古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

インフル封じ込め

2019-01-27 17:39:29 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

最近施設内感染や職場でのインフルエンザ感染の
流行を耳にすることが多いのですが

当院では施設内感染防止の大原則である
「最初の一人を封じ込める」ことを最重要視しており

日勤帯勤務者の体調不良は可及的速やかに退勤させ
夜勤シフト勤務者には「夜勤組み換えを行うので
微熱など軽症症状であっても
体調不良の兆しあれば
休日であっても速やかに病院に連絡するように」と
事あるごとに喧しく管理人が話していることから

職員の方々の多大な協力も戴きつつ
今のところ 職員由来の院内感染は起こっていません。

ワクチンは職員も患者さんもほぼ打っています。

また
管理人の患者さんでお見舞いの御家族経由の
インフルエンザ感染が疑われる症例では、
検査を省略して、タミフル投与を
開始し、同室者やその勤務帯の職員の
発熱がないか 監視を行っています。

今のところ
最初の発熱から間がなくタミフル投与を行えば
同室者に予防投与を行わなくても大丈夫な印象を
受けています。

ちなみに上記記載のインフルエンザの院内感染対策は
当院が伝達の伝わりやすい小規模の病院で、
患者さんの入れ替わりの
少ない療養病院だから何とかなっているのであり、
患者さんの入れ替わりの激しい病院や医療態勢の薄い施設ではなかなか難しいのが現実です。

でも最初の一人(あるいは数人)の
インフル罹患職員を封じ込めることは
医療機関や日勤シフトだけの職場なら
どこでも出来ると思っています。
(対面接客業界は職員だけの問題ではないので
難しいです。。)

人がいないからと無理やり働かせたら
ミスや事故が増える上に肺炎に発展したり、
他の職員にもどんどん感染が拡大して、
もっと人がいなくなり
損失も最初の一人を休ませるよりも遥かに
大きくなります。

経営者の勇気ある判断が問われるところです。

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入院ルート2018

2019-01-25 08:57:19 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

さて、地域医療連携室が昨年の入院経路をまとめてくださいましたので
アップします。

昨年の申し込み(打診含む)は121名、うち面談に至ったのは89名、その中で
入院になったのは59名です。

入院に至った方の御紹介元

木村病院         8名
桜十字病院        5名
原三信病院        3名
済生会病院        3名
赤十字病院        2名
みらい病院        2名
九州中央病院       2名
福岡信和病院       2名
堤病院          2名
レハビリス桜十字(老健) 2名
寺沢病院         1名
記念病院         1名
博愛会病院        1名
和白病院         1名
新吉塚病院        1名
さくら病院        1名
友田病院         1名
けご病院         1名
秋本病院         1名
老健ささおか       1名
南折立病院        1名
香椎原病院        1名
西福岡病院        1名
鳥飼病院         1名
栄光病院         1名
若杉病院         1名
福大筑紫病院       1名
長崎川棚医療センター   1名
耀光リハビリ病院     1名
さわやかめぐり館     1名

当院外来直入       8名(一時的入院含む)


大半が当院近隣に御本人ないし御家族のご自宅、勤務先がある方です。
当院が病院なので 病院関連の御紹介が多いですが
御家族が直接 当院にご連絡してこられるケースもあります。

御紹介施設の方々、御紹介有難うございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

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インフル流行中 2018~19

2019-01-18 19:06:55 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

流行っていますね。インフルエンザ。

国立感染症研究所のデータによれば 
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/591-idsc/idwr-topic/8481-idwrc-1849.html

インフルエンザウイルス型別の検出状況について、今シーズンはこれまでにAH1pdm09が216株、
AH3が75株、B型が7株(山形系統4株、ビクトリア系統3株)検出されている〔インフルエンザウイルス分離・検出速報(2018年12月14日現在)
:https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-inf.html〕。

今年のインフルワクチンの型は
 https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/2066-idsc/related/584-atpcs002.html

○2018/2019冬シーズン
A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
A/Singapore(シンガポール)/INFIMH-16-0019/2016(IVR-186)(H3N2)
B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/Maryland(メリーランド)/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)

で、大流行のAH1pdm09は入っているようです。

ちなみに管理人は今月だけで すでに200人弱のインフルエンザの方を
拝見しました。当院外来のみならず、急患診療分が入っているためです・・・。

よく「先生はインフルエンザにならないのですか?」という
ごもっともな質問を受けますので、お答えいたします。

インフルエンザワクチンですが 管理人は当院の院内感染対策委員会で「職員も患者さんも打つべし!」と
盛んに推奨している立場上?必ず打っています。

ワクチン接種のおかげかどうかわかりませんが、毎年何百人単位でインフルエンザの方に
お会いするものの お陰様でかかったことはありません。

毎シーズン たくさんの患者さんを診察するので
あらゆるタイプのインフルエンザウイルスの生ワクチンをシーズン毎に打っているというか 
吸っているようなものなのかもしれませんが。。

そういえば、国立感染症研究所のホームページには インフルエンザの感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみで感染する)と
書いてありますが、空気感染もある(同じ空間にいたら感染する)という論文が過日
2018年1月18日付の米科学アカデミー紀要(PNAS)電子版で発表されています。

 Yan J, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Jan 30;115(5):1081-1086. doi: 10.1073/pnas.1716561115. Epub 2018 Jan 18.

そもそもインフルエンザが飛沫感染だけなら、こんなに爆発的に流行するはずがありません。

話を戻しますと、毎年インフルエンザシーズンになると、管理人は
健康管理と栄養管理に より一層気を使っています。

具体的には野菜果物の摂取、緑茶の摂取、各種栄養素の摂取、とくにビタミン類の摂取は増えます。
そして何よりも 疲れないようにするということが一番です。
体力が弱ると てきめんに感染しますので・・・。

管理人の家族が感染した場合は 予防内服を行うことがありますが、
0歳から保育園に行って、各種ウイルスや細菌に感染していたうちの子供たちは
今となっては 学級閉鎖になろうともめったに発熱しないので、職業人としては助かっています。

皆様もお大事になさってくださいね。

また昨年春から発売されている バロキサビルマルボキシル錠(商品名ゾフルーザ)ですが
色々 耐性ウイルスのことや副作用のことなどわからないことも多く、
当院に採用はしているのですが、管理人はリクエストがない限り、処方したことがありません。
オセルタミビル(商品名タミフル)は今年からジェネリックも発売され
一番安価であることから、もっぱらそちらを処方しています。

また10代へのオセルタミビル処方差し控えは解除の方向に向かっています。


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薬事日報
https://www.yakuji.co.jp/entry65032.html


【厚労省】タミフル、10代使用可能に‐異常行動と因果関係不明
2018年5月21日 (月)

 厚生労働省は、中外製薬の抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」について、10代患者に対する使用差し控えを解除する。16日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会の医薬品等安全対策部会安全対策調査会に方針を示した。タミフル服用と異常行動について、明確な因果関係は不明とした調査結果を踏まえた対応で、注意喚起の記載を添付文書の「警告」から「重要な基本的注意」の項目に移す。厚労省はインフルエンザが流行シーズン入りする11月までに添付文書の改訂を要請したい考え。

 タミフルをめぐっては、2007年に服用した中学生の転落死などが相次いで報告されたことから、添付文書の警告の項で10代患者の使用を原則として差し控えることを求め、服用後の異常行動に対する注意を促している。ただ、同じ抗インフルエンザ薬のリレンザ、イナビル、ラピアクタの3品目では10代の使用を制限しておらず、重要な基本的注意の項で異常行動の注意喚起を行っている。

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追記

管理人の今日の朝ご飯を参考までにアップします。
インスタ映えなどは狙っていないので
少々お見苦しいかも・・

内容

チャーシュー(自家製・・といってもタレにつけて煮込むだけですぐ出来ます。まとめて
作っています)肉じゃが、サニーレタスとキャベツ千切り(これもスライサーでまとめて
作れば2~3日は行けます)、ブロッコリー、ミニトマト、納豆ご飯、お味噌汁(作ることが多いですが今日はアマノフーズのフリーズドライみそ汁が余っていたので流用、糸寒天入り)、みかん



序に昼食・・・(いつもは病院の検食を食べています)

内容

即席めん(長男君のリクエストによる)、里芋と干し大根の煮つけ(自作)
カボチャ煮もの(自作)、ほうれん草胡麻和え(自作)、ミニトマト、焼き肉の余り(自作)、
鯖水煮(既製品)、ハム(既製品)



夕ご飯は友人と外食予定にて アップしません。
(参考にならないので・・管理人は外食はあまりしない方です。)
管理人は平日は忙しいので、休日にまとめて作ってストックしています。

要するに、たんぱく質(動物性、植物性)とビタミン類(果物、野菜)、
糖類(米飯、麺、パンなど)、をバランスよく取ることが重要です。

食事指導なども一週間くらいその人の食べたもののメニューを見ないと 
何が過剰で何が不足しているかわかりません。
基本的にこれだけ食べれば、あるいはこれさえ抜けば というのは良くないです。

余談ですが、他県教育機関勤務の折、産業医活動の一環で、食事拝見という
コーナーを企画し、他の人が食事を出し渋るので
とりあえず自分の食事の写真を持って行ったところ
「意外にきちんとバランスとって食べている」「本当に医者だったのだ(管理人は当時
私服で勤務していたので、医師というイメージがいまいちなかったようです。。)」と
職場の皆さんに言われ 「え?そこ?」というポイントで驚かれました。

再追記

別の日の夜ご飯をアップします。
一応3食ないと、イメージわかないと思いますので・・。

内容

すき焼きの卵とじ、梅ひじきご飯(梅ひじきは既製品)、カボチャ煮つけ、ミニトマト、
絹さや、博多御雑煮風(お雑煮の出汁昆布やぶりなどが残っていたので 再度作りました)


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心無い一言

2019-01-13 00:18:43 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

当院には介護保険病棟があり、先日、
福岡市介護保険課の実地指導(介護保険を持つ施設には定期的に
市町村の立ち入り検査を受けることが法令で定められています)を
受けました。

その際に 当院のケアマネージャーが
福岡市の担当職員に

「こんなに身体拘束の多いところはありません」

と言われたそうです。

(ちなみに当院介護保険病棟における身体拘束患者様は
介護保険病棟入院患者様の1割ほどです。)

昨今 高齢者障害者施設職員による高齢者障害者への虐待の報道がマスコミをにぎわせています。

管理人も高齢者施設の管理者として、身体拘束をしたくはありません。

しかし身体拘束をしないと 
頻繁な転倒、頻繁な経鼻経管栄養チューブや胃瘻栄養チューブ、点滴の自己抜去を
行い、結果 生命への影響が出てくる方々がおられます。

上記の方々の全員(と言い切ってよいと思います)が認知症を合併しておられ
立ち上がりの危険性や各種チューブの引き抜きの危険性について 理解をすることが
難しい方々です。

こういう方々は 骨折や生命への影響をさけるために
ご家族にご説明して 身体拘束(といっても、当院ではメジャートランキライザーの投与や
胴抑制(ベッドへの固定)、四肢のベッド柵への固定、つなぎ服と言われる抑制衣類の着用は
行っておりません。ほとんどが4点柵(一時的)使用あるいは手のミトンの抑制、車いすベルト着用です。)を行っております。

2週間に一度、カンファを行い、何とかして拘束回避できないか あるいは
時間を短くできないか 話し合いを行っております。
あまりに頻繁な経鼻経管栄養チューブの引き抜きは
ご家族や近隣病院にお願いし、ご高齢であっても拘束がとれやすい
胃瘻造設に持っていくことも珍しくありません。
最近認知症ケアの手法として流行りのユマニチュードでも 患者様にとって不愉快なチューブを引き抜きたい、歩きたいという(歩けないのに)要求を一日中抑えることは無理です。

最近 入院面談にて
「(歩行不能なのに)活発に立ち上がる あるいは各種チューブを頻繁に自己抜去するので 拘束が必要となり
身体拘束について当局の指導が年々厳しくなっているので、どこの施設も取ってくれません」
と 藁をもすがる思いで 管理人に入院を打診されてこられるご家族が
少しずつ目立つようになってきました。

人権擁護の観点から 身体拘束は望ましくないというのは重々承知しています。
しかし、これでは本末転倒です。
色んな事情でご自宅で看れないから 施設で看てほしいのです。終末期というほど身体状況が悪いわけでもありません。施設側の都合で経鼻経管栄養を行っているわけでもありません。御家族で色々お考えになられ、
延命を希望されて経鼻チューブが入っているのです。

施設側でも、そういう患者様は大変手がかかる上に 拘束すると行政に指導されるので
本当は受け入れを躊躇したいというのが本音です。
その結果、入院入所打診段階で実際に断っている施設が増えてきているらしく、
当院では極力 病棟に余裕があれば可能な限り受け入れるようにしています。出来ることは御手伝いしたい。

当施設は抑制ゼロ施設を謳っているので、拘束せざるを得ない人は断るって言われてもですね。。。(コメント自粛)抑制ゼロ施設の全てがそうだとは言いませんが。。。


当院は十分ではないと思いますが、出来る限りのケアを行っています。

それなのに・・・

福岡市介護保険課の〇〇さん、私はあなたが無知からくるものであったとしても
そのセリフをうちのケアマネに言ったこと、絶対に許しません。
しかも そのケアマネと話をする直前に 私が福岡市の施設が身体拘束が必要な患者さんを
断り始めているらしい話を 指導に来られた皆さんに直接しましたよね。

ケアマネは当然 その場で抗議したそうです。
管理人は残念ながらその事を福岡市の講評の後で聞いたので 抗議することができませんでした。

心の底から悔しく思っています。
介護保険課に当然 後日抗議するつもりです。

世間の皆さんにも このことについて考えていただきたい
と思い、この記事を作成しました。

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追記

 管理人は行政機関に「古森病院は他院に比して
身体拘束を回避する努力を怠っている」と
指摘されたことについて 怒っていることを
再度 追記します。身体拘束は人権侵害であり
望ましくないことは申し上げるまでもありません。


再追記

 福岡市介護保険課にお電話したところ、ちょうど当該の
方が電話に出られたので、直接抗議いたしまして そのことについては
謝っていただきました。






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「どうせ高齢者」意識が終末期ケアにもたらすもの(SYNODOS記事より)

2019-01-12 23:46:39 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

最近、ADVANCE CARE PLANNNING(略してACP) という言葉がさかんに聞かれます。

ACPとは患者さん本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に、現在の病気だけでなく、
意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うことや、
意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくということです。

当院の入院患者様の中には いわゆる終末期の方も少なくありませんし
外来患者様の一時的病気による入院を除く
当院入院患者様の退院理由のほとんどの方が死亡退院ですので、入院時に患者様(のご家族様)全員に
アンケートを取って(当院の入院患者様は、外来患者さんの一時的病気による入院を除き
患者様ご本人ではっきり意思表示ができる方はほとんどおられません) 
急変時に急性期病院に搬送するか否か、心肺停止時に心臓マッサージなどを行うか否かの
意思表示を行っていただいています。

最近、SYNODOSというジャーナリズムサイトで
表題の記事を見つけました。この記事がかかれたのは
2014年の1月と今から5年前に書かれた記事ですが
終末期医療にどっぷり漬かっている管理人も 日本でACPが増えてきた場合の未来予想図が
容易に想像できる記事の内容でした。

「太く短く生きるから このままでいい」というセリフは 生活習慣病のコントロールがうまく
いっていない外来患者様からよく伺うセリフですが、「生活習慣病の
アンコントロールの結果、寝たきりになって助かる」というシナリオは想定していない
方が多く、「そうなったらなんか注射してさっさと逝かせてくれ」などというセリフも
またしょっちゅうお伺いするセリフですが、いざ土壇場になった時にも
同じことを言われる方は あまりおられません。

何事もその立場にならないとわからないことは
たくさんあります。

管理人も「胃瘻だけはしない」と言われながら
いざ経口摂取ができなくなると、胃瘻造設に意向を変えられる
患者様やご家族様もたくさん拝見してまいりましたし、胃瘻は作らないが
同じ栄養摂取方針である経鼻経管栄養は希望するというご家族様もまた少なくありません。

ACPがあったとしても、丁寧に意見をすり合わせることが
重要だと思います。

https://synodos.jp/welfare/6606

一部引用。

***************************************

2014.01.10 Fri
「どうせ高齢者」意識が終末期ケアにもたらすもの――英国のLCP調査報告書を読む

児玉真美 / ライター

今年8月、英国でリバプール・ケア・パスウェイ(LCP)に関する調査報告書 “MORE CARE, LESS PATHWAY A REVIEW OF THR LIVERPOOL CARE PATHWAY”(*1)が刊行された。

LCPとは、死が数日以内に差し迫った臨死期の患者への看取りケアのクリティカル・パス(*2)。病院での劣悪な看取りケアのへの批判を受け、ホスピスでのケア・スタンダードを病院やナーシングホームなどにも広く平準化する目的で2003年に作られた。英国ではNHS(国民医療サービス)の医療下で死亡する患者の約29%にあたる年間13万人に適用されている。

本来は、患者の自己決定を重視し、チーム医療によって丁寧なアセスメントを繰り返しながら、臨死期の患者とその家族の身体的、心理的、社会的、スピリチュアルな苦痛を軽減するべく作られた、優れた臨床実践モデルである。

しかし英国ではこのLCPについて、数年前から、高齢患者に機械的に適用され、鎮静と脱水によって手間をかけずに死なせるための手順書と化してしまっているとの告発が相次いでいた。ついに去年、ケント大学の臨床神経科教授、パトリック・プリシノが医師会での講演において「まだかなり生きられる高齢患者がLCPによって殺されている可能性が高い」「エビデンスもなしに始められるLCPは、もはやケア・パスというよりも幇助死パスウェイと化してしまっている」などと激しく非難したのを機に、一気に社会問題化。保健相が独立の委員会(委員長はジュリア・ニューバーガー上院議員)を立ちあげて調査を命じていたもの。

調査委員会は今年2月から5月にかけて、広く一般からも医療職からもLCPの体験談を募集したほか、実際にLCPを使っているさまざまな現場を訪れて医療職の声を聞き、また一般からはロンドンなど4カ所で直接的な聞き取りの機会を設けた。それらのエビデンスを分析した結果を取りまとめて委員会から刊行されたのが、この報告書である。

報告書では、「委員会が得た多くのエビデンスによれば、LCPが適切に用いられた場合には患者は穏やかで尊厳のある死を遂げている」(1.8コラム 13頁)など、意識も技能も高く経験豊富な医療職によって適切に用いられた場合には、LCPは本来の役割を果たすことが繰り返し強調されている。しかし、上の文章は次のように続く。「しかし委員会は調査で読み聞きした内容から、LCPの実施が劣悪なケアと関連していることが少なくないことを確信してもいる」。全体として、調査以前からの告発がほぼ裏付けられた結果となっている。

(*1)https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/212450/Liverpool_Care_Pathway.pdf

(*2)http://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%91%E3%82%B9


調査によって判明した終末期ケアの問題点

報告書が指摘する主要な問題点のいくつかに沿って、英国の死にゆく高齢者へのケアで何が起こっているのか、その実態をざっと概観してみたい。

*****************************************

引用終わり。

以下は上記アドレスをクリックされ 本文をご参照ください。

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