あれやらこれやら いろいろ沖縄

沖縄に住み30数年の県外居住者が見た沖縄の生活や人情・自然や文化、観光。「あれやらこれやら」気ままに。

沖縄の風景 ~ 思わぬヤンバルへのドライブになった(1) ~ 58号線を北上。名護市へ

2021年10月25日 18時33分18秒 | Weblog
 9月23日。
やることは山ほどあるが、やる気に任せていると日に日にやらねばならぬことが溜まってくる。
この日も、怠惰な身体を座椅子に凭せ掛け、テレビのチャンネルを際限なく回していた。
突然、電話が鳴った。
億劫に、腕を伸ばし、電話を取る。N氏だ。
「きょう、昼の食事かお茶をしませんか」
コロナかが収まるまで自粛しようと約束して、夜の飲食を自粛している。
2ヶ月ぶりの誘いだ。
「いいね、暇を持て余していたところだ」弾かれたように体を起こした。
「今9時ですね。10時半頃家を出て、パルコシティーで買い物をして行きますから11時半過ぎ位になります。又、電話します」
パルコシティーは昨年オープンした郊外型大型ショッピングセンターである。
数年前、浦添市にある米軍基地キャンプキンザーの一部が返還された地区に建てられた。
浦添市の西海岸にある。


 11時過ぎに電話が鳴った。
件の彼である。
「どうした?」
「パルコシティーはやめました。今からでもいいですか」
「構わないよ」
「11時半には着きます」
早めに身支度を済ませてよかった、と胸をなでおろす。
 11時半ピタリに彼は着いた。
「女房も一緒です。構いませんか」
駄目と言ったらどうするつもりかな。
そんなこと絶対に言わないことを知っているから、いつもそういうのである。
夫人は明るくて、知的な、素直な女性である。
彼と同じ年と言うから還暦を過ぎてはいるけれど元気がいい。
旦那N氏は去年退職したけれど、夫人は働いている。
 「食事にしましょう」と彼。
「そうだね」
「どこにしましょうか」
郊外の変哲もない、サラリーマン食堂の名を挙げた。
「どこでもいいよ。奥さんの好きなところにしたら」
夫人は友人たちと食事会をするらしく、料理に余り興味のない私だが、彼女が指定する店は美味い。
「どこでもいいよのこのひと言が良くなかった。
ふたりの会話に残波だの、読谷だのと30分はかかる地名が出てくる。
車は国道58号線を北上している。

 道の両側が基地の嘉手納町に入った。

 嘉手納町を超えれば読谷村である。
58号線を左折すれば残波岬に向かうはずだ。
ところが、なかなか左折しない。
 10分ほど走って、琉球村を左折し、遠回りだが海沿いを残波岬に行くのだろうと思っていたが通過した。
「ねえ、残波に行くんじゃなかったの!」と夫人。
「”おんなの道の駅”にしようと思ったが、ここまで来たらムーンビーチの先の美味い「沖縄そば屋」に久しぶりに行ってみようと思う」
 車は西海岸入り口に当たる旧山田温泉「ラマダルネッサンス」にそろそろ到着だ。

 
 ラマダルネッサンスを過ぎれば、そこは恩納村の西海岸の始まりである。
右手に「おんな道の駅」が見えた。
 


 「道の駅も通過するの?」と夫人。
「帰りに寄ろう。いいでしょう」と同意を求めてきた。
「ああ、いいよ」
 仲泊(なかどまり)の外れで道は十字路に出る。
真っすぐ行けば、恩納村を走る国道58号線のバイパスだ。
車は旧国道へと左に折れた。
 「急ぐこともないし、例の沖縄そば屋は旧道です」とN氏。
「そうだね、観光で来るひとにとっては海岸線だよね」
名護や本部に行くときも、バイパスや高速道を余程の理由がない限り使うことはない。
昔ながらの国道58号線を走る。
 「あれ!店がなくなっている」とN氏が叫んだときは車はブセナテラスの手前に来ていた。
長い間来ていない。
国道に沿って立っていた店は名前も思い出せなかっ
た。
N氏は昨年まで、よくこの道を走っていたから間違えることはない。

 「もう名護市じゃない!」N氏夫人。
「とんでもないドライブになったね。奥さん、大丈夫?」と声をかけた。
「大丈夫です。きょうは祭日ですよ」車の中が笑いで弾けた。
「宮里そばにする?・・・・・我部祖河(がぶそか)そばでもいいね」N氏は屈託のない声で夫人に話しかける。
ラマダルネッサンスの門前を通り過ぎた。


 車は許田(きょだ)の七曲りに入った。
昔は許田から名護まで、海に迫る山裾を縫うように走っていた交通の難所だったらしい。
対岸の半島は本部半島。半島の先端辺りが本部港だろう。海洋博公園はその向こうにある。
町並みは名護市。




 「道の駅許田は帰りに寄ろう」とN氏。
「何か買うの?」と夫人。さり気なく、従順に問いかける。
N氏夫婦の会話は物静かで、穏やかである。そばにいると思わず眠りに誘われることがある。
 許田道の駅を過ぎる。
最近開通した新道道が目の前に現れた。
「新道を走ろう」思わず、私は叫んだ。
                                                           (つづく)


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