古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

抑制について

2014-02-22 19:24:18 | 日記
更新が久々です。
古森病院@博多区対馬小路です。

管理人は最近 院内管理業務に追われ、ブログ更新する暇がありませんでした。
今日は ロングステイ入院入所機関に付きものの、患者さんの抑制(物理的に患者さんの
行動に制限をかけること(抑制帯、抑制衣の使用、ベットの四方を柵でかこい、
外に出れなくするなど)あるいは鎮静的に作用する薬物を投与すること)について書きたいと思います。

一般的に急性期病院では、集中治療の方や、手術中の方を中心に抑制を行うことがあります。
一時的に、濃厚な医療行為を受けておられる方は
ご本人のメリットも大きいので、抑制することも比較的許容されるかも?しれませんが
ロングステイ入院入所機関となると、抑制を始めるとダラダラと長期になりがちなため、
近年は 患者さんの人権に配慮して脱抑制の方向へ、あるいは抑制ゼロ宣言を謳う所も
少なくありません。

先日、某入所施設からある患者さんの紹介状がきました。
その中に患者さんの病状が悪くて、常時医師のいる療養病床でないと
厳しいこと、また色々手を尽くしても、抑制せざるを得ないので施設では
見れないこと の2点で転院を依頼すると書かれていました。


抑制ゼロ宣言って何だ?本末転倒ではないか?
と思わざるを得ませんでした。

ちなみに当院のことをいえば、抑制症例はゼロではありません。
ほとんどは胃瘻を行っていない鼻から栄養チューブの入った方(経鼻栄養)です。
(胃瘻作成について、ご家族の同意が得られてないことが多いため)
後、一時的に点滴せざるを得ない時には使用することもあります。
経鼻栄養の方については、職員の方によって あるいは病棟が落ち着いている時は頑張って、
食事でない時は拘束しないようにして下さっていますが 引き抜きは後を立たず
なかなか難しいです。経鼻チューブって結構苦しいので、患者さんが抜きたくなる気持ちはよく
わかります。でも抜かれるとまた入れないといけないのと、そういう患者さんは
再挿入の時に物凄く抵抗されます。。誤挿入のリスクもあがるので、そう再々いれる訳にも
いきません。

医療者側が抑制を考える時は、抑制の前にまず患者さんが困っている原因を取り除くのが先決です。
しかし、その原因を取り除くのが本当に難しいと常々思います。。経鼻栄養を例に取れば
本人やご家族の同意が得られていないのに胃瘻を作ることも難しいし、延命を希望されておられるので
経管栄養を中止はできない。腸管に問題がないので中心静脈栄養とすることも難しいし、静脈栄養は
長期となると経管栄養に比して、栄養価も合併症の面からもお勧めできない。
また一日中、院内に響き渡るほど叫ばれる方も時々おられますが、ご家族の名前を叫んでおられたり
家に帰りたいなど(物理的に家に帰宅したいというよりも、昔の現役の頃に戻りたいということが
趣旨)願望を叫んでおられ、ご家族がおられる方ならご家族がこられた時は
静かになられても、帰られるとまた叫ばれます。なかなかご家族の方が来られない患者さんとなると
寝ておられる時以外はずっと叫んでおられます。
これも原因はとてもわかりやすいのですが、希望を叶えることが難しい。。。またずっと続く場合は
周囲の患者さんや患者さんのご家族の苦情も全く無視するわけにもいきません。

私は人並み以上にとても手のかかる子供を育てていますが、その経験から
自分に余裕がなければ、子供に優しくすることができないということを
身にしみて感じています。施設内虐待に万一にでも繋がらないよう、患者さんの人権も
尊重するよう バランスを取りながら(取れているかどうかわかりませんが)
できることをやって、その結果、ゼロとは言わないまでも、一人でも、短時間でも
抑制が外せるようにやって行けたらと思っているところです。



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