。

セロジャはその後11日(日)にオーストラリア西部を直撃しています。上陸時の勢力は「カテゴリー3」で、過去にオーストラリア南西部を直撃したサイクロンの中でも、最強の勢力での上陸となりました。カルバリでは、町の7割の住宅が損傷を受けたほどでした。



高い海水温とMJO

でも一体なぜ、太平洋では次々と恐ろしい嵐が発生しているのでしょうか。

一つ目の理由が高い海水温です。台風2号もセロジャも、30度近い温かい海の上で発達をしました。さらに表面だけではなく、海の比較的深い層でも温度が高くなっています。

二つ目の理由は、「マッデン・ジュリアン振動(MJO)」と呼ばれる現象です。これは移動する活発な雲のエリアで、インド洋をスタートして赤道に沿って東進し、30日から60日かけて地球を一周します。今月はこのMJOの影響で、西部太平洋で次々と雲が渦を巻きやすくなっていると考えられています。

まだ4月の時点で記録破りの台風が発生してしまいました。早いうちから台風の備えをしておくのも一考かと思います。



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2020年の初め>コロナウイルス>有効な対策は手洗い、うがい、それに十分な睡眠と栄養で抵抗力を付けること>過度に恐れる必要はない

2021年04月18日 23時30分29秒 | 医療のこと
有効な対策は手洗い、うがい、それに十分な睡眠と栄養で抵抗力を付けること。これも風邪やインフルエンザと同じだ。

中国本土の感染拡大を見て、慌てる必要はない

 その正体が次第に分かってきた。いま問題となっている新型肺炎の病原体「ウーハンコロナウイルス」のことである。

 昨年12月中旬ごろから中国の武漢(ウーハン)市で感染者が次々と発生し、その後、同市を中心に中国本土の感染者は増え続け、1月31日現在、世界中の感染者は1万人を超えようとしている。

2002年から03年に流行したSARS(サーズ)の感染者数(約8000人)を超え、死者数は200人を超えた。感染は20以上の国・地域に広がり、日本国内でも感染者が現れている。

 ただ、この感染拡大に慌てる必要はない。日本や中国本土以外の国・地域での死者はゼロだ。医療設備や医療体制が十分整っていない中国だから、あれだけ感染が広がり、その結果、死者が増えているのである。

 事実、中国から届くSNSの映像を見ると、武漢の病院は重症度によって治療の順番を決めていく「トリアージ」さえできていない。「発熱しているのに診察してもらえない」と興奮して訴える医療関係者の姿もあった。病院の中がパニックとなり、機能不全に陥っている。

 WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長がスイス・ジュネーブの本部で1月30日、「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。

  WHOや日本の厚生労働省によると、ウーハンコロナウイルスは飛沫感染によって広がる。ウイルスを含んだ感染者のせきやくしゃみによる飛沫(しぶき)を浴びたり、テーブルやドアノブに付着した飛沫に接触したりすることで感染していく。 
■インフルエンザやSARSよりも「感染力」は弱いか

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、1人の感染者が何人に感染させるかという感染力は、暫定的に「1.4人~2.5人」と見積もられている。

 これは「2人~5人」だったSARSや、「1.4人~4人」というインフルエンザに比べれば弱い。空気感染(飛沫核感染)するはしか(麻疹)の「12人~18人」と比較すれば、その感染力の弱さが分かるだろう。つまり共に長時間生活するなどの濃厚接触がない限り、感染しないのである。

 症状は発熱、せき、息苦しさ、下痢だ。風邪やインフルエンザとよく似ている。肺炎を併発するケースが目立っているが、多くの感染者は軽症で、しかも無症状(不顕性感染)の感染者もいる。

 感染者のどのくらいが命を落とすかという致死率はいまのところ3%程度で、10%だったSARSの半分以下だ。

 有効な対策は手洗い、うがい、それに十分な睡眠と栄養で抵抗力を付けること。これも風邪やインフルエンザと同じだ。

■日本で中国のような感染拡大は起こり得ない

 こうした事実を踏まえると、新型コロナウイルスを過度に恐れる必要はないことがわかる。特効薬やワクチンはないが、対症療法で十分に対応できる疾患である。

 はっきりいって、日本のほとんどのメディアは騒ぎすぎだ。まるでエボラウイルスのような致死率の高い病原体が空気感染するようになって人類を襲ってきたかのような騒動だ。ここは事実を正確に把握して、落ち着いて対処することが重要である。ひとことで言えば、医療の充実した日本で中国のような感染拡大は起こり得ない。

 ただし、次の2点には注意してほしい。

 1点目は「潜伏期間」について。新型コロナウイルスは感染してから発症するまで1日から14日あるとみられている。この潜伏期間中に他人に感染させる危険性がある。さらに感染しても発症しない不顕性感染者の存在も指摘されている。そうした場合、感染者には自覚症状がないため、元気に歩き回り、感染を広める危険性がある。

  2点目は「健康弱者」について。新型コロナウイルスの症状は、その多くが軽症だが、心臓病など基礎疾患のある人や高齢者といった健康弱者は、症状が重くなる危険性がある。身の回りにそうした健康弱者がいる場合は、特に注意が必要だ。
■強制入院を実行できる法律の施行は2月1日に前倒し

 日本政府は1月28日の閣議で、問題の新型肺炎を「指定感染症」に指定する政令を決定した。

 指定感染症の対象は、国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れがあるものだ。これまでにSARSのほか、鳥インフルエンザ(H5N1型、H7N9型)やMERSの4つが指定されている。指定感染症になると、次のことが可能になる。

----------
・患者に入院を勧告し、従わなければ強制入院させることができる
・就業を制限できる
・患者の医療費を公費で負担する
----------

 日本政府は、WHOが23日、「国際的な公衆衛生上の緊急事態」の宣言を行わなかったため、指定を見送っていた。しかし中国政府が26日、感染力が強まっているとの見解を示したことから「感染の封じ込めには指定感染症の指定が必要だ」と判断したという。

 日本政府は指定感染症とするだけでなく、「検疫感染症」にも指定する。指定されると、空港や港で入国者に感染が疑われた場合、国が検査や診察を受けるよう指示できるようになる。入国者が指示に従わなければ、罰則の対象となる。新型コロナウイルスを「指定感染症」や「検疫感染症」とする法律の施行は2月7日となる予定だったが、これは2月1日に前倒しになった。

■日本国内で初めて「症状のない感染者」が確認された

 さらに政府は、全日空のチャーター機を武漢に派遣することを決め、28日夜に第1便を飛ばした。武漢市のある湖北省全体では1月27日時点で、日本人560人の滞在が確認されており、その大半が帰国を希望している。

 第1便では29日に206人が帰国したが、3人からウイルスが検出された。

 厚生労働省によると、今回ウイルスが検出されたのは、発熱やのどの痛みの症状で入院した50歳代の男性と、症状はなく、政府が手配した千葉県勝浦市のホテルに滞在した40歳代の男性と50歳代の女性の計3人だ。不顕性感染者とみられる症状のない感染者が確認されたのは、日本国内で初めてだ。

 各紙の社説はどう書いているか。

 「中国・武漢で発生した新型肺炎の広がりが止まらない。中国国内の患者は約6千人にのぼり、死者は100人を超えた」
「日本でも、現地への渡航歴がない男性の感染が確認された。人から人への国内で初の二次感染だ。潜伏期間中にも伝播する可能性が指摘されており、事実ならばさらなる拡大が見込まれる。長い戦いになる覚悟をもって、着実に備えを固めたい」

  こう書き出すのは1月30日付の朝日新聞の社説だ。見出しも「新型肺炎拡大 長期化に備える覚悟を」である。

■読者の不安を煽るような筆運びの朝日社説

 朝日社説は患者と死者数の多さを示し、二次感染と潜伏期間中の感染を指摘する。読者の不安を煽(あお)るような筆運びである。しかも「長い戦いになる」とまで書く。

 「思い起こすべきは過去の教訓だ。09年に発生した新型インフルエンザでは、発生国への渡航歴に注目して水際で警戒を続けた。ところが実際は、現地に行っていない高校生から発症者が見つかり流行へとつながった」

 人から人へと伝播する新型インフルエンザは水際では防ぎ切れない。09年の新型インフルエンザは、アメリカとメキシコの国境辺りからアウトブレイク(地域感染)を起こし、数カ月で世界中に広まるパンデミック(地球規模の感染)を引き起こした。果たして今回の新型コロナウイルスはそこまで感染力が強いのだろうか。疑問である。

■感染症対策に欠かせないのは、バランス感覚

 朝日社説は書く。

 「強い毒性をもつという想定も違って、症状の軽い患者を中心に急速に拡大。指定医療機関では収容しきれなくなる恐れが生じて、混乱も起きた」

 この書き方も疑問が残る。あの新型インフルエンザウイルスは、確かに病原性(毒性)の弱いタイプだった。一方、今回の新型コロナウイルスは、感染力も毒性も弱い。よって朝日社説が指摘する医療機関の混乱は起きないだろう。

 一方で、朝日社説のこの部分は同感だ。

 「未知の感染症への対応は、ときに相反する要請の間で難しい判断を迫られる。ひとつは、常に最新の知見に基づき、被害を過小に見積もらないこと。もうひとつは、行動の自由を制限する措置は最小限とし、人権を不当に抑え込まないことだ」

  要は感染症対策に欠かせないのは、バランス感覚なのである。 
■長距離バスのような「濃厚接触」がなければ感染しない

 毎日新聞の社説(1月30日付)は「新型肺炎の国内対策 不安に応える情報発信を」との見出しを付けてこう指摘する。

 「中国を発端とする新型肺炎に日本人が日本国内で感染したケースが明らかになった。武漢からのツアー客を乗せたバスの運転手で、バスの中で客から感染したと考えられる」
「密閉された空間で長時間感染者と過ごせば感染のリスクがあることは予想されていた。家族内の感染と同様であり、その点では想定内のできごとである」

 このバス運転手の感染は、武漢に行ったことのない日本人が日本国内で発症した最初の事例として取り上げられている。だが、これも毎日社説が指摘するように想定された範囲でのことだ。驚くことではない。長距離走行のバスのように、長時間、共に過ごせば感染する。厚労省が注意している濃厚接触の分かりやすい例である。言い換えれば、そこまでの接触がなければ感染しないのだ。

■世界中の専門家が一丸となって新型ウイルスに立ち向かっている

 毎日社説は訴える。

 「政府は対応の判断を自治体任せにせず、根拠のある基準を示してほしい。それが、人々の不安や感染者への差別を抑えることにつながる」
「ただ、その場合にむずかしいのは、今回の新型コロナウイルスの性質がまだよくわからないことだ。軽症者や、無症状の感染者、潜伏期間にある感染者からどの程度感染するのかもはっきりしない」
「無症状や軽症の人からもかなりの確率で感染するとすれば、武漢とのつながりがわからない感染者が今後、国内でも出てくるだろう。その場合には新たなステップの対応が必要で、今から備えを進めておくことが重要だ」

 ウイルスの分析は各国の研究者の協力で進み、詳しい性質がわかるようになっている。培養に成功したというニュースもある。ウイルスの有無を短時間で確認できる検査キットや、症状を軽くするワクチンの開発も始まっている。特にワクチンは新型インフルエンザ対策で培った細胞培養の技術などを駆使すれば、量産のめども立つはずだ。

  いま世界中の感染症の専門家が一丸となって、新型コロナウイルスに立ち向かっている。その姿は感動的だ。国際政治の世界でも、こうした協力態勢があれば、さまざまな問題が解決できるだろう。無用の駆け引きやプロパガンダが人類の足を引っ張っているのではないかと思う。



1/31f/2020

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菅首相の初訪米で弱点露呈 思惑通りにいかなかった記者会見

2021年04月18日 22時45分06秒 | お金のこと
>菅氏は初訪米の舞台でも、いきなり「アドリブ力の低さ」という弱点を露呈してしまった

>せめてロイターの質問に臨機応変に答えていれば、五輪開催に関する印象も違っていただろうし、首相の存在感を国際的にも示せたように思う


菅義偉首相の初訪米は予定された日程を無難に終えたが、最大の対外発信の場であるバイデン米大統領との共同記者会見は日米両政府の思惑通りとはいかなかった。 

【写真】バイデン氏、首相に「ヨシ」

 首脳会談  16日午後5時(日本時間17日午前6時)過ぎ、バイデン氏が先導する形でホワイトハウスの中庭に両首脳が現れ、左右に置かれた演壇の前に立った。新型コロナウイルス対策として参加できる記者の人数が限られていたため、私は中継映像越しに見ることになった。 

 ホスト役のバイデン氏はマスクを取ると、曇天から晴れ間がのぞいたことを受けて「首相が太陽を運んできた。彼は何でもできるんだよ」とジョークから入ったが、会場が沸いたような雰囲気はなかった。

  会談の焦点は対中国戦略であり、両首脳もそれぞれの立場から中国を意識して発言した。バイデン氏は冒頭発言で「我々は中国からの挑戦に共に立ち向かっていく」と中国をいきなり名指しした。

民主主義に対する専制主義の「挑戦」に対して、日米が手を携えて返り討ちにするという決意がにじんだ。一方、菅氏は中国の「威圧」に反対する姿勢を鮮明にしつつ、「中国と率直な対話を行う必要もある」「国際関係における安定を追求すべきだ」と融和的な姿勢を見せた。

  ところが、質疑に入ると雰囲気が一変した。会見では日米双方のメディアから2問ずつ質問することになっていたが、最初に質問に立ったAP通信の記者が外交問題はそっちのけで、米国内の銃規制の本気度を問う質問をしたからだ。  

こうなると、菅首相や日本メディアは蚊帳の外であり、米国の内政モードに入ってしまう。バイデン氏も銃撃事件の頻発を「国家の恥だ」と繰り返し、「米国では毎日、毎日だ。大規模な銃撃事件が起きている。国家の恥であり、終わらせなければならない」と口調を強めた。

  初の対面による外国首脳との会談を終えた大統領に対して、それも会談相手の首脳が同席する共同記者会見で、いきなり会談とは全く関係のない内政問題を質問するのは、礼儀に反するとは思う。しかし内容を抜きにすれば、両首脳の会見での発言で最も熱がこもっていたのは、バイデン氏が訴えかける「国家の恥」という言葉だった。米政府としては対中国のメッセージを発信したかったのだろうが、米メディアが会見の速報で焦点を当てたのは銃問題だった。  

一方、菅氏は初訪米の舞台でも、いきなり「アドリブ力の低さ」という弱点を露呈してしまった。3番目に質問したロイター通信の記者はバイデン氏に対イラン政策を質問した後、「首相にもお聞きしたい」として「公衆衛生の専門家も疑問視する中で、東京オリンピック・パラリンピックを開催する無責任さ」をただした。しかしバイデン氏の答弁後に首相は答えるそぶりも見せず、最後の日本メディアの記者を指名した。 

 最後の質問に五輪関連が含まれていたため、「首相が五輪の質問を無視した」ということにはならなかった。しかし、自民党の二階俊博幹事長が「五輪中止」の可能性に言及し、国際社会でも改めて開催の行方が注目されていたタイミングで、逆に「新型コロナ対策をどう進めて、どう五輪を開催するのか」をアピールする機会を生かせたかといえば、そうではなかった。

せめてロイターの質問に臨機応変に答えていれば、五輪開催に関する印象も違っていただろうし、首相の存在感を国際的にも示せたように思う。【ワシントン秋山信一】


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大企業に就職したのに「30歳でリストラ予備軍」、なぜそうなった?

2021年04月18日 22時30分09秒 | 雇用と職のこと
大企業に就職したのに「30歳でリストラ予備軍」、なぜそうなった?


政府の後押しもあり、副業を推奨する流れが着々と広まってきている日本。しかし副業に熱心になるあまり、肝心の本業の方が疎かになってしまっては本末転倒だろう。

社内評価が悪くなれば不本意にも『リストラ予備軍』として認定されてしまう可能性は他人事ではなく十二分に起こり得るのだ。 

山脇周平さん(仮名)
 山脇周平さん(仮名・30歳・男性)も自分が『リストラ予備軍』なのではないかと不安を抱える副業リーマンの一人。本業の大手の化学メーカー(仮)に勤務する傍ら、副業でメンズエステを3店舗経営、オープンした初月にして約80万円の利益を叩き出した猛者だ。熱心に副業活動に精を出す一方、本業では約700万円という高い年収と毎日定時上がりながら、窓際族という立場に甘んじている。今回、そんな彼に入社後の経歴と現在の状況、社内評価ついてご自身の口から説明してもらった。 「まず、このまえのSPA!は笑いました。ここに載ってること、全部自分に当てはまるんですもん」  そう言って山脇氏が見せてくれたのはSPA!12月17日号の特集

「OVER45 リストラ回避術」内でのアンケート結果だ。  

Q あなたの会社の「リストラ予備軍」の特徴は? (複数回答) 

1位 能力不足でまかせられる仕事がない 50票
 2位 就業中に何をしているかわからない 45票
 3位 仕事の質に対して給料に割高感がある 39票 

4位 目標未達や仕事上の手抜きが目立つ 33票 
5位 これ以上出世できないのが公然の事実 28票 
6位 職場でのネガティブ発言が多い 24票 
7位 若手社員と思考にギャップがある 18票 
8位 その人がいなくても仕事が進む 15票 
9位 身だしなみに無頓着 9票 
10位 キャリア研修などの対象になっている 6票 
11位 本業よりも副業に精を出している 3票 


対象/人事部署および管理職として勤める男女100人(調査期間:11月18~21日) 


上司が仕事を巻き取っていく
  この項目すべてが自分に当てはまると山脇さんは笑いながら、自身のキャリアについて語ってくれた。 「最初の4年間は本社で総務系の部署に配属され、全社の調達関連の管理のような仕事をしていました。現在は、企画系の仕事をしています。周りが理系出身ばかりのなかで完全に場違いみたいな立場だったので、仕事に必要な知識で大きく出遅れていると入社してすぐに気づいてからは、もう全然仕事をしていなくて。私の仕事を上司がいつの間にか巻き取っていることもありますよ。それこそ社内評価でいうと、7段階中で3を連発していますね」 

 モチベーションの低下から現在の立場に落ち着いていると語る山脇さん。こういった問題は、本人の意欲だけに依るものと断定するにはもう少し根が深い。企業の人材育成の仕組みがしっかりと整っていないことも少なからず関係していることも多いのだ。現に山脇さんは社内教育についてこう語っている。 「うちの会社だと、営業等は昔から培われた教育の仕組みがあります。もともと本社勤務は現場を経験した人が本社に来るという流れがあったようなのですが、僕の時から実験的にいきなり本社に配属するという試みを始めたみたいなんです。なので、本社系の仕事の新卒への教育の仕組みがなく、最初から放置状態みたいな感じでした。現場部門を経験してきた人であれば見えるであろう仕事もイメージがつきづらく、モチベーションが上がらないです」  

このような窓際とも呼べる立場に置かれた方は山脇さんだけではない。同じ会社に勤める50代の男性社員の中にも何もせずに年収2000万円近くもらっている人が一定数いるそうで、Windows2000と呼ばれ社内でも問題となっているそうだ。  

しかし、そうした社員を養う体力があることからもわかるように、山脇さんの勤めている企業は非常に業績もよく安定した企業なので、当面はリストラの心配もないように思える。それでも山脇さんが『リストラ予備軍』となることに一抹の不安を覚えるのにはある理由があった。

会社を信用していないから、本業の「やる気」が出ない

「うちの会社のビジネスモデル自体が、自社商品の特許が切れたら、一気に収入が減るんですよ。だから常に新しい商品を開発していかないと成り立たないビジネスなんです。それでもって、うちの会社は10年前くらいに特許切れで非常に経営状態が危うい時期があって、立て直しのために千人くらい早期退職を募り人件費削減を行ったんです」  


人員削減の結果、浮いた費用を研究開発費用へと回すことで会社は立て直しをはかる。10年前の危機はこうして乗り越えられたそうだ。しかし、その先はまた同じ流れを繰り返すかもしれない。もしかしたら次の特許切れのタイミングで自分がリストラの対象になるかもしれない。そんな深刻な危機感を山脇さんが覚えているとしても何ら不思議ではない。そうした環境で働くうちに、山脇さんが副業を始めたきっかけはある種、社会に対する不信感からきていた。 

「リストラの過去のこととかもあって、最初から会社のことを信用していないんです。国が発表した老後2000万問題もそうですけど。普通に考えて、今の時代には終身雇用とかあるわけないなって思っているし。自分で稼ぐしかないんですやっぱり。だから本業もやる気ないんですよ別に。出世とかも興味がありません。自分で稼ぐ力を身に付けたい。そうなるまでにタイミングよくリストラ募集があって、早期割増退職金をがっぽりもらって退職できたらいいな(笑)」  

だが、「やっぱり安定収入は欲しいですけどね」と山脇さんは語る。そこには会社との信頼関係を充分に構築することができなかったことによる、矛盾した感情が見てとれた。  

リストラを恐れて副業を始めるか、本業に精を出すかは人それぞれ。間違いのない選択をしようとすることよりも、自分の選択を正解にするために努力することのほうが、現代のサラリーマンにとっては重要なのかもしれない。



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ヒトラーにマイケル、ノーベル平和賞の「あり得ない」候補者たち

2021年04月18日 22時00分35秒 | 国際情勢のことなど

ヒトラーにマイケル、ノーベル平和賞の「あり得ない」候補者たち

【10月11日 AFP】80年前、ナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)がノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)にノミネートされたことは、誰でもこの賞の候補となり得ることを物語っている。

ナチスの総統から「キング・オブ・ポップ(King of Pop)」まで──ノーベル平和賞の120年近い歴史の中で候補となった人の中には、受賞しそうにない、あるいは候補になること自体があり得ないように思える人物もいる。


 1939年1月、ナチス・ドイツがポーランドを侵攻する約8か月前、スウェーデンの社会民主党のエリック・ブラント(Erik Brandt)議員(当時)は、ノーベル平和賞をヒトラーに授与すべきだとする書簡をノルウェーのノーベル賞委員会(Nobel Committee)に送った。

ナチス・ドイツによるオーストリア併合やズデーテン危機のわずか数か月後に、ブラントはその書簡の中でヒトラーを「地球上の平和の君」と呼び、「(第三帝国の)輝ける平和主義者」だとたたえた。

 ブラント議員は後に、皮肉を込めてヒトラーをノーベル平和賞に推薦したのだと釈明し、チェコスロバキアの一部がナチス・ドイツに割譲された1938年のミュンヘン協定(Munich Agreement)に立ち会った英国のネビル・チェンバレン(Neville Chamberlain)元首相が候補となったことに異議を唱えた。
 ブラント議員は結局、その推薦を取り消したが、ヒトラーは今も候補者の一人として記録に残されている。

 ノーベル平和賞に詳しい歴史家のアスル・スビーン(Asle Sveen)氏はAFPに対し、「ヒトラーが推薦された史実は、緊迫した政治情勢下で皮肉を込めた試みがいかに危険かをはっきりと示している」と述べた。

 ノーベル賞委員会は、推薦状が1月31日の期限までに届いていれば、いかなる提案も受け入れている。だが、存命中の人物であれば誰でも候補者となり得る一方で、誰もが推薦状を提出できるわけではない。


■スターリンもムソリーニも候補に
 資格を有するのは、各国の国会議員や閣僚、歴代のノーベル賞受賞者、一部の大学教授、ノーベル賞委員会の現メンバーと元メンバーなどで、合計すると数千人にもなる。

 過去には、1935年にイタリアがエチオピアに侵攻する数か月前、ドイツとフランスの学者らが皮肉を込めてイタリアの独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)をノーベル賞候補に推薦し、第2次世界大戦(World War II)の勝戦国の一つであるソ連の指導者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)が1945年と1948年に候補者になったこともある。

 推薦期限が過ぎ、候補者がそろっても、実際にノーベル賞委員会と顧問らが検討するのは一握りの人物だけだ。

 ノーベル委員会元書記で歴史家のゲイル・ルンデスタド(Geir Lundestad)氏はAFPに対し、「ヒトラーもスターリンもムソリーニも、ノーベル平和賞の候補者として真剣に検討されることはなかった」「一番意外なのは、世界中の多くの独裁者らが候補者となることに控えめであることだ」と述べた。



 この20年間は候補者の数が急増しており、現在は通常300人を超える。
 ノーベル賞委員会書記のオラブ・ニュルスタッド(Olav Njolstad)氏によると、一風変わった候補者は「1~2人」、「一定の間隔で」名前が挙がるという。


■ルーマニアの議員たちがマイケル・ジャクソンさんを推薦
 ノーベル賞の候補者リストは最低50年間極秘扱いだが、推薦者は選んだ対象を公表することができる。

 国際サッカー連盟(FIFA)は2001年、サッカーという競技をノーベル平和賞候補に推薦した。陰で尽力したスウェーデンの議員は、スポーツには「前向きな国際交流を促す力」があり、「より平和な世界」に貢献していると主張した。

 だが、そうした発想で推薦が行われたのはそれが初めてではなく、1956年にはサッカーW杯の創設者であるジュール・リメ(Jules Rimet)氏がノーベル平和賞候補になったと、ジャーナリストのアントワーヌ・ジェイコブ(Antoine Jacob)氏は記している。

「キング・オブ・ポップ」こと、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんも1998年に候補者に挙がった。

 当時は子どもに対する性的虐待疑惑の多くは表面化されていなかったが、ジャクソンさんが歌にした「Heal the World(世界を癒やす)」のメッセージにノーベル賞委員会が感じ入ることはなかった。


「マイケル・ジャクソンさんを推薦したルーマニアの国会議員たちは、真剣そのものだったが、委員会で考慮されることはなかった」とルンデスタド氏は話す。

 しかし、有名なミュージシャンが候補者となることはあり得ないことではないという。「アーティストの名前は一定の間隔で挙がっているが、それは最近になっての傾向だ」とニュルスタッド氏は説明する。



 今年10月11日に発表されるノーベル平和賞の候補者としては、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領やスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんらが知られている。

 しかし、候補に挙がっただけで大騒ぎすべきではないとルンデスタド氏はくぎを刺す。「候補者になることはとてもたやすい」が「受賞するのは、はるかに難しい」。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES



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