地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

東急恩田通信200728 (2) 5189F

2020-07-31 00:00:00 | 大手民鉄 (東急)


 東急長津田工場の入換用車両(車籍はなく機械扱い)は、古参車両軍団から箱形アントに変わって久しく、また個人的にも昔に比べれば仕事が忙しくなり、すっかり恩田入換ウォッチから足が遠のいてしまいました。それでも、たまに訪れた際に入換をやっていれば、これはこれでテンションが上がりますし、到着直後に遭遇すればなおさら……。今回の超久々の訪問では、長津田から乗った電車が工場の脇を通過する際、旗を持った中の方がスタンバイしているのを目撃したことから、すぐに入換開始だ!と思いまして、ホームで待つこと1〜2分。3両ずつに分割された5189Fが超スローで動くのを激写し、「これが恩田というものだよ……」という快感に浸りました (何のこっちゃ)。



 その後はテクノの脇に移動し、8606+8506を激写する傍ら、目黒方の3両がユルユルと動いて工場に取り込まれて行くのを眺め、その脇に3004Fもいるのと合わせて、にわかに恩田の構内が目黒線祭りとなっていることにしみじみ……。
 相鉄とJR・東急との直通計画が動き出してからはや幾年。遥か未来の話だと思っていたはずが、今や相鉄JR線が開通し、相鉄・東急新横浜線も予定通りであれば来年下半期の開業となります。もっとも、最近新横浜界隈で相次いだ陥没事故ゆえ、もしかすると原因究明の如何によっては開業がずれ込むのかも知れませんが、個人的には相鉄JR線以上にこちらに期待しているのです……。開業のあかつきには、大和から新横浜まであっという間に着くようになりますし、何よりも大和から怪社最寄り駅まで全て座って行けるのは余りにも大きい……(哀しい江ノ島賎民)。そんな新ルートを走る車両として、相鉄20000系ともども、東急目黒線の車両を利用するのを楽しみにしています。

東急恩田通信200728 (1) 8606F

2020-07-29 00:00:00 | 大手民鉄 (東急)


 去る5月11日を以て運用から離脱した東急8606Fのうち、中間車はあらかた搬出されて廃車となってしまいましたが、先頭の2両、デハ8606とデハ8506だけは2連を組み、恩田の工場側からテクノの中へと移動したことは、ネット情報で周知のところとなっていました。そして昨日、これまたネット情報で、テクノの中からこの2両が姿を現し、最も公道に近い位置に留置されたとは……! この位置は、譲渡改造に時間がかかる車両が往々にして仮の住まいとするところであり、またデヤ7200・7290の2両が正式に廃車・解体となるまでしばらくの間展示されたところでもあります。



 そんな展開と、この春以来のオンライン対応激務が一段落するタイミングが重なったことから、昨日の午後久しぶりに恩田を訪れまして、デハ8606・8506の事実上のさよなら撮影会のひとときを味わって参りました。当ブログで「東急恩田通信」と銘打った記事を出すのは一体何時以来でしょうか……それくらい本当に久しぶりです (滝汗)。
 というわけで、例によって擁壁の上の公道にやって来たところ、樹木がいつの間にか本当に背が高くなって見通しが悪くなったなぁ〜と思いつつも、やはり田園都市線の至宝・デハ8606がピカピカになった姿に目を奪われます。しかし……良く見ると、ピカピカになっているのは側面・屋根・クーラーカバーのみで、正面とアンテナは意外と引退時そのままに汚れているような……?
 そこで思うに、これは8606・8506の二両を比較の素材にした実験なのかも知れません。昨今の窓開け必須という流れの中、とくに夏場は冷房効率が低下するのは明らかで、その損失分をカバーするために屋根を白く塗って遮熱効果の如何を測ろうとしているのでしょう (そこで8506は屋根がグレー&汚れたまま)。そして、折角屋根がピカピカになった以上、ついでに側面も磨き、ヲタに24時間・当面期限未定のさよなら撮影状態を楽しんでもらおうという、東急の中の方々の恩情というものが感じられます! 準急・錦糸町などという、ネタ幕もいいところな幕を出しているあたりからして……。
 今後果たしてこの2両がどうなるか分かりませんが、もしかすると定期的に幕が回る可能性もありますので、そうなればその都度恩田に通う夏になりそうです。

ジャカルタの203系・激減の時代へ

2020-07-28 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 ジャカルタの電車シーンは、武蔵野線205系の急激な流入によってますます205系帝国の感を呈するようになってきた昨今ですが、205系以前に海を渡った東急・メトロ・203系も勿論重要な戦力として日々奮闘していることは言うまでもありません。しかし、どの車両もチョッパ装置やSIVなど、一点ものと言っても良い部品が供給されなくなって久しく、日本側から取り寄せた廃車発生品のスペアも使い尽くしてしまえば、あとは共食いによって少しずつ本数を減らしながら生き延びるしかない段階となります。既に東急8000・8500系がそのような段階となっているほか、一時はあれほど大所帯だったメトロ6000系や08系も編成ごと離脱する事例が相次ぎ……そしてついに203系のマト68編成もこのたびMM'ユニット2両が致命的な故障に陥り、編成をバラしてマト66編成12両化のために供出することになったとか……。



 その細かい事情につきましては、いつもお世話になっておりますパクアン急行様のブログにて触れられており、かつ203系の動向に関する続報も今後優先的にアップされる模様ですので、当ブログとしては細かい話には立ち入りませんが、恐らく言えるのは、一つの時代の終わりが見えつつある……ということでしょうか。
 2000年代に入って都営6000系がジャカルタで走り始めた頃は、ちょうどインドネシアがアジア経済危機による大混乱から回復しつつあった頃で、以後急激にジャカルタ首都圏への人口集中とハイスピードな経済発展が続く中で、とにかく鉄道に回す予算が足りず、とりわけ電車の新車を購入する余裕がなく、凄まじい混雑で車両がどんどん荒廃するのを少しでも緩和するためにも、ジャカルタの条件に合致する車両であれば半ば手当たり次第に輸入するようになったと記憶しています。その結果こそ、東京の中古電車博物館状態であったわけです。そして2010年代に入ると、インドネシアの経済発展がそれなりの段階に達し、整備能力も格段に向上したことで、チョッパ制御車の黄金時代となって非冷房車も全滅し、KCJ体制のもと新たなる都市鉄道への躍進が始まった、という印象です。
 そして今や、JREが所有していた205系の大部分がジャカルタに来たのではないかと思えるほどの状況になると、2010年代を特徴づけるチョッパ制御車がついに寿命を迎え、今度はE217系の噂が立つ一方、インドネシア・オリジナル通勤電車の登場も期待される時代となりました。ところがそのはずが、周知の通りの疫病の惨禍で、日本もインドネシアも大打撃を蒙り、新車にしても部品にしても、調達のペースが今後どうなるのか全く先を見通しづらくなったように思います。そんな中で、チョッパ制御車が今後一気に (?) 離脱のペースを早め、その一方で日本からの中古車の流れとインドネシア独自新車の投入の流れが細るとしたら、結局のところ205系の12連の短縮化による編成増でしのぐしかなくなるのかも知れません。もっとも、日本の通勤電車だけでなくKCJも昨今の情勢ゆえに輸送量が減少しており、10両・8両でも間に合ってしまうとも言えるわけで……。
 ともあれ、203系の激減・共食い開始というニュースは、そんな大転換点としての2020年のジャカルタ電車シーンを象徴しているのかも知れません。

大井川鐵道2019夏 (8) C11トーマス

2020-07-26 00:00:00 | 地方民鉄 (東海道)


 大井川鐵道のC11 227が2014年にトーマス装飾となった当初、鉄ヲタはもとより世間の度肝を抜きまくったものと記憶しておりますが、絵本の中だけではなくリアルに走るトーマスに純粋無垢なお子様は大熱狂、以来大井川鐵道のドル箱となっているのは周知の通りです。何せ、通常のSL急行料金よりも高い「特急料金」を取っても、往復ともに確実に売り切れとなり、往路または復路にあぶれた家族連れが単行の7200系の押しくら饅頭を堪え忍んでも千頭に往復したいと思うほどなのですから……。そして今年も、世情による紆余曲折を経て無事に走り始め、やはり指定券はほとんど売り切れているようですので、変わらぬ人気のほどが窺い知れます。



 そんなトーマスの姿に、童心を思い出して熱狂するヲタもいらっしゃるのかも知れませんが、個人的には全く何の感慨もありませんね〜。と申しますか、登場当初は「折角のC11に何てことを!」とすら思いました。何せ幼い頃、トーマスははっきり言って絵の雰囲気がキモイと思いまして、全く読んだことはないのです(というわけで、トーマス以外のキャラは、人生五十年を過ぎても全く知りません。笑)。大体そもそも、家の目の前をガンガン走るリアルな電車=東横線をヒマさえあれば眺め、時刻表愛読を通じて漢字を書けないけれども読めるようになってしまったキモい未就学児でしたので、作り話の絵本のキャラには何ら興趣もそそられなかったのです。
 とはいえ、今こうして実車を眺めてみますと、これはこれで十分にネタですので「まいっか」と思います。大井川鐵道がこれで大いに儲けて存続するのであれば……。それに、トーマス運転日には臨時急行が走るという副産物も見逃せませんので、大井川鐵道を訪れるのであれば、トーマス運転日に限るな……と思うようになりました (笑。もちろん、静かな平日も魅力ですが、列車本数がとにかく減るのは公共交通利用派にはツラいものがあります)。

桜木町駅の鉄道記念物・SL110号

2020-07-23 20:20:00 | 保存・園内・特殊車両


 JR根岸線の桜木町駅界隈は、箱物大好きな横浜市長のテコ入れもあってか、ここのところやけに変貌のスピードが早まり、関内駅前にあったボロボロな横浜市役所が桜木町駅の南の高層ビルに移ってきたほか、横浜港貨物線跡の「汽車道」に沿ってロープウェイを本当に作っています……(これは美観を損ねるから止めて欲しかったのですが -_-;)。そんな中、桜木町駅も新南口が開設され、低層部にはスタバなどの店舗が入り、3階くらいから上はホテルメッツとなるなど、大きな変化がありました。その1階部分には、鉄道発祥の地に相応しいシンボル的存在として、青梅鉄道公園から110号SLが移設されました。



 このSLは、大宮で保存されている1号機関車ともども、明治5年の新橋〜横浜 (現・桜木町) 鉄道開業に合わせて3号機関車として用意されたもので、Wikipediaによると当初は、日本での組み立て精度など不慣れな点もあって余り調子の良くない罐だったものの、次第に手を入れて行くうちに本来の性能を発揮するようになり、改番を経て何だかんだで非常に長寿を保ったのだとか。そこで保存対象となり、大宮、青梅と場所を変え、このたび徹底的に原型に近づけるなど整備を加え、先月末にお披露目となったとのことです。
 そして後ろには、明治期の写真を参考にして新造したレプリカ客車が連結されており、非常に良い雰囲気を醸し出しています。……が、ふだんは車内立ち入り不可で (ご時世に鑑みてそうならざるを得ないでしょう)、デッキ部分から車内を覗くかたちになります。木組みがとても美しく、「ほら……木製車両や半鋼製車両だって、今でも造ろうと思えば余裕で出来るじゃん……」と溜息をつくほどでした (笑)。
 110号SLは、35mmフルサイズで24mmレンズがあれば撮影出来ますし (客車はもっと超広角が必要)、スタバなどが営業する時間帯は基本的にオープンしていますので、横浜にお越しの際はお見逃しなく!