老人を食い物にする「ブラック病院」 架空請求に患者のたらい回し、必要ない手術をする場合も
いまの日本は、長生きをすればするほど貧困に陥るようになっています。「生涯現役」などといっても、そんなことができるわけがありません。それを象徴するのが、貧困老人の増加と、年々増え続ける生活保護受給の老齢世帯の増加です。約84万世帯で、これは、全生活保護受給世帯(約164万世帯)の半数以上に上っています。
12/14/2019
生活保護を受けると、医療費はタダになります。そこで、生活保護受給者の中には、この制度を利用して、悪知恵を働かす者もいます。彼らは病気になっても市販のクスリを買いません。必ず病院に行ってクスリを処方してもらう。それを転売して現金を稼ぐのです。こういうクスリを仕入れる組織も存在します。また、どんな検査も受けてもタダです。
しかし、こうしたことは病院にとっては痛くもかゆくもありません。なぜなら、生活保護者の医療費は全額請求できるからです。生活保護費は、国が75%、自治体が25%負担することになっています。
ただし、一部の生活保護受給者だけがワルではありません。病院にもまたワルがいて、「ブラック病院」としか言えない病院が存在します。
たとえば、2017年3月に、生活保護法などに基づく医療機関の指定を取り消された堺市のあるクリニックでは、架空請求が繰り返されていました。
このクリニックでは、11年からの5年間で、他病院に入院中の生活保護受給者に対する架空の診療報酬を請求したり、診察せずに受給者の自宅にクスリを届けて請求したりしていました。これは、マスコミ的に言うと、「生活保護受給者を食い物にした」行為です。
さらにもっとひどい例もあります。業界では「ぐるぐる病院」と呼ばれる病院です。これは、生活保護受給者の入院患者の「たらい回し」をして儲けている病院です。
現在の診療報酬制度では、入院期間が長引くと、その分だけ診療報酬が減算されます。一般病棟の場合、14日以内だと1日につき681点で、15日以上30日以内だと669点、31日以上だと567点というように減っていきます。つまり、長く入院されるほど、病院は儲けが減るのです。
そこで、入院患者にはできるだけ早く退院してもらい、新しい患者を受け入れることに注力します。これは全国の病院のどこでも行われていることですが、生活保護者の認定病院だと、露骨にこれを繰り返します。
つまり、患者を2週間ごとに転院させ、その間に複数の病院で診療報酬を稼ぐのです。次の病院に行けば、患者の入院日数はリセットされます。このような病院同士のネットワークはいくつかあり、とくに生活保護受給者が多い大阪に多いのです。
「ぐるぐる病院」以上にブラックなのは、生活保護者にウソをついて、必要のない手術をしてしまう病院です。09年に摘発された奈良県のある病院は、これを繰り返していました。
この病院では、心臓血管外科や脳神経外科などの診療科を掲げていましたが、生活保護者を連れてきては、必要のない手術をしていました。たとえば、単に肝臓の調子が悪い患者を肝臓がんということにして、手術をしていました。また、心筋梗塞を防ぐという名目で心臓カテーテル手術もやりました。そうして、手術を施された生活保護者受給者は、なんと140人にも上りました。
ブラック病院は、生活保護受給者だけの話ではありません。高齢社会が進むにつれ、赤字を抱える病院ならどこでも起こりうることです。くれぐれも注意してください。
http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/191214/lif19121420000018-n1.html