地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

南海高野線徒歩鉄 (7) 2000系

2020-09-04 18:13:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 高野線の山岳区間は大型車お断りの泣く子も黙る急勾配・急曲線の連続であり、平日はたまに2000系の大運転が走る他は基本的に2300系2連が往来していますが、土休日ダイヤであれば2000系4連の運用が増えます。たまに関西を訪れる関東人にとって、2000系4連といえば本線の普通の印象が強くなってしまっておりまして (とりわけ平日に訪れればなおさら)、高野線の山岳区間で「2扉車」を掲示しない4連が走っているのを眼にすると、強い違和感を感じるという倒錯した状態に……(笑)。でもやっぱり良いですね。本来の目的で用いられている光景を眺めるのは……。



 そして今回高野街道(京・大坂道)を実際に歩いて、南海高野線が如何に高野山を身近にした偉大な路線であるかを痛感しました。1枚目の画像の左に小さく写っている踏切を渡ったのち、高野街道はひたすら長い登りとなり、「やれやれ、紀見峠がすっかり遠くなったな……」と感慨を抱きながら紀ノ川の谷を見下ろして一息ついたと思ったら、急転直下、転げ落ちそうな激坂を下って河根 (かね) の宿場に至り、それまで稼いだ高度がチャラになったかのような絶望を味わうことになります。その直後、脳天に激しいショックの雷が落ちるかのような凄まじい激坂登りが待ち受け、ヒィィ〜と悪戦苦闘を続けると、やっと神谷の集落に至って勾配が緩くなります。
 極楽橋駅は、そんな緩い勾配がしばらく続いてヤレヤレ気分で歩いて来た先にあり、撮り鉄休憩は本当にありがたいクールダウンのひとときでもありました。ここで気分をとり直して、ケーブルカーに乗らずに旧街道を登る頃には、標高ゆえに外気もひんやり。ついに真言密教の聖地に入るという清々しさと緊張感とともに山道をこなして行くと、やがてバス専用道と合流して女人堂に到着し、眼前に巨大な宗教都市が開けていったのでした。


南海高野線徒歩鉄 (6) 学文路にて

2020-08-17 13:02:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 とにかく暑い。山奥にこもって涼みたいところです。そんなとき、標高700m以上の山中に忽然と広がる涼しい宗教都市・高野山を徒歩で訪れた昨年の夏を思い出します。
 というわけで、その際の画像の続きです。高野街道は橋本界隈でひとしきり紀ノ川に沿って進み、道の両側には如何にも関西の旧街道という雰囲気の豪勢な民家が建ち並んでいますが、山道に入るにあたりいくつかのルートに分かれます。今回は最もダイレクトな (?) 京・大坂道を選択したのですが、その京・大坂道は学文路駅の東にある踏切を渡った後、一気に激しい登り坂となります。その前に少々、学文路駅に寄り道してみました。



 学文路駅は本邦有数の難読駅名として広く知られていますが、一方で字面の目出度さから、合格祈願などで重んじられる駅でもあります。とはいえ実際の学文路駅は、そんなところを大々的に売り出すわけでもなく、あくまで昔気質の相対式ホームと駅舎があるだけで、そんな慎ましい雰囲気に好感を抱きながら、駅南東側の公道で待つことしばし……上下の列車が交換するシーンを無事激写♪♪ 21000系や22000系、さらにその昔の釣掛小型車の時代であれば、もっともっと好ましく悶絶級の光景だったのかも知れませんが、現在の山線区間の主力である2000系と2300系が並ぶのもまたいとをかしというものです。敢えて文句を付けるとすれば、2300系のパンタが難波側で前パンであればもっと絵になったのですが……。


南海高野線徒歩鉄 (5) 30000系こうや

2020-08-10 10:04:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 本日は「山の日」ですが、まだ日本海上にある前線の影響で、山に登るには余りにも暑く、登ってもガスって景色は良くないというダメダメな感じですので、こんな日にはネットでそれらしい気分に浸るのが一番です。
 そこで、「パーミル会」所属鉄道のひとつである南海高野線の画像を貼っておくことにします。現在、高野線の女王として君臨し続けている30000系が、おなじみ (?) 橋本〜紀伊清水間を行くシーンです。



 南海高野線に沿って高野街道で徒歩鉄活動をしたのは、早いもので昨年7月の話となってしまいましたが、はぁ……南海がこんなに遠い世界になってしまうとは。空いている新幹線に乗り、誰もいない撮影地を訪れ、三食すべてぼっち飯に徹する分には、そもそもクラスターなど発生しようもなく、経済活動の日常復帰により全ては自己責任となった中、私もそろそろ久しぶりに関西を再訪したいものです。
 それにしても30000系「こうや」、高野山に到達したあと極楽橋から新今宮までの帰路において初めて乗りましたが、急勾配区間でも滑るような乗り心地……ブレーキ面でも一切の抜かりはなく、さすがズームカーの頂点!と唸ったものです。ポポから模型が出ていますが、個人的にはマイクロから出るのを待望しています (マイクロの20000系は神作品との誉れ高く、私もそう思いますので♪)。


南海高野線徒歩鉄 (4) 2300系

2020-04-10 18:05:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 紀見峠から高野街道をトボトボ歩いて橋本まで下ってくる途中、南海高野線を遠くに望むことはありますが、意外とスレスレを歩く機会はありません。田舎道を歩きながら、谷を挟んで反対側に忽然と現れる林間田園都市の街並みを眺めながら「6000系が急勾配を下って山の中のマンション街に到着する光景スゲーな」とつぶやくことはありましたが……。さらに、ちょっとした宿場風情が残る小原田の街並みはなかなかのものでしたが、「嗚呼……真西には車庫があるんだが」という遺憾もないわけではありません。
 ともあれ、最後に南海高野線とJR和歌山線をくぐって、昔の橋本の宿場を抜けますと、高野街道は紀ノ川の滔々とした流れに突き当たり、昔は渡船、今は橋で渡ります。そこから通称・紀伊清水の大カーブまでは徒歩20分ほど。折角ですので、緑したたる田んぼの道を歩いて寄り道してみました。



 このカーブは通称の通り、徒歩で訪れる場合には紀伊清水駅から歩くことが多いようですが、今回歩いてみた結果では、むしろ橋本駅で下車して橋を渡る方が何となく近くないか?と思いました。もちろん、紀伊清水の宿場町も見応えありますので、どちらでもどうぞという感じですが。
 ともあれ橋本を境として、南海高野線の車両の顔ぶれは一変し、ズームカーとしての性能を有する小型車 (?) しか入線しません。この変化もまた「堺からはるばる歩いて来たなぁ〜」と痛感させられるものです。そして、特急・「天空」・大運転 (及び運用面で大運転とつながる区間列車) の2000系4連を除けば、平日の高野線山岳区間は基本的に2300系2連の独壇場の感があります。2300系は登場当初、大運転にも入っていたものと記憶しておりますが、もともと本数が少なく、転クロを備えた消費電力少なめの最新鋭車両ということで、客が少ない平日の山岳区間に封じ込めておくには最適だということなのでしょう。個人的には、どうしても古い車両好き・地味なカラーリングの車両好きということもあり、かつては「2300系つまらん。2000系で来てくれ」と思うこともありましたが、鮮やかな緑に映える2300系をこうして撮っていると、なかなかどうして、箱根登山にも通じるものがあり、思わず長居して真剣に撮りまくってしまいました。

南海高野線徒歩鉄 (3) 6300系

2020-03-29 00:00:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 梅雨時の紀見峠越えは、標高差こそ大したことないものの、まとわりつく湿気と草いきれがもの凄く、さらに羽虫のゴールデンシーズン! せっかく河内と紀州の境に立っても、僅かでも油断すれば顔面が猛襲に見舞われます。ヒョエ〜という気分でどんどん急坂を下ることしばし。こうなった原因は汗ですので、どこかで思い切りさっぱりしなければなりません。そこで、昼食のために寄ろうと考えていた、紀見峠駅すぐそばの「紀伊見荘」に着きますと、いても立ってもいられず午前中から温泉にドボーン! 



 ここの温泉は、サラリすっきりとした感触が素晴らしく、すぐ下を駆け抜ける高野線電車の走行音が谷間に響くのも最高に趣があり、何気に鉄ヲタ向け温泉の感があります。関西で鉄する場合など、時間があればなんばからここまで来て一泊し、紀州の美味いものに舌鼓を打つのも大いにありだな、と思いました☆
 というわけで、紀伊見荘で温泉+昼食を楽しみ、すっかり寛いでしまいましたので、もうク○暑い外を歩きたくない気分でしたが、この日のゴールは紀伊清水駅の対岸にあるルートイン橋本でしたので、まだまだ午後歩かなければなりません。そこで、まずは蝉時雨に包まれた紀見峠駅を訪れ、気合一発入れるのを兼ねて、なんば方の踏切でちょこっと撮り鉄してみました。何が来るかな……というガラポンくじで当たったのは6300系! もちろん、6000系が来れば最高でしたが、両開き扉バージョンの6300系でも十分御の字と言えるでしょう。トンネルから駆け下って来た勇姿も素晴らしく、またいずれ再訪することを内心誓いつつ、橋本へとユルユル歩いて下ったのでした。