馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

97歳の母さんへ 74歳の息子の思い。

2021-09-19 08:14:27 | 日記

97歳になったお袋。

続きです。


過去はつねに考えるほど遠くない。
いつだって夢の中に現れすっと消えてゆく。
母さんの夢には 生まれ故郷の那須高原
蝶が飛び回る草原で追うている。
煙草畑の葉を切り取る10歳の記憶
16歳で織物工場で働く姿
19歳で上京
海を見たのは20歳の時。
僕はその海辺の高校に通った。
戦地から帰還した12歳も離れた父と
6畳一間で結婚
3人の男児を生む。



僕は無頼の少年を演じた。
16歳 大量の薬を飲んだ。
喉に管が入った。
死ぬのかと意識がある。
母さんは、必死に叫ぶ声がする。
17歳 親父は船の甲板から転落
1年間の入院
弟は結核となり1年間入院
兄は浪人中。
商店で働くお袋の僅かな収入。
僕の登山で下山せず
探し回る父。
大学1年 厳冬期北アルプス1っカ月縦走
TV局の安否確認に怯えた母さん。


失業して喧嘩ばかりしていた両親の元へ
妻子を連れて戻った。
黙って受け入れた。
孫と暮らせる父母のこの上ない笑顔
40年前 越後湯沢の山間で突然の客死した父
兄と二人 新幹線に飛びのった。
葬儀バスで横浜まで運んだ。
棺にすがりつき、
あんた あんたと叫ぶ
那須から駆け付けた親族は呆然。

それから、弟と二人暮らし。
晩婚ながら弟は逞しい嫁さんを迎えた。
孫息子の台湾留学費用を
そっと差しだした。

私達男3人兄弟は学業は優秀ではなかった。
銀のスプーンと漆の盆で食事する食卓ではなかったが
兄76歳 私74歳 弟は72歳
父の寿命年数を越えた。
皆 、仕事をしている。


母さん
辛い貧乏暮らしは、はるか彼方に遠ざかり
亡くなった父さんの想い出を追いかけてください。
僕たちの事 忘れてもいいんですよ。
コロナで会えないけれど
生身の母さんがいること。
この世で一緒です。


辛い事、楽しい事、泣いた事
どんな辛酸を舐めても
何時か死ぬという結末に行き着く。
取り戻せない時間の中に
人生の無常と儚さが滲んでいる。

『母さんがどんなに僕を嫌いでも』本編映像

かあさんの歌(歌詞付) Song of the mother